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杣人・somabito

Author:杣人・somabito
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『シスターズ・イン・クライム』

お元気ですか?

当地では雨降りが続いています。パラパラと降ったりザァーっと降ったり。

『シスターズ・イン・クライム』 (ハヤカワ・ミステリ文庫)マリリン・ウォーレス編を読んでいます。女性ミステリー作家によるアンソロジーで、22人の作家を集めていますが私が知っている作家はテリー・ホワイトとサラ・パレツキーの2人だけ。
私がこの本の存在を知ったのはテリー・ホワイトの『真夜中の相棒』などを読んで他にも作品が無いかと探していた時です。すでに古本でしか手に入らなかったテリー・ホワイトですのでネットで情報を集めていたのですが、この本に収録されている「殺し屋ザック」という作品がどこかのサイトで紹介されていました。
そこで、『シスターズ・イン・クライム』を調べるのですが、1991出版の文庫本ですのであまり分かることも無く、Amazonで本の存在は確認出来るのですが、本当にテリー・ホワイトが収録されているのか確認が出来ません。それで購入することもなくそのままになってしまっていました。

最近、図書館を利用しています。ムーミンや桜木紫乃さんを借りたり、当地出身のジャズピアニスト上原ひろみのCDを借りたりと積極的に使わせてもらっているのですが、思い出して『シスターズ・イン・クライム』を検索してみると在庫があります。本に収録されている作家も分かりテリー・ホワイトの「殺し屋ザック」が在ることも確認できましたので早速取り寄せてみました。22人のトップバッターで収録されています。

アンソロジーの良いところは単行本未収録の作品であったり、書き下ろしの作品を読めたりするところでしょう。そして、私のように好きだけれどそれほど深くない人間にとっては未知の作家との出会いも期待出来ます。
「殺し屋ザック」は裏切られた殺し屋が逃げる途中でヒッチハイカーの少年と出会う様子を描いたものでテリー・ホワイトらしい雰囲気が充分に楽しめる短編です。
その他の作家たちはパレツキー以外は全く知らないので、読みながら相性のようなものを探しますが、今のところこれはと思うものに出会っていません。それでもせっかくですから22人全員は読むつもりで貸出の延長もしてきました。

さて、テリー・ホワイト。以前見たサイトでは「殺し屋ザック」の他に雑誌収録の短編がもう1点翻訳されているようです。ところがそのサイトがどうしても見つかりません。「殺し屋ザック」も2年越しの出会いですから、気長に探すことにしましょう。

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ではまた。

追記)

その後ネットをお散歩していたら、

「殺し屋ザック」 Role Model はミステリマガジン1989年9月号 No.401 に掲載され
その後『シスター・イン・クライム』1991年に。そしてその他に
「深夜勤務」 Graveyard Shift が ミステリマガジン1991年5月号 No.421に
「妖精と話をした少年」 The Boy Who Talked to Fairies がEQ1998年3月号 No.122
「ランナーと死の配達人」 Runner and the Deathbringer が ジャーロ(Giallo)2000年秋号
という雑誌に翻訳されて紹介されていることが分かりました。
神田の古本屋さんなら探せば見つかるでしょう。当地では気長に運を頼りに出会いを待つことにしましょう。
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函館の美味しいもの・・・続き

お元気ですか?

函館の美味しいものと言えば海鮮料理、お寿司、塩ラーメンと代表的なものが思い浮かびます。函館朝市に並ぶ海鮮丼や定食のお店はけっこういいお値段をしていますので、出来る事ならお寿司屋さんを楽しんで欲しいということを以前書きました。確かに朝市にある海鮮丼のお店は目移りしながら選ぶ楽しみもあり時間の限られている観光客には便利かもしれません。でも、電車に乗って20~30分もすれば駅前から五稜郭公園、湯川といった違うエリアに移ることが出来ますからどうぞ色々なお店を試してみてください。

