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杣人・somabito

Author:杣人・somabito
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『銀河パトロール隊』

お元気ですか?

先に『ベン・ハー』を読んだ事を書いた。小学生の頃子供向けの全集で読んだ事でいつかきちんと読みたいという思いを持つようになったのだが思えば同じような再読の本が何冊かある。中学一年生になった春、図書館に並んでいたSFシリーズを毎日一冊借りて読んだ事があった。『夏への扉』ロバート・A・ハインラインはその中の一冊で、人工冬眠、家庭用ロボット、タイムトラベルといった話に引きずり込まれた。ところが子供用の本はタイトルも改題されていることが多く、図書館の本の場合手元に無いから大人向けのタイトルが分からない。長い間再読を望みながら叶わないでいた。本屋さんでたまたま手にとった本の背表紙に書かれた要約を読んで“この本だ”と再会を果たした喜びは小躍りするほどだった。
特別にSF小説ファンというわけではないので映画の原作を読むか買った本の解説を頼りに広げてゆくのだが、いつも頭の中にあるのは中学一年生のSFシリーズだ。そのシリーズの中に『銀河パトロール隊』もあった。

『銀河パトロール隊』はE・E・スミスの作品で1937年から連載が始まったという。1937年といえはパリ万博が開催された年で、ナチス・ドイツの台頭もあり科学技術が急速に注目されだした時代でもある。ジュール・ヴェルヌやH・G・ウエルズといった1800年代後半に誕生したSFは20世紀に入りスペース・オペラ、スペースヒーローものを誕生さた。『銀河パトロール隊』もその代表格と言って良いだろう。私がこの本を記憶にとどめたのは特殊なレンズを腕につけ様々な光線を駆使し宇宙海賊と戦うレンズマン達、主人公であるグレー・レンズマンのキニスンの活躍、銀河系を所狭しと飛び回る壮大なイメージによるのだが、レンズを通して精神感応で意思を伝え合うことに興味を覚えたからでもあった。私は何時も心の働きに惹かれていたようだ。同時に超高速無慣性飛行などイメージがついていけないものも多くあって必ずしも読みやすい本という訳ではなかった。とは言え、牽引ビームや光線銃、敵の攻撃から守るバリヤーなど現代では分かりやすいものも多い。当時レーダーの技術が開発されつつあり、第二次世界大戦においては日本の敗北の一因にレーダー開発の遅れが指摘されるが、現実の科学技術をはるか先にゆく作家の想像力に敬意を払いたい。

今回読了した『銀河パトロール隊』は東京創元社小西宏訳によるものであるが、奥付に書かれた購入日をみると社会人になってから買っていることが分かる。『夏への扉』同様レンズマンが頭に残っていた私がお給料を貰う生活をはじめ少しばかり自由を楽しみだした時に中学生のSFシリーズを思い出して買ったのであろう。今手元には続く『グレー・レンズマン』と二冊が残っている。ただし、当時この二冊を読了した記憶が無いから途中で止めたのだろ。私にとっては非常に珍しいことではあるがそう確信している。
それだけに、今回この本の何が面白く何が読みにくく感じさせたのかを少し意識しながら読んだ。ファンの方には笑われるかもしれないがやはり銀河を飛び回る手段が私には突飛すぎる。龍のような宇宙人や車輪のような宇宙人といったものはあまり気にならないし牽引ビームなども映画スターウォーズなどでお馴染みになっているから違和感は無い。レンズを通してのテレパシー通信も好むところだ。しかし、どうも宇宙船や宇宙服を着ての移動するその方法がどちらも私にはしっくり来ないのである。
時々集中力を欠くことはあるのだが、今回はゆっくり丁寧に読んだ。それにより壮大なスペース・オペラの面白さというのが沁みるように伝わってくるのを感じる。続く『グレー・レンズマン』も読むだろう。ただ今回の読書で私の中に何が残るのかは全くわからない。


さて、中学生の時に読んだSFシリーズにあった本でやはりタイトルがわからないが心に引っかかっているものがある。家族で宇宙旅行をする話で火星か木星か他の惑星か忘れたが衛星の一つが機械で出来ている。そして衛星の一つに子供が囚われてしまう。夜酸素がなくなる中キャベツのような植物に包まれて酸素を補給し難を逃れる子どもたち。一方母親は子供を探すのに機械衛星?に向かって「人間は子どもと離ればなれになると死んでしまう」という情報を与え機械に子供を探させる・・・。という話であったように思う。『夏への扉』と同様この本とも再会を願っている。

ネットを見ると少年少女向けのSFシリーズや探偵小説への根強いファンがいるようだ。表紙絵とともに紹介しているサイトもあり心躍る。はるか遠く戻ることの出来無い過去への思いもあって食い入るように見るのだが私が読んだシリーズを見つけることが出来ないでいる。可能ならば当時の学校図書館にあったシリーズをもう一度手にとって読みたいくらいだ。出来ることならタイムマシーンを作って小学生・中学生の頃に戻ってみたいのだが・・・。

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(2002/01)
E.E. スミス

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テーマ : SF
ジャンル : 小説・文学

『ハンニバル・ライジング』

お元気ですか?

