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杣人・somabito

Author:杣人・somabito
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内蔵料理

お元気ですか?

吉祥寺のレストラン、ドス・ガトスからクリスマスメニューの案内が届いた。開店当初からの親しい仲とはいえ東京を離れた私達にも案内を送っていただくのは嬉しい。メニューを見ているとシェフがどうゆう思いで料理を考えているかが分かるような気がする。イベリコ豚を日本で紹介したのは彼がはしりだったしホロホロ鳥のパエリアなんかは肉の甘さが美味しくて我が家でも真似をして作ったものだ。同封された案内にアラカルトメニューが紹介されていてタパスを始めるとある。“コースをしっかり食べるのは重いけど、バイオーダーのBARでもない。大人の皆さんが。『気楽だけど落ち着けて、ちゃんと美味しい』を”と書いてある。
最近スペインの旅番組などではバルの様子がよく紹介されるようになった。バルではワインと一緒にタパスを頂く。酢漬けやハム、揚げ物、煮込み料理など地元っ子はその店の得意なタパスを一皿ニ皿いただきながらバルを梯子する。
函館ではこのバルの梯子を真似て参加店をめぐり歩くイベントが春と秋に催される。行きたかったけどきっかけがなかったり敷居が高いと思っていたような店に足を向ける事の出来る良いイベントだ。このイベントを目指して函館観光をする旅行客もいて次第に定着してきたようだ。
スペインレストランとしては老舗の風格を帯び始めたドス・ガトスは新しい試みを加えながらまたファンを増やしてゆくのだろう。

話変わって、我が家ではスーパーなど日常の買い物もパートナーさんと一緒に出かける。もともと市場を覗くことに慣れた函館育ちだからスーパーやデパートの地下売り場など歩くのは好きだ。時々駐車場で一人車に残っている男性を見かけるが勿体ないと思う。一緒に歩いて自分の食べたいものをアピールすればいいだろうにと思うし、野菜や魚が何処から来るのか、メーカーの新商品にどうゆうものがあるのかを見て時勢を知る事も出来る。例えば当地、さすがに和歌山のみかんは無いが北海道産とならんで九州から届いたじゃがいもが並んでいたりする。近くの漁港からあがった魚の横に千葉からの鯖があったりパキスタンから届いた太刀魚が置いてあったりする。スーパーは情報にあふれている。

私達が行くスーパーでは肉の品ぞろえも良い。高級品を揃えているのではないが県内産のブランド物を置いてあったり輸入肉を安く販売したりと客のニーズをしっかり把握している。私が喜んでいるのは鮮度の良い内蔵が種類も多く売られていること。モツも生と茹でたのが選べる。日によるがコブクロ、ハツ、センマイ、ハチノスと色々な部位が手頃な価格で並んでいる。しかも内蔵は鮮度が命、売れ残りを避けて夕方には値引きもされる。こうゆうのを逃す手はない。先日はハチノスとガツを買ってきて確り茹でこぼして臭みを取り、スパイスを工夫しながらトマトで煮込んだ。その次はやはりハチノスとコブクロを買ってきてとりあえず茹でておき、今度はどんな味付けにしようかと今思案中だ。

東京ではこれほどの種類の内蔵を手軽な値段で手に入れることが出来なかった。探せば有ったかも知れないが専門店に行かなければならなかったり少量で高価だったりしたように思う。これは地域的に食肉加工が近くで行われていることによる利であろう。

私は“地産地消”という言葉、キャッチフレーズが嫌いだ。もともと当たり前の事を何か特別のことのように唱えるのに呆れている。経済が成長し流通が発達した。地域でとれたものを都会に送りより高く売ろうとした結果地域の農業や漁業が荒れる。「良い物はみんな東京にもっていくからね。自分たちも食べられない」と地方の業者が言う。同じ理由で生産者は売れるものだけを作るようになり値の安いもの流通に乗りにくいものは作らなくなる。本末転倒な話だ。その反動が“地産地消”などという当たり前のことにのぼり旗をたてることになる。

地域の生産者を地域の人が大切にして感謝し頂く。それだけのことだ。漁港があるならそこの魚を、農家があるなら季節の野菜を、畜産業があるなら鮮度の良い内蔵を美味しく頂けば地域の産業経済は動く。

遠いスペインの料理を紹介するドス・ガトスのクリスマスメニューを見ながら、私は当地の食材を使ってスペイン料理を作る自分の姿を想って笑った。
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テーマ : 日記
ジャンル : 日記

第8回浜松国際ピアノコンクール

お元気ですか?

今日、当地で11月初旬から行われてきた第8回浜松国際ピアノコンクールの入賞者による演奏会を聞きに行ってきました。恥ずかしながらつい最近まで浜松で国際ピアノコンクールが行われているということに気付かなかったので興味津津です。実は浜松には日本を代表する楽器メーカーがあるのに音大がありません。浜松学芸高校という大変ユニークな高校があり、ここでは音楽や書道などとてもレベルの高い教育が行われていて私はこちらにも感心をもっているのですが、残念なことに県下にこの学生たちを受け止める大学はありません。もっとも楽器メーカーがあることで小中高での音楽教育は盛んでブラスバンドやマーチングなどは頑張っているようです。そのような環境の中で国際的なピアノコンクールがどのように誕生し成長してゆくのでしょう。

子供の頃から長く音楽に親しんできましたし、コンサートもよく行っていましたが最近はめっきり出かける事がなくなっています。好きな音楽家のレコードを聞いていれば満足ができますから取り立てて最近の音楽家の演奏を聞きたいと思うこともありません。今の演奏家はテレビの放送を見ればいいし、知った演奏家が次第に出なくなってきたとちょっと寂しい思いもします。これが歳をとるという事なのかとも思います。

若い人の演奏を聞き、町の音楽ファンの様子を知ることで少し自分に刺激を与えてみたいというのが演奏会に出かける正直な気持ちです。

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駅のすぐ傍にある会場大ホールはロビーがあまり広くありません。大勢の人が挨拶を交わしたり出演者やコンクールの様子を伝える新聞記事が貼ってあるパネルを見ています。当日券を買い求める列もあります。私たちは階段を昇り二階下手ウイング席に座ります。演奏者の様子も客席の様子もよく見えていい席です。チケットの扱い店のせいでしょうか、何列かすっぽりお客さんのいない列もありますが、一階はほぼ満席。二階正面席も半分ほど埋まっています。舞台の上にはヤマハ、カワイ、スタンウェイと三台のピアノが用意されていてこれは演奏者が選べるようになっています。入賞者六位の人から演奏が始まりました。