フランス料理は唐草館に決まっている私達ですが、お寿司屋さんは五稜郭のひろ季さんを中心にして色々と試しています。それぞれのお店の雰囲気、お客さんとの距離感、握りやおつまみのバリエーション、そんなものを楽しみながら新しいお店も開拓しています。
7月まで3ヶ月間函館に暮らしていて五稜郭エリアに居酒屋さん、小料理屋さん、お寿司屋さんと新しい店が頑張っているのに気が付きました。もちろん以前から繁華街ではあったのですが、行ってみたいと思える店が増えたように思います。

今回お寿司屋さんで新しく入ったのが五稜郭にあるすし蔵さん。立派なカウンターの真ん中に店主が立ち私達を迎えてくださいました。お刺身をいただきながら北海道のお酒を選び、少しずつ始めてゆくと店主自慢の一品料理も出てきます。それぞれに店主のうんちくがくっついていますが、それは煩いものではなく地元食材の新しい知識として楽しみます。
お話の中でご主人が駅前のお寿司屋さんひさご寿しの息子さんだと知ります。そうかな?と思っていたのが当たったようです。そのひさご寿しさんは最近店を閉じらました。駅前の立地で観光客はもちろん地元の人や社用と幅広く対応する良いお店だっただけに残念です。函館の寿司屋さんとしては少しいいお値段のすし蔵さんですが、店主こだわりのお寿司を楽しめることを思うと充分に満足出来るものでした。

函館で楽しむのはお寿司ばかりではありません。今回はタチカワカフェにも行ってみましょう。
金森倉庫の煉瓦の建物はすっかりおみやげ屋さんになっていますが、そんな煉瓦街を散歩して函館ドックの方へ向かうと明治天皇行幸を記念した碑を発見します。ここから公会堂を眺める風景は定番です。観光は歩くのが一番。ふとした場所でお気に入りの風景を見つけます。

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さらに歩くと、車もめったに通らない静かな通りにタチカワカフェはあります。

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米穀商、回漕業で財をなした太刀川商店は函館の豪商の一つとして知られ、太刀川家住宅店舗は国指定の重要文化財になっています。その100年以上前に建てられた米蔵をカフェにしての新しい創生。函館人には馴染みのある太刀川さんですし、観光で訪れる方には函館発展の歴史の一部に思いを寄せていただきながら喫茶や食事で一休みというのはいかがでしょう。

さて、函館で是非食べていただきたいものに塩ラーメンがあります。ネットや情報誌をみると必ず評判の店が載っていますからそれこそ自分の勘をたよりに試してみるのも良いでしょう。一回の観光で何軒も食べ比べてみると言う方もいるかも知れません。
今回私がもう一度行ってみたかったのが松風町にある鳳蘭というお店。

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何年か前にパートナーさんと一緒に入った事があるのですが、その時は柔らかい焼きそばをいただいています。海鮮の具ののった焼きそばは餡かけのようになっていてお好みでソースをかけて食べるのが美味しいのです。今回は定番中の定番塩ラーメンです。透きとおったスープは函館の塩ラーメンの真骨頂。胡椒をふって少しアクセントをつけた方が美味しさが引き立ちます。
懐かしい味を楽しんだ私がお店の人に「こちらのお店は何年ぐらいになるのですか」と訊くと客テーブルで休んでいたご主人が「此処に来て50年以上だね」と答えてくださいました。
「小学生の頃にも来ていて懐かしくて・・・」とお礼を言いお店を出ました。
どうぞ、函館にいらした際にはラーメンもお試しください。そしてまた来たくなるお店を是非見つけてください。

お寿司屋さんから気軽に入れるラーメンやさんまで、小さな町函館には美味しいお店が沢山あります。観光を楽しみながら是非美味しい函館をご堪能ください。

ではまた。






函館の美味しいもの

お元気ですか?