中高生の頃、数学史や科学史に興味があって何冊かの本を読んでいたことがあった。そこで知ったのは天才的研究者が現れ100年ぐらいをかけて他の研究者がこれを追うという図と、同時代に優秀な研究者が複数現れ競うようにして同じテーマの研究が進むという図であった。そうした学問の進化の図は私に人間のダイナミックな歴史を感じさせ今自分のしている勉強を非常に魅力的なものに感じさせた。宗教も人類の精神史と捉えてみると、私達はキリストや釈迦を2000年以上追いかけていると言える。

映画や本の世界でも同様の事が起るのはビジネスが絡むから当然なのかも知れない。CIAの分析官が登場するドラマを最初に知ったのはロバート・レッドフォードが演じた1975年の『コンドル』という映画だったが、トム・クランシーの『レッド・オクトーバーを追え!』を文庫で読み、007のように敵と直接戦う諜報員とは違い本来事務方の人間に光を当てた手腕に興味を持ったし、続く数冊は面白く読み映画も観たが、次第に軍事技術的な表現が多くなるに従い人物像やストーリーの面白さが無くなったので離れてしまった。
FBIの心理分析官という存在を知らしめたのは、トマス・ハリスの『羊たちの沈黙』だろう。猟奇殺人だけを言えばエドガー・アラン・ポーの作品にも多いし、切り裂きジャックを取り上げた作品も多い。しかし、『レッド・ドラゴン』から始まるトマス・ハリスの一連の作品によりハンニバル・レクターとFBIの心理分析官は犯罪者の心理という点で注目を得ることになる。現実の犯罪捜査では動機の解明というのが重要であり事件全体を理解する決め手にもなる。殺人事件にしろ強盗にしろ犯人を特定するのと同時に犯行の動機と手段への理解がなければ犯罪を解明したとは言えない。通常では考えにくい特異な方法による殺人や連続殺人などはその方法と動機において深い理由の存在が想像される。そして私達はそこにドラマを見ることになる。

『ハンニバル・ライジング』はハンニバル・レクターの生い立ちと彼が何故多方面に渡る高度な知識を持つ殺人者になっていったのかを明らかにする作品だ。リトアニアの裕福な貴族の家に生まれながら第ニ次世界大戦の渦中で悍ましい体験をして心を閉ざすが、フランスに住む伯父夫婦に引き取られ日本人である伯母から教育を受け才能を伸ばすかたわら、妹を殺した戦争犯罪者たちに復讐を果たす。ただし本書のハンニバルに限って言えば殺人者としての彼は洗練されてはいないし方法も様様で自らも傷つく場面が多々あり私はあまり感心しない。ハンニバルシリーズに関しては『レッド・ドラゴン』からの4作品でトマス・ハリスが筆を置いているのを良しとしたい。

さて読書の楽しみは様様あるだろうが、登場人物の心理描写、心象風景に触れることで読者自身が自分の心理のひだに目を向けるきっかけを得る事もその一つだ。『ハンニバル・ライジング』では幼少期のハンニバルが家庭教師のヤコブから「記憶の宮殿」の構築と歩き方を学ぶ。これにならって私達も自分の記憶を歩くことは決して難しい事ではない。目を閉じ子供の頃だろうが最近の事だろうが思い出したい風景を頭に蘇らせる。場所、季節、時間、周りに誰が居るのかそういった様様な情報を一つ一つ確かめながらパーツを置いていくことで記憶の蘇りはより鮮明で広がりを持つ。ただし可能な限り思い込みを排除しなければならない。春だから花が咲いている、夏だから暑いといった既成の情報を記憶と勘違いすることを避け、自分の記憶と厳しく向き合うことで思いがけない掘り起こしが可能となる。
さらに、記憶とともに感情の塔に踏み入ろう。何故私はこうした感情を持ったのか。相手のせいなのかそれとも自分の中にある何かが反応して感情を引き起こしたのか。それらを探るのは決して易しいものではない。だが長い年月をかけて作ってきた感情の塔はその積み重ねられた石の一つ一つを確認することで自分の力となるもの、自分の弱点となるものを知る事が出来る。

夜、ベッドサイドの明かりを消し読書を止め記憶と感情の世界を歩く。悲しい記憶を思い出すこともあるだろう、しかし甘美なやすらぎの空間を見つけることがあるのも確かだ。時にはそのやすらぎの空間で遊ぶのも良い。迷わない限りは。

ハンニバル・ライジング 上巻 (新潮文庫)ハンニバル・ライジング 上巻 (新潮文庫)
(2007/03/28)
トマス ハリス

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テーマ : 文学・小説
ジャンル : 小説・文学

忠臣蔵三昧

お元気ですか?

先日東京に出た折に国立劇場を横目に帰ってきたのだが、師走のこの時期『忠臣蔵』がかかっているのに違いないと思い帰宅してそうそうネットで調べると、はたして「知られざる忠臣蔵」と題して『主税と右衛門七(ちからとえもしち)』『弥作の鎌腹(やさくのかまばら)』『忠臣蔵形容画合(ちゅうしんぐらすがたのえあわせ)』という普段馴染みのない演目がかかっている。国立劇場のいいところは、歌舞伎座や明治座と違いこうゆう人知れぬ演目を丁寧に紹介してくれるところにもある。

納戸から『仮名手本忠臣蔵』を引っ張りだして読んでいたこともあり、歌舞伎を見られない地方都市の悔しさもありテレビの番組表を睨みつけていたら、NHKとWOWOWで忠臣蔵を放送するという。これ幸いと録画してあれもこれも見てやろうと意を決した。

NHKは1958年の『忠臣蔵』を2週に分けて放送した。渡辺邦男監督・脚本による大映作品で長谷川一夫(大石内蔵助)、滝沢修(吉良上野介)、市川雷蔵(浅野内匠頭)他、鶴田浩二、勝新太郎、京マチ子、山本富士子といった名前に馴染みのある役者も大勢出ている。もっとも大石内蔵助や吉良上野介といった主役級の他に大勢の役者が必要な忠臣蔵だからオールスターキャストといった陣容になる。「大入り間違いなし」と言われる忠臣蔵ではあるが、制作には金もかかるし調整も大変だろうと妙な感心をしながら見た。