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まずは六位の内匠慧さん。英国王立音楽院で学んでいる20歳の学生さんです。ステージに立った姿は緊張と心細さのようなものが感じられます。残念ながら演奏はあまり感心しません。音が濁っていますしミスタッチもあります。ヤマハのピアノが可哀想です。

次の五位は韓国のキム・ジョンさん29歳。韓国の男性は体格良い人が多いが彼もなかなかの長身。自信に満ちた姿はステージに映える。ただ演奏は力強さを超えて音が固く乱暴にさえ聞こえる。ラヴェルもショパンも同じように聞こえてしまう。

四位はロシアのアンナ・ツィブラェワさん、モスクワ音楽院で学ぶ22歳。弾き始めた瞬間に六位五位との差がはっきりわかる実力。一つ一つの音がとても綺麗に出ている。内匠さんと同じヤマハのピアノだが音の響きが全然違う。指先も楽しそうで軽い。パートナーさんは身体が動くのがお好きでは無いと言うがこれは最近の傾向なのだろうか。

三位は日本の佐藤卓史さん29歳。ステージへの登場からして場馴れした安心感を醸し出している。ピアノに向かった姿もいい。なによりタッチが非常に軽くて音が素直に出てくるのがよく分かる。聞いていて基礎力があり安心していられた。

ここで休憩。ロビーに出て観客の様子も見てこよう。狭いロビーは人で溢れている。コンクールを記念したケーキや焼き菓子の販売、演奏者のCDなんかも販売されている。喫茶コーナーではワインやコーヒーが用意されていてこれを求めるお客さんもいる。若いころ歌舞伎座の幕間を歩きながら劇場が社交場であることを覚えた。ウィーンでウィーン国立音楽大学の声楽の先生と一緒にオペラを観た時に誘われて一緒に喫茶スペースに降り、飲み物をいただいていると先生の知り合いが何人も声をかけてきて、歌舞伎座のロビーを思い出したのを記憶している。日本でもコンサートホールに喫茶スペースが出来るようになったのはここ30年ぐらい、私はサントリーホールで経験したがビールとウイスキに笑えた。ただ日本の演奏会は休憩時間が短いのが難点のような気がする。今日も休憩は15分。これでは珈琲すらゆっくり飲んでいられない。席に戻り後半に備えよう。

第二位は日本の中桐望さんという25歳の女性。東京芸術大学大学院で学ぶ学生さん。とても丁寧に弾いているのが好感をもてるし上手い。レビューを読むとモーツアルトの室内楽を弾いたとあるが、音楽を楽しんでいる様子がソロからも伝わってくるし演奏に華がある。

そして第一位のロシアのイリヤ・ラシュコフスキー28歳。レビューを見ると予選の時に弾きたかったが手違いで出来なかったという「英雄」を弾くという。彼のお気に入りの曲なんだろう。確かに気合いが入っているように見える。ただ、元気が良いというか丁寧さに欠けるというかどうも音が煩く聞こえる。ラフマニノフも同様だ。


全員が弾き終わりステージで挨拶。国際コンクールでの入賞はやはり嬉しいだろうし喜びと安堵と開放感が一人一人の顔に見られるのは楽しい。入賞者6人全員が手をつなぎバンザイをしたのは微笑ましく心から祝福の拍手を送りたくなった。
コンクールは本人の努力はもちろんだが先生や家族による支え応援があって参加が実現する。ターゲットを絞り世界中のコンクールを回るから経済的問題もあって誰でもが可能なものではない。そうゆうのはスポーツ選手と同じだ。このコンクールにしてもボランティア・スタッフを募集していて会場での作業、出演者を泊めるホストファミリー、無償での演奏会の提供など様々な応援をしながら出演者をサポートしている。こうゆう作業の一つ一つがコンクールに訪れた演奏者、先生、家族それらすべての人達に理解をしていただき、世界に浜松での音楽活動を知って貰えるとしたら在住の音楽ファンとして嬉しい。

遥か昔、私が通っていたピアノの先生は終戦を中国でむかえたが音楽家であることを伝えると中国の人達が温かく接してくれたと語ってくれたことがあった。芸術を心に持った人は世界中で受け入れてもらえる。大きな楽譜鞄を持った私に刻まれた大切な教えだ。

浜松国際ピアノコンクールに関係したすべての人達に拍手を送り世界の平和を願おう。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

出会う楽しみ

お元気ですか?

最近、函館をTVで観る事が重なった。WOWOWで放送されたドラマ『尋ね人』、NHKの『新日本風土記』は11月16日の放送で函館が、そしてBS日テレでは『ホテルの窓から』で11月20日に函館を取り上げていた。『尋ね人』はまだ見ていないがNHKも日テレも古いものを大切にしながら生きている函館の様子が丁寧に紹介されていて好感の持てる番組だった。生まれ故郷が歴史ある町として今も人々に親しまれているのは嬉しい。


『ホテルの窓から』を見ていたら、公会堂のシーンでショパンの前奏曲第7番イ長調Op.28-7がBGMで流れた。太田胃散のCMで聞き知った曲といったらわかるであろうか。パートナーさんと顔を見合わせながら「コマーシャルの力って凄いね。」って笑った。

「ねぇ、今の人ってクラシックの曲を聞きたいと思ったらどうやって探すんだろうね」とパートナーさんが言う。「例えばこの曲はなんだろうと思ってレコード屋さんに行って「太田胃散のCMで流れている曲はなんですか」って聞けば良かったけど、今レコード屋さんが少なくなっているし、クラシックの曲を訊ねて対応出来る店員さんをちゃんと置いている店ってあるのかな?」
「そうだね、今ならネットで太田胃散・CMって検索すれば曲名が分かるだろうしYOUTUBEで聞くこともできるけど、そこまでだね。」

私が子供の頃はFM放送でクラシック音楽がよく流れていた。「FMファン」など番組雑誌もあったから曲名を知ることも出来、パートナーさんはエアーチェックしたテープに雑誌から曲名を切り抜いてカセットテープのケースに挿して大切にしていた。私は学生の頃ためたお金を持ってレコード屋さんに出かけ「レコード芸術」などで仕入れた知識をもとにお店のレコードを物色する。何度か通っているうちにお店の主と親しくなり、「これも良いよ」って奨めてもらうようにもなった。
幸せだったのは吉祥寺にあったクラシックの専門店に出会えたことだが、その話は以前にも書いたから繰り返しはやめよう。でも音楽ファンが集まるサロンのようなあのお店が有ったあの時代は至福の時であった。店員さんやお客さん同士の会話から音楽への興味がどんどん広がっていった。