函館に行くと毎回美味しいものを食べてくるのですが、お決まりは唐草館のフレンチ。季節が違えば旬の食材も変わってきますし、シェフのチェレンジを味わえるのが楽しみです。

今回も着いた日に予約を入れ土曜日に食事をしました。事前に予約を入れるのは当然なのですが、余裕を持って予約することでシェフにお料理のイメージをふくらませて欲しいと思っています。私達の好みはよくご存知ですから・・・。

予約した時間には少し早かったので近くを散歩してみます。期待をふくらませるのはお客さんの役目。レストランに行くために着替えたり、楽しい会話を重ねたりしながら心を整えていきましょう。

挨拶をして席に案内されるとすでにメニューがテーブルに置いてあります。それを見ながらワインを考えて白ワインはマコンと少し発泡性のあるもの。マコンがよく合っていました。

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スタートは「近海の平目の昆布〆」に続き「カニとキャビアと胡瓜のジュレ」。
平目の昆布〆は肉厚の平目が上品に仕上がっていて癖がなく美味しい。カニとキャビアも胡瓜のジュレで爽やかなお皿になっています。私が家で作るとどうしても青臭さが立ってしまう胡瓜がどうしてこんなに美味しくなるの?

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ワインは白から赤に変わります。幾つか候補を挙げソムリエであるマダムに相談した結果、ニュイ・サン・ジョルジュ2005年に決めました。このあたりで他のテーブルにもご夫婦やグループがつき、マダムやサービスの女性が忙しくなります。いつもは離れたテーブルで頂いているのですが、今日は広いフロアーのテーブルです。自分たちのお料理を楽しむのは大切ですが、他のお客さんの様子もちょっと気になります。どんな料理を楽しんでいるのか、ワインは飲んでいるのかといった事を気にしながらお店の中が楽しい空気で満たされていくのを感じましょう。

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「フォアグラのポアレ 福田農園王様シイタケと共に」は肉厚の大きなシイタケにフォアグラが乗っています。シイタケのエキスとフォアグラの肉汁が甘い香りをさせながら混ざり合ってたまらない美味しさ。思わず背筋を伸ばし直して美味しい料理をいただく自分に気合をいれます。料理に見合う客でありたいと。
そして、「浅蜊だしのヴィツシソワーズ」。スープが美味しいとホッとしますが、このスープの美味しさなめらかさは感動的です。ウニも口の中で溶けるように広がります。

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さぁ、いよいよメインです。
「函館産アワビのポアレ ドライトマトとバジルの香り」は柔らかい鮑がドライトマトとバジルのソースで素晴らしい。
そして「千歳産イノシシのグリエ 黒酢ソース 夏野菜添え」はいつも私達が鴨やイノシシ、鹿なんかも食べてみたいと言っているのでシェフが応えてくれたのでしょう。イノシシは脂身がとても素直な甘い香りをだしていて上質に育てられているのがよく分かります。フォークを持つ手に喜びがジワ~とあがってくる感じ。生産者に感謝すると共に、こうゆう食材を探し出し真剣に向き合って心を入れるシェフの姿に感動します。

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デザートは色々と選べますから、お好きなのをどうぞ。

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今回は他のお客様もいらして、シェフも忙しくしていましたので、直接お話しはして来ませんでしたが、そのぶんマダムに感謝をお伝えしてきました。いつものおじさんの戯言もあったのでちょっと反省しながら。

シェフの料理は美味しいという言葉では表せません。一つ一つの皿の中のバランスが素晴らしく、何が良いというのが分からないくらいに自然な感じなのです。その自然さの底にシェフの易しい心がしっかり利いているのを感じます。そしてそれが一皿一皿出てくるたびにどんどん共鳴しあって最後のお料理を頂いく頃には大きな皿の中で私達自身が夢を見ているようです。

お料理を頂いた後、パートナーさんに「今日の一番は何だった?」と訊くと、「浅蜊だしのヴィツシソワーズ」とのこと。これには私も大賛成です。他のお料理も素晴らしいのは言うまでもないのですが、それ程にスープが良かった。

美味しい食材のある函館と素晴らしい料理を用意してくださる唐草館に大いに感謝しましょう。
函館に行ったらではなく、わざわざシェフのお料理を食べに函館に行く価値が充分ありますので、是非皆さんも食べに行ってください。私のお勧めです。




雨の函館 続きの続き

お元気ですか?