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長谷川一夫、市川雷蔵 他

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実は映画では忠臣蔵をあまり見ていない。最近では古田求の『忠臣蔵外伝 四谷怪談』が記憶にあるくらいだ。歌舞伎では馴染みだが『仮名手本忠臣蔵』と『忠臣蔵』は別物であるし何をどう描いているのか全体を知るにはいい機会と楽しみにした。

忠臣蔵をまとめて見ようと思ったのにはもうひとつ理由がある。『鬼平犯科帳』『剣客商売』など時代小説・歴史小説で人気のある池波正太郎は映画や食に関係するエセーも多く著している。『作家の四季』講談社文庫には「私の一本の映画「元禄忠臣蔵・前編」」というエセーが納められていて、昭和16年12月8日、真珠湾攻撃の報をラジオで聞き家の中に居られない気持ちになって飛び出し「八重洲口の二葉というレストランへ行き、カキフライでビール二本をのみ、カレー・ライスを食べてから銀座で《元禄忠臣蔵》を観たのだった」とある。池波正太郎は大正12年生まれだから当時19歳。彼のエセーには多分に創作のところもあるのだがそれを割り引いても食と映画を結びつける良い記憶だ。私など歌舞伎座に行くときは松屋か高島屋の地下で手頃な弁当を買って行ったものだがどの芝居で何を食べたかなんて全く記憶にない。

池波正太郎には『味と映画の歳時記』新潮文庫というエセーもあり、こちらの「12月《忠臣蔵》」はさらに詳しい。それによると池波が最初に観た忠臣蔵は昭和7年に松竹が制作した衣笠貞之助監督によるもので大石内蔵助を坂東寿三郎が演じているものだそうで、大晦日従兄弟に連れられて浅草の帝国館で観たとある。
今回のNHKとWOWOWの放送にこれら二作品はないが、『歳時記』の方には「その他の忠臣蔵については、大河内が内蔵助を演じた映画は、いずれもつまらなく、長谷川一夫の内蔵助は論外といってよい。松本幸四郎の内蔵助は適役だが、映画の出来ばえはさしたることもなかった。戦後の忠臣蔵では、大佛次郎原作の『赤穂浪士』を東映が映画化したものが、もっともよいと思う。監督は松田定次。」とある。

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東映5周年記念として制作されたこの映画は松田定次監督も自分が作った忠臣蔵三作品の中で最も気に入っていた作品だというが、私も同じ感想を持った。堀田隼人を演じる大友柳太朗が存在感ある演技をしている。

今回WOWOWでは松田定次監督の三作品を放送したが、1959年1月公開の作品は片岡千恵蔵の他、中村錦之助、美空ひばりが出てい娯楽性の高い仕上がりになっている。

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片岡千恵蔵、市川右太衛門 他

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東映が創立10周年記念映画として製作した1961年の作品は残念ながら無駄なシーンが多く冗長にすぎる。米沢藩上杉家の江戸家老千坂兵部は吉良上野介の息子で上杉家に養子に入った主君上杉綱憲を制する役で重要だが、大石内蔵助と旧友であったとの珍説まで使って新しくしようとしている。実際には千坂兵部は忠臣蔵の時には既に亡くなっているのだが・・・。

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片岡千恵蔵、市川右太衛門 他

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この他、WOWOWでは東映1952年の作品『赤穂城』『続赤穂城』を放送していた。浅野内匠頭が饗応役を任命されてから刃傷に及び城明け渡しに至る赤穂の様子を中心にした作品で、討ち入りは無いが落ち着いた良い作品に思えた。

NHKの放送では「にっぽんの芸能」という番組で「忠臣蔵さまざま」と題して長唄「有喜大尽」講談「忠臣義士二度目の清書」が放送されていた。有喜大尽というのは大石内蔵助のことだが、京都の色街で遊興にふけり世間の目を欺く大石内蔵助を素の演奏で聞かせる。その長唄の中に「大石ならぬ軽石」と大石内蔵助を軽蔑する台詞が出てくる。松田定次の映画の中にも茶屋から帰る大石内蔵助を武士が囲んでいたぶるシーンがありこの台詞が使われていた。長唄は明治に作られたそうだから監督が頂戴したのだろう。こうゆう発見も面白い。

映画や芝居はリメイクや演出を変えて上演する事が出来る。忠臣蔵のように本筋の話とは別に外伝や個々の人物にスポットを当てた銘々伝など色々な角度から新しい作品を作ることも出来る。最近のオペラのように突飛な演出は好まないが、時代考証などをしっかりた良い作品を見たいと思う。時には今回のように集中的に見ることで比較して楽しむのも良い経験になる。

テーマ : 邦画
ジャンル : 映画

『ベン・ハー』

お元気ですか?