子供の頃、父の運転する車に乗って町の本屋さんに出かけたことがある。車中「どんな本が欲しいの」と母に云われて「面白くてためになる本」と応えた。本屋さんに入り本棚を眺めていたら赤い帯に“面白くてためになる本”と書いてある本があるではないか!これだと思って手にとったのは『くるみ割り人形』だった。本の内容はそれほど面白いとも思えなかったしためになるとも思えなかった。ところが、かえってそれが私には長い間心にひっかかってしまい『くるみ割り人形』はいったいどうゆう事を言っているのだろうと気になってしかたがない。そこで今度はバレエの『くるみ割り人形』を見ることになる。本でよく分からなかったことをテレビで放送したバレエを見て補おうとしたのだ。これが私がバレエを見だした最初であろうと思う。少なくともそうゆう意味で本は“ためになった”のだ。
本は親が子供に読んだり、図書館でも読書会のようなもようしをしているから機会を探せば割りと出会うチャンスがあるのかもしれない。本屋さんで良い本に巡りあうのが難しい時代になったのはレコードと同じであろう。

ではクラシックの音楽と出会うにはどうしたら良いのであろうか?コンサートに行くといっても有名な演奏家のものは値段が高いからしょっちゅう行くというわけにもいかないであろう。とにかく聴くというのが一番だがどこから聴き始めたらいいのか?なんて入り口で戸惑ってしまうこともあるだろう。レコードファンの間ではLPジャケットの良いのは中の音楽も良いという噂があってこれは以外と当たっていると思うのだが、最近のCDジャケットではどうなのだろう。手当たり次第に買うというわけにもいかない。名曲喫茶やジャズ喫茶のようなところも今はあまり無いようだし、有った当時も初心者には敷居が高かった。
図書館の本のように、レコード鑑賞会のようなものを図書館でやれるなら良いと思う。小中学校を使ってもいいだろう。私が前に住んでいたマンションには楽団の人がいて市民コンサートの情報を紹介しチケットも手配していた。市民楽団でもいい、近くのピアノの先生でもいい、子どもたちにクラシックの音楽を直接耳で聞く機会を増やしてあげたいと思う。間近に聞いた音の記憶、感動の記憶はいつの日か芽吹くはずだ。

今週当地では国際ピアノコンクールが開催されている。明日はその優勝者によるコンサートが行なわれる。2時間程のコンサートで2000円。学生でもお小遣いで買える値段だ。まだまだ本格的国際コンクールとまでは言えないと思うが、どのくらいのレベルなのか行って聞いてこようと思っている。そして会場がどのような人、人数で埋まっているかも見てこよう。

自動車や繊維産業で栄えた当地だが、楽器メーカーもあって音楽も盛んだ。クラシック音楽がこの町とどう関わっているのかを確りと見てきたいと思っている。どんな演奏と出会えるのか楽しみだ。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

『査問』

お元気ですか?

今日は勤労感謝の日。先日御前崎にドライブをした文化の日、小さな集落の家々に国旗が掲げられているのを見ました。子供の頃は玄関先に国旗を出すのは私の役目でしたし、母の実家に遊びに行くと紺色に染められた大きな幕が玄関に下がり私の家の倍もあろうかという大きな国旗が掲げられくぐるようにして家に入ったのを思い出します。町の家々に掲げられた国旗を見ると懐かしい気持ちになる所以でしょう。

今日は朝から雨が降り薄曇りが続きます。久しぶりに家でのんびりしよう。


ディック・フランシスの『査問』を読みました。1969年9冊目の作品。主人公の障害競馬騎手ケリイ・ヒューズは調教師のデクスター・クライフィールドとともに査問会に八百長レースの疑いで呼ばれ抗弁虚しく免許を停止される。明らかな証拠捏造。いったい誰が何の目的で二人を陥れたのか。

ディック・フランシスの作品で登場する主人公が自分自身に直接災禍を受けるのは珍しいかも知れません。でも打ちのめされ腐ることはあっても軈て不屈の精神で立ち上がり真実を明らかにしていく姿は一貫しています。社会的立場、階級に依った人間の心の有り様の描き方も面白さの一つです。
主人公のケリイは労働者階級に属し教育に重きを置かない両親に育てられますが、大学に進み経済学、哲学、政治学を学びふとした縁で騎手の道に進むことになります。趣味の良い高価な家具に囲まれて暮らしますがそれらは自分の属している階層への反撥ではなく自分の中から出てくるごく自然な姿のようです。一方、調教師デクスターは騎手を見下し、厩務員も見下していてケリイが言う「調教師の成績の半分は、厩務員のおかげだ」という言葉にも反撥します。人は自分の属する世界に誇りを持ったり卑下したりしますが、それは他の社会との比較の上に存在します。ケリイの騎手免許を取り上げた査問委員のガワリイ卿も同じで彼の性癖が社会的地位を脅かすのではいう思いが犯人に付け入る隙を与えてしまいます。

作品そのものは特に優れたものではありません。人物の設定描写も深くありません。競馬界や企業などの背景が興味深く描かれている訳でもありません。ディック・フランシスの作品としては“まぁこんなのもあるよね”といった感じでしょうか。でも、私は読みながら少し考えてしまいました。

人は時に謂れのない事件に巻き込まれる事があります。その時に闘う事ができるかどうかは自分を信じ立ち上がることが出来るかどうかにかかっています。どのような状況でも信じられる自分、立ち戻ることが出来る自分を持っているかどうかが重要です。とするなら普段からそうゆう自分を作っておかなければなりませんね。これはなかなか難しい事です。主人公のケリイは自分の中の依るべき処にしたがって行動をします。これ、ハードボイルドと言っていいのでしょうね。


査問 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12-9))査問 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12-9))
(1977/05)
ディック・フランシス

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テーマ : 推理小説
ジャンル : 小説・文学

夢でも芝居

お元気ですか?