函館から帰ってきました。当地秋の風が吹き始めコウロギが鳴き始めていますが、じとっとした暑さは函館には無いもの。荷物を持って家に帰る道で汗がこぼれ落ちます。

函館のドライブの話を続けましょう。
今回南茅部から市内に帰ってくるのに川汲峠という道を走ってみました。2008年に新川汲トンネルが開通して古い道は閉鎖されましたから厳密には違うのですが、函館戦争の時に森町に上陸した旧幕府軍が函館を目指して進み新政府軍と戦った道です。また谷村志穂さんの『海猫』という小説では主人公の女性が南茅部の昆布漁師のもとへ嫁ぐためバスに乗って行くシーンを演出しています。南茅部は昆布が有名ですが、美味しい魚がとれますから魚の行商人も通った道。そうゆう道に敬意を払って私も走ってみたかったのです。

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南茅部から山に少し入るとすぐ川汲温泉があります。古くからの温泉で昔は美味しい食事も出る温泉旅館だったのですが今はお風呂だけの利用です。アルカリ泉の柔らかい温泉につかり雨のドライブの疲れを癒します。
私達がお風呂からあがり帰ろうとすると地元の人がお風呂道具を持ってやってきました。店主は「暇だぁ」と挨拶を返しながらも雨の日の馴染客に嬉しそうです。

川汲遠を走り続けると、トラピスチヌ修道院を経て湯川に着きます。太平洋側の南茅部から峠を越えて市内に入るのです。

これで、今回のドライブはお仕舞い。
トラピスト、森(もしくは大沼公園)、函館市縄文文化交流センター、川汲温泉、トラピスチヌ修道院、と函館周辺のスポットを巡るドライブですが、一日で回る事が出来ます。レンタカーを借りてガソリン代をいれても7000円ぐらいですから観光ドライブとしてはお得ではないでしょうか。ご興味のあるかたは是非お試しください。

おまけ)

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十字街の角に建っているアクロス十字街。この建物には水道局が入っていて屋上にマンホールが展示されています。日本各地にあるマンホールは地域のデザインが施されていて人気があります。パートナーさんも旅先で見つけると写真を撮っていますので、今回一緒に屋上に行ってみました。四つのマンホールが展示されベンチになっています。函館山の方を見るとハリストス正教会や元町教会もかすかに見えます。屋上に上がるのは無料ですからこちらもお楽しみください。

ではまた。

雨の函館 続き

お元気ですか?

連日豪雨被害の状況が伝えられています。私達がドライブをした日、松前町では観測史上最大の147.5ミリを記録して避難勧告が発令されました。幸い私達が走っていた道では通行止めなどはありませんでしたが、北海道は迂回路が少なく場所によってはとんでもなく遠回りになる場合があります。どうぞ北海道旅行を計画する時には天気予報にもご注意ください。

さて、森町でお昼ごはんを楽しんだ私達。実は森町には小さな思い出があります。小栗康平監督による「伽耶子のために」(1984)という映画の最初の舞台は森町で大学生の林相俊が高校生の伽椰子(南果歩)と出会います。林相俊は在日朝鮮人、伽椰子は日本人の両親に生まれた子ですが戦争の混乱で親に捨てられ林相俊の父親の親友である朝鮮人の松本秋男に育てられていたのです。惹かれ合う2人は東京で暮らしますが、確か吉祥寺の井の頭公園を歩く南果歩さんのシーンがあったと思います。在日朝鮮人の問題は詳しくありませんが、身近な場所が映画に使われていたこともあり記憶に残る映画となっています。

