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杣人・somabito

Author:杣人・somabito
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旅の思い出…ヨーロッパ編1-2

お元気ですか?

今日も、昔々のお話。の続き。
でも、もしかしたらやっぱり昨日のことかもしれません。
時の流れは人によって違うもの… これは私の中に留まった時間なのです。

**************

旅の思い出…ヨーロッパ編1-2

軽い揺れと、連結器のぶつかりあう振動を残して、
列車は夜のホームを出発しました。
車掌さんが来る様子もないし、動いてしまえば置き引きの心配もありませんから、
客車の中をちょっと見て廻りますが、
どのコンパートメントもがらんとして人影がありません。

トーマスクックを何回もチェックしながら決めた列車ですから、
間違いは無い筈ですが、ウィーンを離れ共産圏の国へ向かうとあって
心細い気持が湧いてきます。

以前、ドイツのベルリンで列車に乗ったときに、
間違って東ドイツ行きの列車に乗り、あやうく出発する前に気が付いた…
という事があったから、どうしても神経質になります。

車中で2泊することを考え、トイレに近いコンパートメントに入り、
窓側の進行方向の席を確保しました。
コンパートメントと云えど、通路側の席は通りすがりの泥棒さんの標的になりますし、
出入りする度にドアの開閉が気になります。
それに、せっかくですから窓の外の景色をたっぷり見たいですよね。

荷物を棚の上に置き、さっき買ったパンや水とトーマスクック、
それと文庫本を窓のテーブルに置き、一安心。

コンパートメントはセパレートの椅子が三つ並んで、対面になっています。
座るところを引き出せば対面の椅子とくっつくくらいにのび、寝ることも可能です。

市街地を出、点在する村を過ぎて広い畑をひた走る列車の車窓から
ぼんやりと夜を眺め、
私はウィーンでの充実した時間、お会いした人達を思い返していました。

一時間ほど走った19:04、列車は国境を越え、ハンガリーのHegyeshalom
という町につきました。停車時間は12分あります。

どんな処だろうと通路側の窓を見ると凄い人だかり…
田舎町の駅なのに、人が多すぎて駅舎が埋まって見えないほどです。
しかも、電柱と駅舎の薄明かりの中、列車めがけて人が押し寄せてきます。
大きな荷物を持って、形相すさまじく駆けてくるのです。

戦中、戦後の買出し列車というのをTVで見たことがあります。
まさに、その風景そのままが目の前に広がっているのです。

そして、私のいるコンパートメントに
大きな布団袋のような袋を2つ持って一人の女性が来て、
私の席の前に荷物を置き、網棚にも置くと、コンパートメントを一旦出、
今度は、客車のドアの外で荷物を持って来た人から、
さらに2個の荷物を受け取って戻ってきました。

女性は目を丸くしている私に、荷物を棚に上げるのを手伝えと云います。
手伝うのがさも当然といった、顔で…
この時点で、列車の中は人でごった返し、窓から荷物を入れる人や
座席を探して歩き回る人で、立錐の余地もありません…

私は、座席の上に立ち、棚に荷物を載せ上げるのを手伝います。

コンパートメントはあっという間にこの女性の荷物で一杯になり、
同時に乗り込んできた、4人のオーストリア人学生で座席は埋まってしまいました。
学生達も自分達の荷物を棚に上げますが、ちょっと遠慮がち。

一息ついて、席に座り直していると、
列車は何事も無かったようにゴトンとひと揺れして出発します。


このお話・・・もう少し続きます。


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テーマ : 旅の思い出
ジャンル : 旅行

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