夢を見ました。久しぶりにしっかりした夢です。

金沢の香林坊と思しき繁華街。大きなビルの横にある駐車場は観光バスのターミナルになっているようです。その駐車場の中でパートナーさんが二人の中年の女性に声をかけられています。保険の営業でもしていそうな雰囲気の女性ですが、手に持った陶器のお皿とご飯茶碗のようなものをパートナーさんに「差し上げるから持って行って」と手渡しています。私は駐車場の入口に立ち、一人で出てきたパートナーさんに「何を貰ったの」と聞いて陶器を見せてもらっています。さして高価でもないような陶器にふぅ~んと興味の無い私。あの二人は何だったんだろう。そう思いながらパートナーさんと繁華街を歩いていきます。

場面変わって、民家の中。ソファーの置いてある居間とダイニングテーブルのある二間続きの空間。ソファーには3人の男女が座り、壁側には2~3人の人が廊下にも溢れて立っています。私はダイニングテーブルに腕を置きながら身を乗り出すようにして座っていますが、ここも私を含めて3人ほどの人がいます。
居間の奥の戸から小柄な中年の女性が入ってきました。他に3人の男女。何かを喋り出しますががこれはお芝居の台詞です。どうやら民家の普通の空間の中で小さなお芝居が始まったようです。目の前で始まる言葉だけのお芝居。大きな身振りが付くわけではありませんが、台詞は確りとその場を芝居空間に変えています。
10分ほどでその台詞だけの芝居は終わり、役者さんはそのまま居間にいます。主催をした小柄な女性はこうゆうお芝居が15程あって一つの芝居になっていると説明してくれます。私は席を立ち、居間の廊下近くに立っていた作業服姿の男性に「よくいらっしゃるのですか?」と訊ねます。どうやらその男性は演劇ファンで常連さんのようです。
居間では女性の話が続いています。「言語による芝居と身体による芝居をそれぞれ別にやっているんですね。」と私が女性に聞くと「そうなんです。」と静かに笑いながら応えてくれました。私はごく普通の民家の中、小さな部屋の中で芝居が成立することを面白く思っています。

どちらもとてもリアルな夢です。どうして金沢なんでしょう?越前ガニが解禁になってTVのニュースで紹介されていましたし、9月に台風のせいで金沢の予定を繰り上げて帰ってきたので心残りが香林坊を見させたのでしょうか?頂いた陶器はどう見ても九谷焼のようには見えませんでしたが・・・。
お芝居の夢はフェスティバルで毎週お芝居を見てきたからでしょう。それに森光子さんが亡くなったり佐藤オリザさんがアンドロイドが人間と一緒に演じる舞台を作ったニュースを見たりしたからでしょうか。

どうも私の夢は現実を写しながらリアルで現実と紛うことが多いようです。いづれ夢か現か分からない・・・とならないように気をつけなければいけないでしょうね。


テーマ : 日記
ジャンル : 日記

『本番台本』

お元気ですか?

久しぶりにギャビン・ライアルの小説『本番台本』(原題 SHOOTING SCRIPT)を読みました。『深夜プラス1』『もっとも危険なゲーム』などで気持ちはすっかりファンなのですが思い出したようにしか読んでいません。何故かははっきり言えないのですが、登場人物の存在感というか厚みがあり、ストーリーも練られています。細かな描写もよく考えられていて捻りやウィットが利いています。褒め言葉ばかりになってしまいますが、一度読むとその緻密な作品力に押されて続けて次のを読むという気にならないようです。
今回はディック・フランシスを数冊まとめ買いした横に一緒に並んでいたのを籠にいれたのですが、訳者はディクでお馴染みの菊池光さんです。

元イギリス空軍のパイロットキース・カーは自分の飛行機DH-104ダブでチャーター機のパイロットをしています。映画の仕事でカリブ海の都市にロケの視察に飛んだ一行は独裁政権の空軍機デ・ハビランド バンパイアに襲われ、一難を脱したものの愛機ダブを没収されてしまいます。否応なしに巻き込まれゆくキース。イギリス空軍時代の同僚ネッド、独裁政権のボスコ将軍、映画撮影チームの隠れた思惑と革命軍のヒメネス。舞台は整っています。

ギャビン・ライアルの航空冒険小説は彼自身がイギリス空軍のパイロットだったという経歴に依る処があるのですが、彼の作品のために精緻な調査をする姿勢が飛行機の描写にも現れてきてリアリティと興奮を高めています。
ダブを没収されたキースは映画俳優のウィットモアの計画で古いB25を修理することになりますが、機体の状況をチェックするあたりの描写は航空機への愛着と操縦者の肌感覚が伝わってくるようです。

飛行機は詳しくないので、写真でどのような飛行機なのか知りましょう。

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こちらがDH-104ダブ。乗員2名、乗客11名の旅客機です。ポコンと頭の飛び出た操縦席と長方形の大きな窓が特徴的です。

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こちらはデ・ハビランド バンパイア。座席が横に2列になっている珍しい設計のジェット戦闘機です。
浜松の航空自衛隊に展示されているそうですから、見に行く事ができます。

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そして、B25。機首のところがガラス張りになっていて機銃が設けられているのが特徴です。B25は第二次世界大戦でドーリットル空襲と呼ばれる日本本土爆撃に用いられた飛行機で、東京、神奈川、横須賀、愛知、兵庫と爆撃し連合国の一員であった中国に帰還する作戦を取ります。そう知るとちょっと痛い思いがしてきますね。


さて、愛機ダブを没収されB25を修理したキースは映画隊が実は革命軍のヒメネスを支援し独裁者ボスコ将軍のバンパイア航空隊を潰そうという作戦に加担することになるのですが、密輸しようとした爆弾が没収され急遽レンガをB25から落としてバンパイアを破壊しようと計画を練り直します。奇抜というかなんでもありというか・・・。
そこで、私は知り合いのパイロットさんに聞いてみることに。(内緒ですがこの方教官も務めた超エリート)
「今読んでいる本でB25からレンガを落として攻撃するって話が出てくるんだけど。」
「あぁ、そうゆうの計算するよ。高度とスピードから何処で離せばどこに着弾するかって・・・」
まぁ確かにそうでしょうけど、事も無げに云われると却ってリアルです。

昨日、浜松の航空自衛隊では航空ショーが行われていました。我が家からも編隊飛行をして飛ぶ戦闘機が見えます。青く広い空をスモークを出しながら飛んで行きます。こちらも教官さんにお話を伺ったところ、飛行機と飛行機の間は1mほど、時には重なりながら編隊を組むのだそうです。自動車だって1mの間隔のまま並走するのって嫌ですよね。想像を超えたパイロット技術です。
願わくば軍事目的で飛ぶことの少ない事を・・・。

パートナーさんが言います。「いつもと違う飛行機なのか音がぜんぜん違うね。沖縄ではこんなのが一日中飛んでいるんだろうね。」

戦闘機を楽しむのは小説の中だけのこととしましょう。

本番台本 (1977年) (ハヤカワ・ミステリ文庫)本番台本 (1977年) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(1977/06)
ギャビン・ライアル

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テーマ : 推理小説
ジャンル : 小説・文学

『青い星と私のトイレット』

お元気ですか?