道の駅で食事をしているうちに雨も小雨になりました。駒ケ岳を廻りながら南茅部の函館市縄文文化交流センターに向かいましょう。
函館市縄文文化交流センターには国宝の中空土偶が展示されていて、以前から是非見たいと思っていたのですが機会を得ることが出来ないでいました。今回レンタカーを借りてドライブをすることにした一番の理由がこの中空土偶を見に行くことだったのです。
車の通りも少ない南茅部の国道線沿いに函館市縄文文化交流センターはあります。コンクリートむき出しの背の低い建物は斜面を利用して建てられているので、うっかりすると通り過ごしてしまいます。入り口でチケットを購入し受付でもぎりをしてもらい、縄文時代を理解するための年表を見、その後階段を降りて展示スペースへ向かいます。展示品は少ないのですが、ポイントを抑えた良い展示が並びます。

その一つは垣ノ島B遺跡という集落で約9000年前の土坑墓から漆を使った副葬品が出土していること。それまで漆は6000年程前の中国の遺跡が最古と言われ日本に伝わったと考えられていたのですが、日本の方が古かったことになります。残念なことに垣ノ島B遺跡で発掘された副葬品・研究資料の多くが2002年に不審火により焼失してしまいます。当時私はたまたま函館にいて火事のニュースを聞いたのですが、事の重大さのわりには報道がとても小さかったと思った事を覚えています。
二つ目はアスファルトの出土や翡翠が出土していることから交易がなされ技術者集団の存在が考えられる事。糸魚川と縁のある私ですからその翡翠が出ていることに喜びも大きいのです。
三つ目は足型を押した粘土板が発見されていて、これは北海道でも数カ所、本州ではほとんど見られないそうですが、亡くなった子供の足型をとり家に吊るしておいたと考えられています。子供の足型は大きさもまちまちであることから亡くなった時にとったと思われるのですがこの足型の粘土板は低温で焼かれ焼も甘いことから亡くなった子の家で焼かれたと考えられ、親が亡くなると一緒に埋葬されているそうです。縄文時代も現在も子供を思う親の気持ちの同じことに深い感動を受けます。事例の数少ない足型の粘土板を初めて知りましたが、こうゆう発見に出会うのも博物館に行った賜物です。
そして四つ目は国宝の中空土偶です。1975年に農家の主婦が畑仕事の際に発見したのですが、40㎝ほどの土偶は中が空洞になっているため中空土偶と呼ばれます。焼いた時に割れないようにするためでしょう、足元に空気を逃す穴があいてます。頭の一部、両腕の部分が欠損していますが、近くからは見つかっていません。これは体の悪い部分(例えばこの場合は腕ですが)をわざと壊して遠く別の場所に捨てることがあるそうで、そうゆう事例ではないかと考えられているそうです。この中空土偶にも漆を塗ってあった跡があります。
それにしてもようやく見ることの出来た中空土偶はやはり素晴らしいものです。技工の素晴らしさ、芸術的美しさ、本物のもつ力強さを感じることが出来ました。

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観光名所を回る旅ではなかなか行くことの出来ない函館市縄文文化交流センターですが、是非行ってみてください。日本が世界に誇れる縄文文化を堪能することが出来ます。

雨の函館

お元気ですか?

いつものご挨拶が心苦しく思えるほどに広島はじめ各地の雨の被害が伝えられています。皆様の処はいかがでしょうか。お見舞い申し上げます。

パートナーさんの夏休みを利用して函館に来ています。今回も両親の様子を確認することが主目的ですが、母には週二回のヘルパーさんとの生活がありますからそこに問題がなければ私が意見を入れることはありません。父の状態も安定しているようですので外出許可をとり家に連れて来もしますが、今回は介護タクシーを使いますので移動の不安は軽減しています。

そこでレンタカーを借りてドライブに出ることにしました。

北海道は車旅が便利です。もちろん鉄道の旅も良いのですが、テレビで見る旅番組をイメージしてはいけません。あれは駅から目的地までの移動を極端にはしょっていますからまるで距離感がありません。時間に余裕のある方、どうしても鉄道の旅をしたい方、駅から目的地までタクシーを使う経済的余裕のある方、そうゆう方でなければ難しいでしょう。