当地の天気予報にも雪マークが見られるようになってきました。とはいっても雪が降るのは山奥の方、私達が住んでいる処では一年を通じて3~4日それも粉雪が舞う程度にしか雪が降ることはありません。そこで冬になると私は金沢など雪のある処に出かけ冬の味覚を楽しみたくなります。寒ブリや松葉ガニ、かぶら寿しを楽しみながら温泉に入る・・・。そんな冬が楽しみです。


ルー・ウォーレスの『ベン・ハー』を読みました。古書整理をしていて出てきたのを手元に残しておいたのです。『ベン・ハー』と云えばチャールトン・ヘストンが演じた映画が印象的ですが、私の『ベン・ハー』との出会いは少年少女世界文学全集の中に入っていた一冊です。ただ、白い箱に入った本だったのですがどこの出版社だったのかが分かりません。先日からネットでも探し、全集の中に納められていた他の作品も思い出しながらの探索が続いています。
それにしても小学生の頃に読んだ本が未だに記憶を揺さぶるのですから読書の力というのは大きいものです。子供向けの本でワクワクしいつかはきちんと作品を読んでみたいと思い続けていたのがようやく実現したのですから気の長い話です。今回読んだのは新潮文庫の白石佑光さんという方の訳。300頁を超える堂々たるものですが、あとがきに拠ると「バンタム版の省略本を底本にした自由訳」と書かれています。完全訳の本もあるようですがどう違うのでしょう。

実は今回読んだ文庫本はパートナーさんの本で奥付から大学生の頃に読んだ事が分かります。映画もこの頃に見たそうですがパートナーさんはローマの剣闘士なども好きで最近の映画などもよく見ています。『ベン・ハー』の影響が大きいのでしょう。

さて、ストーリーはエルサレムに住む豪商の息子ユダが赴任してきたローマ人の総督ヴァレリウス・グラトスを見ようと屋根から身を乗り出し崩れ落ちた瓦が総督にあたったことで犯罪者として捕らえられことから動き出します。友人だったローマ人のメッサラはユダの母親と妹を牢獄へ監禁し家財産を奪い、ユダもガレー船の漕ぎてにさせられてしまいます。とユダ=ベン・ハーの復讐劇が始まります。
ベン・ハーの復讐はメッサラとの戦車競技という山場で描かれます。同時にユダヤ対ローマという対峙が描かれ、「ユダヤの王」キリストがベン・ハーの興味の対象になってきます。ユダヤ人を圧政のもとに置くローマ人に対して開放を願いそれを導く「ユダヤの王」の存在。しかし、現実の政治を行う王と魂の国の王であるキリストの存在にベン・ハーは理解が及ばず苦悩します。
物語では、キリスト誕生に立ち会った三賢人の一人エジブト人のバルタザールが登場し、彼が説く魂の王国の話はキリストが単にユダヤ人だけを救うのでは無く、世界の民の救世主であることをベン・ハーに伝えます。そして十字架にかかるキリストの前でベン・ハーは神の国での新しい命を悟るのでした。

読んでいてなるほど、こうゆう本を通じてキリストを知るというは良いものだと思います。物語の力というのは大切です。

さて、『ベン・ハー』を読んでいて気になる事がありましたので、ちょっと整理してみましょう。

まずベン・ハーが新任のユダヤ総督ヴァレシウス・グラトスに屋根瓦を落とし囚われてしまったのは、ベン・ハーの家があったエルサレムでの事です。捕らえられたベン・ハーはローマに送られますが、途中ナザレの村で21歳のキリストに出会い水を飲ませてもらいます。ナザレはエルサレムの北100㎞ほどの処にあります。
ローマに送られたベン・ハーは罪人としてガレー船の漕手になりクイントス・アリウス提督の船アストライア号に乗りますがこの船が停泊していたのが軍港であったナポリ。物語の最後にベン・ハーが別荘を構えるのが「ナポリ湾を見おろすミセヌムの別荘」と出てくるのですが、ガレー船に乗せられアリウス提督と出会った運命の場所としてベン・ハーが選んだのでしょう。ナポリ湾の南西に突き出した岬にミセヌムはあります。
ベン・ハーの乗った船はイオニア海を南下しキュテラ島を周りキクラデス群島ヘ向かいます。ナクソス島のあるあたりで海賊と戦い沈没して提督を救った事から養子となるのです。海戦が終わりローマの船団はミセヌムに帰港します。
養子となったベン・ハーは4年後シリアに来てハー家で父親の下仕事をしていたシモニデスを訪ねます。シモニデスはハー家の財産を守り豪商となり「アンテオケのシモニデス」と呼ばれていますが、残念な事にアンテオケの場所が分かりません。しかし、文中オロンテス川というのが出てきますのでそれを元に推察するとちょうどハマーという町の北西20㎞ほどの処にマハラダという発電所ダムがありここからハマーに流れる川がオロンテス川であることがわかりました。ハマーは紀元前から続く都市でオロンテス川による肥沃な土地のため農作物も豊かな処です。豪商の拠点としてふさわしい処でしょう。
そして、ベン・ハーはこのアンテオケの町で賢人バルタザールやイルデリム族長と出会いながら宿敵メッサラと戦車競技で対決し復讐を果たすのです。

『ベン・ハー』を読みながらエルサレムやシリアといった馴染みの薄い土地をGoogleマップで探してみます。イタリアもナポリの近くヴェスビオ山やソレントはお馴染みですが、ミセヌムは全く気に留めない場所でした。便利な地図のお陰で読書が楽しくなります。ナポリに行ったらミセヌムを訪ねてみたいと思います。

「ねぇ、戦車競走のところ読んだのなら気がついた?」とパートナーさんが言います。
「映画だと車輪を壊すのはメッサラだけど、本ではベン・ハーがメッサラの車輪を壊すんだよ。」と。
まだそこまで読んでいなかったので「あっそう。」とつれない返事をしていまった私。
パートナーさんはちょっと拍子抜けして面白くありません。でも、大学生の頃に読んで映画との違いに気が付きそれをずーっと記憶していたんですね。感心します。
ベン・ハーが乗ったのはギリシャ型戦車で重心が低く頑丈な造り、反してメッサラが乗ったのはローマ型戦車で綺羅びやかな装飾も施されたものなのだそうです。

小学生の頃に子供向けの本で読んだ『ベン・ハー』ですが、その楽しさが大人になった今も文庫本を読みながら味わえる。寒い冬ですがそんな読書の魅力に浸っています。


ben hur

テーマ : 文学・小説
ジャンル : 小説・文学

五十番

お元気ですか?