はままつ演劇・人形劇フェスティバル2012参加作品、MUNA-POCKET COFFEEHOUSEの『青い星と、私のトイレット』を観てきました。今日は生憎の雨で冷たく強い風も吹く天気ですが、会場は幅広い年齢層の方々でいっぱいです。劇団員さんのお友達の方も多いのでしょう。始まる前はざわざわ話声も多いようですし、お芝居の最中は笑い声が出ています。芝居を見に来ることを楽しんでいる様子が客席から伝わってきます。舞台と客席が近いという言い方ができるかもしれません。私のように浜松の演劇環境にまだ疎くそれぞれの劇団の特色を知らない人間にとっては観客の様子も興味のあるところです。

以前訪れた徳島には江戸時代初期から村ごとに人形浄瑠璃を演じる小屋があり農民が守り演じて来ていました。浜松でも佐久間に浦河歌舞伎があり、雄踏にも「万人講」という市民歌舞伎を支える団体があります。そうゆう市民がご近所の人が演じる芝居や人形劇を楽しむ土壌風土が浜松にあるとしたら、自ずと観客の姿に映し出されるはずですし、フォークロア的意味合いが強くなるのかも知れません。
東京で歌舞伎や商業演劇、地域の小さな小屋での芝居と観てきた私には今回のフェスティバルの参加作品を観ることにより浜松の演劇環境を知るのはとても楽しい事です。今日のMUNA-POCKET COFFEEHOUSEも学生さんやお勤めをしている人などが集まって活動している団体です。そういった市民が演じる演劇。果たしてどんなお芝居を見せてくれるのでしょう。


舞台はまだ客席の照明が落ちないうちに左右の通路から役者が入ってきます。黒いスラックスに白いブラウス。半円形に並べられた丸いスチールの椅子に座ります。舞台中央には二人の横たわる人・・・。
横たわる人の傍には立っている男女二人。男が“うんこ”という言葉を言い出せないでいると女が「はっきり言いなさいよ」ときつく言います。配られたパンフレットには「トイレ。流れるウン◯のうた」が記載されています。劇の作者永井宏明氏による作詞。芝居の特色の一つに反社会的なこと、非現実的なことも舞台に上げ観客に見せることができるというのがあります。このお芝居の“うんこ”もそうなのでしょうか?ちょっとアングラ的要素のある芝居なのでしょうか?興味をもちながら目を凝らしていきます。

お芝居は鈴木千恵子(名前は私のあて字です)の誕生から亡くなるまでの生涯を描いていますが、それは全編観て分かること。千恵子が入所している施設の副園長、千恵子、千恵子の両親といった登場人物を中心に十数人の役者が時間、状況を変えながら演じていきます。お腹の中にいる千恵子に話しかける両親、青い星を見に海へ行きたいとせがむ千恵子に微笑む両親、海にさらわれながら千恵子の無事を願う両親・・・幾つものシーンが何人もの役者で重層的に演じられ、観客は次第に千恵子の生涯を知ることになります。
とても考えられた演劇的手法を活かした舞台脚本です。

そして、興味深かったのはその場面ごとの節でトイレが流される音が使われるのですが、役者の中で唯一水玉のワンピースを来た女性がスキップのように飛び跳ねながら踊りやはりチノパンのような黒くないズボンを履いた男が合わせて一緒に回り踊るのです。舞台も終わり頃になって男が鈴木さんと女を呼びますし女は副園長と男を呼びますが、それまではこの二人が何なのか分かりません。でも、二人は“うんこ”です。二人は、千恵子と副園長の分身である“うんこ”なのです。
人は食べ生活し記憶を紡ぎながらその折々に吸収出来なかったもの受け入れられなかったもの、もしくは自分の一部にならなかったもののカスを“うんこ”として流しています。それは現実的で悲し存在なのかもしれません。でもその“うんこ”を流す事ができなければ、却って押しつぶされてしまいます。記憶の一部、哀しみの一部を流すことで人は生きて行く事ができるのです。

「幸せは遠くにあるようで近くにあるの。近くにあるようで遠くにあるの。」と千恵子は言います。
「青い星は綺麗だけど、時々人を悲しませる。」と父は言います。

千恵子のポケットには大切に持っていた宮沢賢治のポスターが入っています。
副園長は千恵子を看取る時に号泣しながら賢治の「星めぐりの歌」を歌います。

生命の讃歌、震災で亡くなられた東北地方の方々への哀悼、記憶“うんこ”への慈しみ。色々な事を思わせる素晴らしい芝居です。

残念ながら役者一人一人の演技力は決して高くありません。しかし協調して舞台を作っているのが感じられて感動的でもあります。少しゆるくなったところはありましたが、芝居の構成テンポも良く引き込み飽きさせません。全体を通してみればまずまずです。
舞台での芝居だからできる事を積極的に取り入れたとても意欲的作品でした。MUNA-POCKET COFFEEHOUSEが今後どうゆうお芝居を作ってゆくのか非常に楽しみですね。

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さて、はままつ演劇・人形劇フェスティバル2012。
10月21日のNPO法人シニア劇団浪漫座『ゴッホに恋して』
10月28日の座☆がくらく『あいまいな渚~忘れられた道化の物語~』
11月4日の絡繰機械'sの『エデッパの靴』
そして、今回11月11日のMUNA-POCKET COFFEEHOUSEの『青い星と、私のトイレット』 と四劇団四作品を観てきました。どの劇団も非常に熱のある真面目な芝居を展開しているのはもちろんですが、それぞれがはっきりした方向性を感じられる劇団だということ。浜松の芝居に層の厚さと広がりを感じられます。これはブログの初めに書いたように、地域で市民歌舞伎を育ててきた風土と関係があるのかも知れません。この文化風土は財産ですから大切にしなければなりませんね。

フェスティバルのお芝居はまだまだ続きます。
12月1日、2日には四高校による選抜公演。12月8日には劇団からっかぜの『ら抜きの殺意』、12月9日のM-planetによる『時間魔人』と予定されています。
私も劇団員の皆さんに負けないよう真剣勝負で舞台を観せていただき、感想を紹介したいと思っています。

テーマ : 演劇・劇団
ジャンル : 学問・文化・芸術

ご当地カレー第三弾

お元気ですか?

行楽の秋、読書の秋、スポーツの秋、そして味覚の秋!どの秋も大好きです。

頂き物のご当地カレーをあれやこれや言いながら食していますが、今回が三回目で最終回。
静岡市の「いわしカレー」と浜松市の「Hカレー」の東西対決で食べ比べてみました。

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「いわしカレー」はパッケージが良いですね。富士山と駿河湾の海を思わせる波模様です。パッケージには徳川家康が好んだ折戸なすを素揚げしてトッピングし、「家康カレー」の出来上がりという調理例も紹介されています。
「いわしカレー」は戦後肉の代わりにいわしの削り節を入れてつくったカレーなのだそうです。
対する「Hカレー」は浜松のH、健康(Health)のH、幸せ(Happy)のHなのだそうで、三ヶ日や三方原で農薬や化学肥料を使わずに作られたみかんを皮ごと全部ミキサーにかけスパイスと合わせて作られています。しかも浜名湖の天然うなぎのエキス入り。どちらもなかなか気合が入っていますね。

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「いわしカレー」を食べたパートナーさん。一口運ぶと「うわぁ、魚臭い。でも美味しい。」と楽しくなっています。「でも鰯の削り節って・・・あんな小さいの削ったら手まで削れちゃうよね。」と花鰹の削り節をイメージしているような事を言います。
どれどれ、と私も味見。確かにお魚の削り節の香りが鼻から口から刺激して広がっていき、海を思わせる風味で、これは美味しい。

「Hカレー」はどうでしょう。使われているスパイスはネパールの人達を支援するフェアトレード「ネバリバザーロ」と収益の50%を産地に還元する「VOXSPICE」を使っているそうです。食べることで途上国の支援が出来る仕掛けは好感がもてます。カレーは色からして見るからにみかんを使っているぞってアピールしています。ぷぅ~んとみかんの香りが心地いいです。パートナーさんはルーを睨んで「このつぶつぶがみかんの皮だね。」と。みかんの酸味だけでは味が薄くなりますからココナッツミルクやバナナなどのフルーツも加わって面白いお味。一風変わったカレーでこれも主張がしっかりしていていい出来です。

前回のお茶カレーでは全く残念な感想でしたが、今回は甲乙つけがたいレベルの高さ。これぞご当地カレーと言ってよいでしょう。どちらも満点です。

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私も負けてはいられません。ファーマーズマーケットで平茸が安くならんでいたので豚バラ肉と一緒に和風に仕上げました。

我が家の味覚の秋は今日も絶好調です。



テーマ : 今日のランチ!
ジャンル : グルメ

霊犬早太郎

お元気ですか?

先日磐田の見付天神の門前にある老舗の和菓子屋さんを訪ねたお話を「杣人の弓道」で紹介しました。
今日はその続きです。

美味しい栗むし羊羹や栗饅頭と一緒に頂いたのが、名物粟餅です。

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この箱の裏に「遠州見付天神粟餅の由来」という文が載っています。少し抜き出してご紹介しましょう。
「その昔(延慶年間)遠州見付宿には人身御供の悲しい習わしがありました。それを救った猛犬早太郎のお話しは余りに有名で今に語り継がれております。その人身御供の長持ちには必ず粟餅をいれたと云われております。~中略~江戸時代の終り頃、天神社大祭の時、神供の新粟で作られたものを土産として売りだしたのが商品の初めと云われております。」

延慶年間とは1308年から1311年までにあたります。

さて、猛犬早太郎のお話は余りに有名です。って云われても世間知らずの私には何のことやらさっぱり分からないので早速ネットで調べてみました。いゃあけっこう出ています。

では、猛犬早太郎のお話、始まり始まり・・・

今から700年ほど昔の事、信州信濃の光前寺に駒ケ岳の山犬が降りてきて境内で三匹の子犬を産みましたが、しばらくすると母犬は一匹を残して山に帰っていきました。和尚さんは母犬がお礼に置いていったのだと思い子犬を可愛がり育てます。その頃、遠州磐田では秋祭りの頃になると何処からか白羽の矢が飛んできて屋根に刺さり、その家では年頃の娘を人身御供に差し出すという事が行われていました。そうしないと田畑の作物が一晩のうちに荒らされてしまうのです。ある時、見付天神の社僧一実坊弁存が真偽を確かめようと娘が入れられた箱を見はっていると怪物があらわれ『今宵、この場に居るまいな。早太郎は居るまいな。信州信濃の早太郎。早太郎には知られるな』と言いながら長持ちに入れられた娘をさらっていきます。怪物が信州の早太郎を恐れていることを知った一実坊弁存は早速早太郎を探しに信州に旅立ち、苦労の末に早太郎が光前寺で育てられている犬であることをつきとめこれを借り受けて磐田に戻ります。秋祭りの夜、長持ちに入れられて待つ早太郎に怪物がやってきて蓋を開けます。猛然と闘う早太郎。あまりの死闘に村人はもちろんお坊さんも近づくことが出来ませんでしたが、朝、静まった長持ちのそばには老いたヒヒが骸となって横たわっていました。
一方、闘い傷ついた早太郎は真っ直ぐ光前寺を目指して帰り、和尚さんを確かめるとお勤めを果たしてきたとばかりにワンと一吠えし息を引き取ったのです。一実坊弁存は早太郎の活躍に感謝し「大般若経」を書写し光前寺に奉納したといいます。

いかがです?
こうゆうお話にはいくつか違うバージョンが在るのが常ですが、早太郎にももちろんあるようです。
山犬が生んだ子犬は五匹だった。光前寺に居た頃から早太郎は子供を化物から守っていた。早太郎は和尚さんのお経を聞いて育った。という早太郎に関するもの。
一実坊弁存は見付天神の社僧ではなく旅の坊さんだという話やそうではなく村人が旅の六部に頼んで早太郎を探しに行ってもらったという話もあります。六部というのは法華経を持って六十六カ所の霊場を巡る旅の修行僧ですね。でも伝承話にありがちな派生話や大きな話の違いはないようです。早太郎は悉平太郎とも云われています。

で、この長持ちに人身御供の娘と一緒に入れられていたのが粟餅なんですね。甘い餡に包まれた粟餅を食べながらお菓子の箱から地域の伝承文化を知れることに感謝し、早太郎のように頑張りましょうね。

追記)

ネットで光前寺を見ていたらどうも行ったことがあるような気がしてきました。「ねぇ、駒ヶ根の光前寺って行ったことあるよね。どうも風景が記憶にあるんだけど」とパートナーさんに言うと。「行ったことあるよ」と簡単に答えが返ってきました。どうも早太郎のように利発でない私。すっかり忘れていたようです。もういちど光前寺に行って見なければなりませんね。すぐ近くの伊那にわざわざダチョウ料理を食べに行ったことは忘れていないというのに・・・困ったもんです。


テーマ : 歴史雑学
ジャンル : 学問・文化・芸術

『エディパの靴』

お元気ですか?