14日の土曜日、急な用事が入り東京に出向くことに。午前中は家で予定していた事をやりお昼を食べてから出かける。
東名高速はそれほど混んでなく富士山もくっきり見えて気持ちがいい。

「今夜は討ち入りだね。本当は今日は吉良町に行って温泉入りながら町の人達がこの日をどう過ごすのか知りたいんだけど・・・」と先日から『仮名手本忠臣蔵』を読んだり忠臣蔵の映画を見ている私が言うと。
「堤を作って治水事業をしたり地元では良い殿様なのにね」とパートナーさん。私達が住んでいる町から吉良町は近い。歌舞伎でさんざん楽しんだのだからその御礼にも是非吉良町を訪ねたいと思っている。

そんな会話をしながら港北PAで休憩し、さぁもう少しで料金所だと出たとたん、事故渋滞にはまってしまった。左側には川崎の出口があるのだが車線も詰まっているし此処で降りても行き先の水道橋までは時間がかかる。ここは渋滞が解除されるのを待つことに賭けよう。
と、のろのろ待ちながら東京の料金所まで一時間以上かかってしまった。しかも料金所から横並びの車が三車線に集中するから物凄い時間がかかる。むりやり割り込んでくる車や間に入れまいと車間を詰める車、一台二台前に出たからといって何が変わるでもないのに運転手の人柄が出る。こうゆう時は割り込んだり詰めたりしないでさっさと車線に乗ってスムーズな流れを作る方が渋滞は解消されるのに・・・。
用賀の出口を超えたところで、二台の追突車両がまだ事故処理の最中。年末だというのにお気の毒な事だ。

渋滞が解けたのでスピードを上げ水道橋に向かう。久しぶりの首都高、しかも日も暮れてしまった。カーナビは西神田を目指している。渋谷ヒカリエは始めて見るがすぐ後ろのクロスタワーは馴染みのビルで私が使っていた頃は東邦生命ビルと言っていた。クロスタワーを過ぎると昔は富士フィルムのビルを見ながら虎ノ門を目指したが今は目の前に六本木ヒルズが銀色に立ちふさがっている。いつ見ても不気味に下品なビルだと感じる。
見づらい掲示板、左から右からと合流を繰り返す車線、首都高は本当に危ない道路だと思う。飯倉からの合流を過ぎたところで追突事故を起こした車の人が道路に散らばったガラスを竹箒で履いている。
西神田で降り靖国通りに出て神保町の古書街を通りぬけ目的地につく。ふぅ、無事についた。

私が用事をしている間、パートナーさんは神楽坂に出かけた。勤めた会社の本社ビルが神楽坂にあったのでパートナーさんにとっては懐かしい場所。夕方になるとお座敷に出る芸子さんが歩いていた町でもある。私も馴染みのところなので(お座敷ではないですよ。)神楽坂ではパートナーさんと話が盛り上がる。今は無くなったが夏目漱石も通った俵屋という洋食屋で食べたハヤシライスも懐かしい。

私の仕事が終え、パートナーさんと合流する。
「ギンレイホールがまだあったよ。」と嬉しそうに話しだすパートナーさん。神楽坂の入り口にある古い映画館。私も休みの日にヴィスコンティの映画を見に行った事がある。少し上がると神楽坂の甘いものでは外せない紀の善があり、あんみつがお薦め。不二家のペコちゃん焼きはここだけにしかないから笑えるおみやげならこちらかな。そうゆう店はパートナーさんが上司に連れられて行ったり、先輩女史から命じられて買いに走ったりした処。
「あっそうだ、たつみやがまだ昔のままでお店やっていたよ。うな重3500円だったよ。」とこれまた懐かしい店の名前が出てくる。上司に連れられてお昼に来る時には前もって電話をいれておかないといけない。注文を受けてから焼くから時間がかかってお昼休みが終わりそうになる。と勤めていた頃私に話し「ジョンレノンも食べに来てたんだよ。」とビートルズを知らないのにたつみやを自慢にしていたパートナーさん。私も一度畳に座って鰻を食べた事があった。昔風の小じんまりした店が池波正太郎の作品にでも出てきそうな空気を醸している。

そんなパートナーさんが神楽坂からおみやげに買って来たのは、神楽坂の中程にある中華店の五十番の肉まん。パートナーさんが入社した時に歓迎会を開いてもらった思い出の店。昭和32年創業というから神楽坂の老舗といってもいいだろう。店の入り口にある対面カウンターでは肉まんの他にも黒豚まんや五目まんなど何種類ものまんじゅうが並んでいるがやはりここではスタンダードな肉まんがいい。ところがこの日はその肉まんが売り切れ。パートナーさんはわずかに残っていたミニ肉まんを3つ買ってきた。ちょっと残念だけど、それでも五十番に行った喜びは大きい。

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靖国通りを走っていると建築工事の大きな囲いが左手に見える。九段会館のあった場所だ。震災で死亡者を出す事故の後営業を止めた九段会館。歴史的建物の意義はあるのだろうがどうなるのだろう。
内堀通りに入り、千鳥ヶ淵、イギリス大使館と夜の中に認めながら国立劇場に別れる。何度も歌舞伎を見に来た劇場だ。正月になるとNHKの中継車が何台も並ぶ車寄せ。今度来るときはホテルをとってゆっくりと芝居見物に来よう。

首都高に入り帰路につく。忙しく懐かしい東京。今年もあと半月しかない。

テーマ : 日記
ジャンル : 日記

『六道遊行』

お元気ですか?

寝ている間に天候が変わり明け方近くと思える頃物凄い風と叩きつけるような雨が耳に聞こえてきた。とはいっても目を開けるわけでも時計を確認したわけでもない。そのまままた寝入ってしまった。
いつもより少し長く布団に入っているとパートナーさんの起きだす気配に目が覚める。なるほど天気予報で言っていたように昨日より気温は高いようで布団から起きだすのが苦にならない。
ゴミを捨てに行っていたパートナーさんが「西の空から晴れてきているよ」と嬉しそうに戻ってきた。「ゴミ捨て有難うね。」と言って洗面を終わらせ着替えてテレビをつけ朝食の準備をする。

という風にごく普通の日常の様子もさて文章にして書き表そうとすとなかなか難しい。その難しい事を仕事とする作家というものは大したものだと感心する。

石川淳の『六道遊行』を読んだ。古本の整理をしていて『新釈古事記』(ちくま文庫)が出てきたのをきっかけに石川淳を読んだことがなかったのがふと気になり、Book off に出かけ棚にあった一冊を買ってきたのだ。『新釈古事記』はパートナーさんの本で三浦佑之の『口語訳 古事記』と一緒に出てきたもの。これらの古事記はまた改めて読むこととしよう。実は Book off では連城三紀彦の『戻り川心中』も探したのだが、『恋文』や『隠れ菊』の下巻を見つけたものの買わずじまい。『隠れ菊』は当地を舞台にした作品だからいずれ読んで見ようと思う。

さて、石川淳であるが、文学史やフランス語の勉強の折に名前を知っていた程度で全く近づく機会を持たなかった作家である。太宰治や安部公房なども私の読本の系譜ではないからきっと石川淳もそうゆうことなのだろうと思う。だから今回読む気持ちになったのも私の知らないものを少し穴埋めしておこうという気持ちであってディック・フランシスやジョルジュ・シムノンを長年待ってようやく線路が交差したところで飛び込んだように、満を持してという訳ではない。『六道遊行』を手にとったのもその題名に興味をひかれたからで果たしてこの本を一冊目として読むのがいいのかどうかもわからない。

“六道”と聞いてなんのことやらと分からない人は Wikipedia を見ると良い。パートナーさんがすぐ「地獄とかそうゆう話でしょう」と答えたのには私の方が驚いたが、仏教で天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道という六つの世界を迷い転生する考えであるが、仏教というよりそれ以前のインド土着の宗教に由来するというほうが正しいだろう。

さて、『六道遊行』であるが、これは一つの奇書である。天平時代、藤原仲麻呂の権勢からはじまり孝謙女帝や道鏡といった歴史の流れを縦糸にしながら盗賊の小楯とその一派が働きを重ねる。しかも首領である小楯は杉の木の精である白鹿の導きを得て現代にタイム・トラベルしそこでは浦見大造という興行師と真玉という女帝が無法な騒ぎを繰り広げている。小楯は真玉に玉丸という男の子を産ませることで現代とのつながりを強めて引きあうように二つの時代を行き来するのであるが、天平では女帝の、現代では真玉の女の色と欲とに群がる男の野望のなんと虚しいこと・・・。無宿とか風と呼ばれる小楯の姿が清々しい物に見えてくる。
物語のラスト、咒法を学ぼうと志していた小楯に葛城山を目指す時が訪れた。小楯は言う「死生一條。天地の一気にあそぶのみ。地上はすでに見た。地下も生きながらのぞいた。これからは天上を見ることをねがう。山林の行者は天に通ずる。法を究めること深ければ、死して活路をひらくは天上か。盗賊の最後の大願。その法をぬすむ。おれは霊山によじて、いまだ見るに至りぬ世界にあそぶ。」と。
小楯は大杉の精・白鹿に見送られながら葛城山を目指す。

正直な処私の好みの本かといったら違うと言うだろう。だが、歴史の知識、所々に出てくるフランス語などを通じて厚みのある作家であることはすぐに伝わってくる。1983年発表の作品であるからタイム・トラベルというのも驚くほどの設定ではないが、二つの時代をまたぎながら人間の欲の世界を自由闊達な筆で描いている。その筆の自由さに感心する。
石川 淳は1899年(明治32年)生まれで1987年(昭和62年)に亡くなっているから『六道遊行』は83歳最晩年の作品なのであるが、これほど自由で大きな作品を書けるとはよほど太い人なのだろうと想像する。

さて、Amazonのコメントなどを見ると短編なども評価が高いようである。どこかで縁があったらまた手にとることになるのだろうか。その縁を知るのが私の読書の楽しみでもある。


六道遊行 (集英社文庫)六道遊行 (集英社文庫)
(1995/01/20)
石川 淳

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テーマ : 文学・小説
ジャンル : 小説・文学

腰痛改善

お元気ですか?