絡繰機械's「カラクリマシーンズ」第13回公演『エディバの靴』を観てきました。今回のフェスティバル三回目の演目です。

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今回は朝10:30の公演に始まり14:00、17:30と一日三回公演。家でお昼を頂いてからゆっくりと出て14時の公演を観ることにしました。東京でお芝居を観ていた時、たとえば銀座に見に行くとしますと、せっかくのお出かけだからとデパートを廻ったりランチを何処でと考えたりします。大抵のお芝居は終わると夜9時半ぐらいになりますから夜のお食事はその後遅くまでやっているビストロか寿司屋さんという事になり、ほぼ一日がかりの観劇というパターン。中央線沿線にある小さな芝居小屋で仕事帰りに観るお芝居はまた別ですが芝居を見に行くというのはなかなか大変な作業なのです。
この芝居環境をもっと身近にするというのが都会では一つの問題ですが、浜松ではどうなのでしょう。劇場のある場所、駐車場や公共交通機関の利便性、レストランなどの食事環境、商業施設、色々なことを考えあわせなければなりません。

客席は時間帯のせいでしょうか、お客さんの入りはあまり多いとはいえませんが年齢層は若干高め、演劇が好きといった雰囲気を漂わせているお客さんが多いように見受けられます。


さて、今日のお芝居に話を進めましょう。
パンフレットによると、トマス・ピンチョンという作家の作品をベースに唐津匠さんが脚本を書き演出したとあります。ピンチョンという作家は読んだことがありません。これがまず楽しみです。そして靴。私は靴、履物が大好きです。靴屋さんで靴を眺めるのって楽しいですよね。だから主題はOKです。
舞台には靴が並べられています。スニーカー、ブーツ、パンプス・・・天井からは幅1.2mほどの白い布が6枚下がり、場面転換などに使われるのでしょう。
暗い舞台。役者が登し物語が始まります。雑踏の中引っ手繰りにあった女性リンダは電話を借りようとある建物に入りますが、そこは個人が集めた靴の展示博物館。一つ一つの靴に刻まれた持ち主だった人の記憶はすでに迷宮の混沌を暗示しているのでしょう。
舞台は転じ、リンダはその靴の展示博物館の女主人パディの遺産を引き継ぐことに。ただ条件があり、エディパ・マースの墓の隣に埋葬して欲しいと。リンダはエディパの足跡を訪ねて不可思議な世界をさまようことになります。


ストーリーはパンフレットに書かれているほどに難解とは思えません。舞台の道具立てはスタイリッシュな感じを演出していて好感がもてます。天井から下る布も効果的です。どちらかと言えば好きな方の部類の演出と言えます。ただ好きなだけにちょっと辛口のコメントをさせていただきます。お許しください。

まず、役者さんの立ち姿があまり良くありません。せっかく靴を主題にした舞台なのですからもう少し姿勢、足元に神経が行っても良いと思います。実は役者さんたちはとても気をつけて歩いていますし稽古もしています。それが伝わるだけにもうちょっとと望んでしまいます。
姿勢、足元だけではありません。手の動き、マイムが少し不自然というかぎこちなさが見えます。役者さんが舞台の上を歩きながら交差してゆくシーンも演出的というか演技的というかもう少し洗練された動きが欲しいところです。もっとも、私の頭の中ではアメリカンダンスシアターやボブ・フォッシーの身体の使い方が流れていました。比較しては可哀想ですが、身体の使い方に無駄があると舞台空間が濁って見えます。
そして、決定的に残念だったのは、芝居が舞台から飛び出して来ないこと。発声が良くないとか一生懸命やってないとかそうゆうことではありません。役者さんは皆さん熱のある演技をしています。でも、芝居が舞台の上だけで行われているのです。客席にその熱が伝わって小屋全体を包み込んでゆくそういった空気が感じられないのです。
素晴らしい芝居に出会った時、役者の息遣いは演技と相まって客席に届きます。観客はその演技に飲み込まれるように芝居と一体になり、小屋はその物理的空間を破り開放されたものに変化していきます。私は何度かそうゆう芝居に出会った事があります。
パンフレットを見ると、絡繰機械'sさんは昨年最優秀賞を獲得したとあります。劇団のサイトを見ると活動歴も長いようです。是非観客を巻き込む力強い舞台を作って欲しいですね。

気に入ったところもあります。5人の役者さんがストラップやヒールといったパーツを担い靴になり、靴そのものが語る演出。これは衣装もあわせてよかったですね。それとラスト、エディパの靴はオークションにかけられます。持ち主が変わりながら迷宮が続いてゆくのを思わせるのはエントロピーの増大?

辛口のコメントをさせていただきましたが、靴という主題もストーリーも楽しめる良い作品だと思います。
それに、トマス・ピンチョンの『競売ナンバー49の叫び』がお芝居のベースになっているということですから、読んでみたくなりました。


競売ナンバー49の叫び (ちくま文庫)競売ナンバー49の叫び (ちくま文庫)
(2010/04/07)
トマス・ピンチョン

商品詳細を見る




テーマ : 演劇・劇団
ジャンル : 学問・文化・芸術

ドライブ2♪~

お元気ですか?

今日は久しぶりに弓も仕事も離れ何にも考えない本当のオフ日。
パートナーさんの運転でドライブに出かけることにしましょう。実は先日由比漁港で秋の桜えび漁が解禁になったというニュースを見て、桜えびが食べたいと私の中の子鬼がむくむくしだしたのです。喰いしん坊の子鬼。美味しい物を与えてなだめないとへそを曲げたら大変です。
でも、桜えびのためだけに由比に出かけるのも大変なので、御前崎の海鮮なぶら市場にでかける事に。もしかしたら美味しい桜えびも入っているかもしれません。

事前に家からのルートとお昼を何処で食べるかを調べるパートナーさん。
朝ごはんを軽めにし、カーナビに行き先を入れ高速道路を使わない道を選択。いざ出発です。
運転しながらカーナビを見るのは怖いからと私に案内をと言うパートナーさん。もっともです。カーナビに気をとられるのは危ないですし、時々分かり難い事を言いますからね。私も助手席に座るのに随分慣れてきました。

なるべく大きな道を通りながらバイパスに出、周りの車と同じようにスピードも出しながらしっかり走りるパートナーさん。そこそこ緊張もしているようです。
それでも家を出てから1時間45分。目指す料理屋さんに着きました。

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みはる というお店です。友達の名前と同じでなんとなく懐かしい気分。
駐車場には岡崎や静岡といった遠方からの車も見られました。

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パートナーさんはお刺身いっぱいのなぶら定食、私は焼き物もついた磯定食。
お刺身は魚それぞれの味が確り分かる美味しさでボリュームもたっぷりです。

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この当たりでは海つぼというらしいバイ貝の煮物。ちょと醤油の味が強く煮過ぎの感じで身が固めでしたがまずまずの美味しさです。パートナーさんはサザエやバイ貝を頂く時に、一番奥のワタのところも切らないで取り出すのがお上手でちょっと自慢気です。「貝を回しながら」なんて言って楽しそう。


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食事の後、目的地のなぶら市場へ。なぶらとは魚の群れを“なむれ”と言っていたのが訛ってなぶらになったそうです。市場では鮮魚を扱うお店を廻って欲しい魚を選びます。今日はかますといわし、それと鯖のいいのがありました。かますは開いて天日干しにしましょう。いわしは今晩のお刺身。鯖はしめ鯖にしていただきます。
そしてお目当ての桜えび。三店舗を味見して決めました。釜揚げされた桜えびはそれぞれ微妙に味や食感が違います。

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お目当ての魚を買い求め、頭の中には夕御飯の献立が動き出しました。私の子鬼も喜んでくれるかな?
太平洋を眺めながら、風力発電の風車の下を走り、浜岡原発の横を抜けて帰路に着きます。

このあと、お楽しみが待っているのですが、そのお話はこちら「杣人の弓道」でどうぞ。

テーマ : 小さなしあわせ
ジャンル : 日記

大人買い

お元気ですか?

頂いたカレーが美味しくないし貧相で嫌いだなどという不愉快な記事を書くと書いた本人が落ち着かない。何か新しい事を書いて気分を変えなくてはと思うのだが、仕事が忙しくてなかなか余裕がなかった。

パートナーさんとスパーに寄った昨日、レジに並んだ男性の籠の中に数個の玩具菓子がある。体格の良い大人なのだが見ると仮面ライダーかなにかその手のキャラクター物らしい。玩具菓子は私の子供の頃からありカードや小さな玩具が入ったのは今と変わらない。お菓子より付録の玩具が興味の主体。主客逆転してして、それも何種類もあって集める楽しみを喚起するようにパッケージもあの手この手だ。私はこうゆう物に興味が無く「お菓子が欲しいのにどうして余計なものが・・・」と思う。広告業やマーケティングの世界に進まなくて良かったと心底思う。小さな玩具を机の上に並べて何が楽しいのだろう。
この玩具菓子、子供はお小遣いを握りしめて一つ一つ集めるようにして買う。店の棚からまだ持っていないおまけの玩具のお菓子を選ぶのだから、ワクワクするだろう。中にはシリーズになっているのもあって買う楽しみ集める楽しみが何回も繰り返す。
ところが、大人は自分で稼いだお金を持っているから好きな玩具菓子を一度に何種類も買っておまけのコレクションを一気に充実させることが出来る。これを大人買いというのだそうだ。子供が小銭を握りしめて(といって最近の玩具菓子はけっこう高価い)一つ一つ集めるのに比べると、なんだが底引き網のような一網打尽という買い方だ。コレクションという点では一度に集まるわけだし、間違ってダブって買う失敗もないだろうけど、一つ一つ買い集めるドキドキワクワクする楽しみは無い。なんだか節操のない買い方に思える。

先日から eBooK Off に不正アクセスがあったとかでサイトが閉じていた。毎日欲しい本があるかどうかチェックしているパートナーさんはすこしイライラしている。今日、ようやくサイトは見られるようになったがクレジットカードの使用は出来ないという。不便だ。そこで久しぶりに Book Off に出かけてみた。たまには書棚を眺めながら本を探すのも良い。

と書棚を歩いていたら、ディック・フランシスが並んでいる。しかも100円コーナー。いつもはパートナーさんの注文の間に一冊混ぜながらネットで買っているが、これは買わない手はない。一旦家に戻りディック・フランシスの作品リストを持って出直して書棚の前に籠を持ってしゃがみリストと照らし合わせながら7冊を購入した。

私にコレクターの気質は無い。でもこれって大人買いだろうか?
家の書棚に順番に並べ満足気な顔になるのは事実だが、なにか楽しみを一つ落とし忘れてきたような感じを持つ。いずれ読むのだから安く見つけたら買っておく。それでいいのだが楽しみが減ってちょっと寂しさも感じられた7冊である。


ところで、古本屋さんで本を買うと時々前の持ち主の様子を伺う事が出来る。蔵書印や名前が記されているのもある、メモや葉書、借りた本へのお礼が挟んでいるものもある。
今日のディック・フランシスには競艇場の開催日が載った名刺大のカレンダーが挟んであった。競馬ファンじゃないの?一緒に買ったギャビン・ライアルの『本番台本』にはレシートが挟まれていた。横浜駅ルミネにある有隣堂のレシート。ほう、遠くから来たんだね。レシートには95.12.03日15:49とある。17年前の1995年。調べてみると12月3日は日曜日であった。休日のお出かけ、横浜駅で待ち合わせの間に買ったのだろうか?それとも一人散歩に出て有隣堂に立ち寄ったのだろうか?古本に挟まれたレシートは私に軽い夢想を楽しませてくれる。
ところでついでに・・・このギャビン・ライアル翻訳は菊池光さんだ。ディック・フランシスの訳との違いを楽しむことが出来るだろうか?


本番台本 (1977年) (ハヤカワ・ミステリ文庫)本番台本 (1977年) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(1977/06)
ギャビン・ライアル

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テーマ : 小さなしあわせ
ジャンル : 日記

杣人のNuages

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