12月に入りさすがに寒い日が多くなってきました。煖房はまだ入れていませんがお風呂にゆっくり入ったりして体が冷えすぎないように気をつけています。

11月から続いていた腰痛が改善してきました。一時は歩くのも辛かったのですが、股関節をぐるぐる回したり、開脚して屈伸をしたりと血行を良くし筋肉をほぐし・・・と時間があれば体を柔らかくします。寝る時は腰に低反発ウレタンで作った座布団をあて足を少し高くして腰の反りをなるべく小さくします。それでも朝起きると体が固まっているので屈伸やストレッチをしてほぐさなければなりません。

スポーツジムではストレッチポールを使って背骨から腰骨、お尻や腿をこれでもかというほどほぐしてゆきます。エアロビクスに出ていてもインストラクターに「大丈夫?」と言われながら「大きく動けなくてゴメンナサイ」とことわり、跳んだりはねたりをしないようにします。

そんな生活を一ヶ月。

サリーブでジビエを食べワインを沢山飲んで体も心を開放したせいでしょか?朝起きると腰の痛みが薄くなっている気がします。試しにハムストリングのストレッチをしてみると、お尻の上のほうに感じていたピキピキと言った痛みがありません。ストレッチをしながら痛みを感じるところを探しますが薄っすらと残っているもののかなり改善しているのが分かります。これってワインを飲んでほぐれたのかな?なんて手前勝手な事を思います。

飲み疲れもあってのんびり過ごした夕方、温泉に出かけます。色々なお風呂につかりながらジェットバスで仕上げをします。腰はもちろんですが、お尻や太ももといったところを強力なジャグジーでほぐすのですが、腰への直接よりも太ももをほぐすことで腰痛はかなり良くなります。
1時間近くお風呂で温めほぐしたら腰痛は気にならないほどに良くなっていました。

それでも・・・。

今日のように寒い朝は布団から出てストレッチをします。健康なつもりでも老いは確実にやってきます。それを現実として受け止めどう付き合ってゆくかを考えましょう。まだまだやりたい事は沢山あります。行きたい処見たいものも沢山ありますから腰痛に負けていられません。
腰痛は私の自戒へのバロメーターと思い付き合っていけば意外と良い関係が作れるかもしれませんね。

寒い冬です。皆さんもどうぞ体にはお気をつけください。

テーマ : 心と身体
ジャンル : 心と身体

ジビエとワインを楽しむ会

お元気ですか?

久しぶりにレストラン ラ・サリーブに出かけてきました。今回はいつも私達がワインを買っている PNIER さんの企画でシェフが得意とするジビエ料理をいただきながらワインを楽しもうという趣向です。以前にもサリーブでジビエを頂きこのブログでも紹介したことがありますが、今回はベキャスや雷鳥といった珍しい食材は使わず猪や鹿といった素材でジビエ料理をお願いしてあります。ワインは PNIER さんがこれぞというワインを選んでくださっていますからおまかせ気分でしっかりと楽しませていただきましょう。

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最初にクレマン・ド・ブルゴーニュ ロゼNV(ルー・デュモン)という発泡酒で乾杯です。
仲田 晃司さんという日本人醸造家がブルゴーニュで作っているワインです。キメの細かいしっかりした発泡酒で、こうゆう上質なワインを日本人が作っているというのは嬉しい事ですね。
真鴨のパテとチーズのカナッペで始まりました。

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続くお料理は猪のスモークハムとコンフィ。そして猪のセルヴェル黒米リゾット添えバルサミコ風味です。ハムもコンフィも最高の出来!そしてセルヴェル(脳みそ)ですがプルプルしていて煮詰められたバルサミコをつけながら頂きますが食感は白子のようです。

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ワインはエルゲンガルデン2009(マルセル・ダイス)というアルザスの白ワインとブルゴーニュ・ルージュ マグナム1999(クルティエ・セレクション)。
マルセル・ダイスのエルゲンガルデンはリースリング、ピノブーロ、ピノノワールなどの葡萄を混ぜて作られるそうなのですが摘み取った葡萄を混ぜるのではなく同じ畑でそれぞれ育つうちに似たような性質の葡萄に育つのだそうです。初めて知りました。
ブルゴーニュ・ルージュは軽めの爽やかな赤ですが、マグナムボトルだけあって柔らかく熟成が進んでいるようです。静かで飲みやすいワインでした。

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お料理は鹿の岩塩板青胡椒ソース。当地で有名な片桐さんという猟師さんがハート〆というストレスを減らしてから処理する方法で精肉に仕上げた和鹿のお刺身。岩塩の板の上に載っていますのでゆっくりと肉に塩味が染み込みます。青胡椒の入ったオリーブオイルをつけて頂きます。鹿の臭みなど全くありませんし柔らかくて美味しいお肉です。
レモングラスのグラニテでお口直し。

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そして真鴨のアンクルート 山椒ソース。山形で育てられた真鴨を使っていますが、なんといっても今回は山椒ソースが絶品です。シェフに「フランスにも山椒ってあるの?」と聞いたら「無いけど家に沢山あったから試してみたんです。山椒に生姜を加えたらいい感じになりました。」と教えてくださいます。こうゆうオープンなシェフの人柄がお料理の美味しさに出ていて私は大好きなのですが、和の素材を使いながらきちんとフランス料理のソースに仕立てているところが素晴らしいですね。

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ワインは PNIER さん一押しのシャトー・ボーカステル・ルージュ マグナム1996。シャトーヌフ・デ・パプの作り手として有名なボーカステルの赤ワインをマグナムボトルのゆったりした熟成でいただきます。最初は瓶からついでもらいましたが二杯目はデキャンタして少し休ませてから。力強い個性を持ったワインですがやはり表情が変わります。そうゆうワインの変化を楽しむのもいいものです。

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チーズの盛り合わせとデザートでおしまい。

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ワインの最後はモリノ・レアル(テルモ・ロドリゲス)。スペインの少し甘さを感じさせるワインです。デザートワインというほどの甘さはなく、食事を締めくくるにはちょうどいい感じです。

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最後に今日飲んだワインを並べて記念撮影。

シェフの素晴らしい料理を楽しみながら、PNIER さんが用意してくれたワインを十分に堪能しました。他のお客さんとの会話も弾み満足の4時間でした。

テーマ : ワイン
ジャンル : グルメ

CDの劣化

お元気ですか?

12月に入りました。年末を迎え気ぜわしい事も無くベランダから見上げる空からは太陽が暖かい光を届けてくれています。その太陽に向かって飛び消えてしまったアイソン彗星・・・、パートナーさんは太陽を周り飛び去って行くアイソン彗星を見送りたいと言っていましたが、突然の消滅にすっかり残念そうです。(私はこうなるのではと予想していたのですが)天体の動き、何が起こるか分かりません。だから楽しいのですね。


前回は古本の片付けについて書きました。我が家には本の他にCDやレコードがありますので、これも少し整理しなくてはと思いCDの箱をゴソゴソやります。
パートナーさんも私も音楽が好きなのですが、私が聴くのは主にオペラや歌曲、室内楽です。パートナーさんはピアノ、バイオリン、交響曲と見事に重なりません。その結果レコードはダンボール箱15個ですから1000枚ぐらい、CDは6箱ありますから500枚ぐらいになっています。でも、レコードの好きな方はこんな枚数はざらに聞く話です。
レコードの方は手を付けると大変なので、CDから始めてみます。

納戸から一箱づつ出して中を確認します。フルトベングラーやクナッパーツブッシュといった懐かしい指揮者が出てきたり、マリアカラスやシュワルツコップといった歌姫が出てきます。「あぁこれは僕の箱だね。」そう言いながら処分してもいい物を選びます。当然ながら声楽関係は処分しません。田谷力三や浅草オペラといったどうしても手放せないものもあります。柳兼子(柳宗悦の奥さんです)といった日本の声楽の大先輩のCDもあります。私にとっては貴重な宝物です。
一方古いフランスの民族音楽や声楽でもこの先聞き直すかなと思うものは手放すことにしましょう。

そうやって一つ一つ選んでいる時に、バッハのセット物が出てきました。

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アルヒーフというレーベルの輸入盤です。
中に入っている解説によるとポリドール株式会社が販売していたものなのですが、開けてびっくり・・・。
写真をクリックしていただくとわかりますが、CDの印刷面が茶色く汚れているのです。何か腐食したような感じです。

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裏返してみると光が当たる面も腐食が進んでいるのでしょう、筋が入って透けるように見えます。これだけのダメージを受けているのは珍しいですね。

購入当時このCDセットはケースの中に薄いスポンジが入っていました。CDを傷めないようにと入っていたスポンジなのですがなんとそのスポンジが溶けてCDの印刷面にくっ付いてしまうという事故が起こりました。当時私はすぐレコード店を通じて販売元に調査と対応をするように要望したのですが、残念ながら店員の怠慢から話が進みませんでした。
私は購入したCDに入っていたスポンジは全て取り除いて対処したのですが・・・。

久しぶりに見たCDは無残です。印刷面には腐食と劣化したプラスチックで粉が吹いたようになっています。これではプレーヤーにかけることもできません。スポンジを取り除いたにも関わらずCDが劣化したとなると、粗悪な製造だったということでしょう。CDが発売された当時、プラスチックなど素材の経年劣化を問題視して寿命は30年だとかと言われていた事がありました。もちろん便利さにおされて瞬く間にLPの市場は小さくなっていったのですが、これだけ無残なCDを目の当たりにするとかなり悲しくなります。
CDの劣化はネットで検索すると幾つかの記事があり原因や対処が分かります。レコードの話をするのにエジソンを持ち出す事もありませんが、ファオノグラムが発明されたのが1877年136年前です。LPは1948年にグラムフォンが最初に発売したそうですから約65年、CDは1982年に生産が開始されています。私も1984年にソニーのCDプレーヤーを買っています。最近ではSACDという次世代規格のCDが登場し私もプレーヤーを検討中ですが、CDの劣化に対する対応はどうなっているのでしょうね。DVDやBlu-rayディスクはどうなのでしょう。


ちょっと気を取り直してメーカーのカスタマーセンターに電話をしてみました。
ポリドール株式会社は今はユニバーサル・ミュージックに吸収されています。

ポリドールが販売していたアルヒーフのCDであること、スポンジによる融着に気付いたのでスポンジは取り外していた事を話しました。その上で何か保障対象にはなるのか、ならないにしても何か情報はあるのかとの思いです。
電話対応をしてくださった男性の方の話ではスポンジが溶けてCDの印刷面を腐食する事故は報告があったとのことですが、スポンジを外した状態で劣化が進んでいたというのは聞いたことが無いということでした。そして古いCDであることで保障など対応は出来ないとのことでした。

CDが台頭してきてLPが急速に衰退した当時レコード針が無くなるのではないかという話がありました。確かにレコードプレーヤーは数が少なくなり選択肢が極端に狭くなりました。でも今も有りますし針だってちゃんと流通しています。古いものが良いとは言いませんがCDやDVDなど新しいものが無条件に良い物とも言えないですね。

こうしてCDを整理しながら、新しく揃えるレコードプレーヤーをどうしようかとちょっと複雑な気持ちで考えてしまうのでした。


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