さて、今回の目的地は大きく二つあります。一つは函館湾を廻り松前に向かう道の途中にあるトラピスト修道院。トラピストバターやトラピストクッキーなど函館のお土産でお馴染みのある所です。フランスのシトー会の修道僧による厳格な修行の場ですから中に入って見学という訳にはいきません。予約すると見学も可能なそうですが女性は不可ですので現実的ではありません。それでも木々に囲まれた修道院に続く一本道の風景に憧れて多くの人が見学に来ます。

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海岸線を車で走ると函館山を海の方から見ることが出来、多くの外国からの船がこの風景を見ながら函館湾に入っていったのだなと思うと少し心が温かいもので満たされてくるような気になります。車でドライブを楽しみながら行ってみてください。

目的地の二つ目は函館市縄文文化交流センターですが、ここも車でしか行くことが出来ません。

トラピスト修道院の見学を終え、カーナビに森町の道の駅を入れます。途中大沼国定公園を通りますから此処を観光するのも良いでしょう。今回私達は大沼には寄らずまっすぐ森町の道の駅を目指しました。ここでお昼をいただきながら、駒ケ岳を見るためです。

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駒ケ岳は現在でも小規模な火山活動をしている山で、大沼はその火山の噴火によって出来た湖です。大沼の方から見ると湖を挟んで西側の剣ヶ峯が尖って馬の背がなだらかに続くように見えますが、森町の方から見ると姿が全く違い、山肌が荒々しい。森町から駒ケ岳を回るようにして姿の変化を楽しみながらドライブをして海岸線に出、函館市縄文文化交流センターへ向かうのですが、その前に、森町の道の駅で頂いたお昼ごはんのご紹介。

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ナガツカの天ぷら定食とナガツカ丼です。ネットで何処か食事の出来る処はないかと探していて“ここでしか食べられません”というのに惹かれての道の駅です。

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(写真はお借りしました)

体の表面に粘質の幕を覆ったスズキ目ゲンゲ亜目の魚で、富山・糸魚川では小型のゲンゲがお吸いものにしたり一夜干しを炙って食べますので、私達には馴染みのある魚ですが、ナガツカは体長が40~50㎝もあり、さすが北海道、大きいのです。食堂のおばさんに色々お話を伺うと、すり身にして蒲鉾の材料にするのが一般的で、漁の少ない高級魚だそうです。
そのナガツカを特性のタレに漬け込み、唐辛子を利かせた唐揚げにしたのが、名物ナガツカ丼。白身魚のふわっとした感じが残った美味しい丼ご飯です。天ぷらのほうも美味しゅうございました。
森町の道の駅にはイカ飯や帆立の加工食品、榎本武揚をモチーフにしたお菓子なども並び休憩のお立ち寄りには良い所です。お昼ごはんを終える頃には雨も上がり駒ケ岳がくっきり見えてきました。

ドライブを続けましょう。
いよいよ函館市縄文文化交流センターです。次回もお楽しみに。







本の大きさ

お元気ですか?

お盆は終わりましたが子どもたちの夏休みは続いています。図書館に行くと絵本を選ぶ小さな子どもがお母さんから「一冊だけよ」と言われていますが、男の子は選ぶ事ができません。お兄ちゃんが本を持ってカウンターに並んでいる後ろでぐずっています。せっかくの図書館ですから楽しく本を選んで欲しいと思いますが、小さい子には選ぶ事じたいが難しいかも知れませんね。

ムーミンで世界的に知られたフィンランドの作家トーベ・ヤンソンさんが生誕100年ということで展覧会が1年をかけて全国を回っています。子供の頃テレビでムーミンのアニメーションを放送していたのは知っていますし、♪ねぇムーミン、こっち向いて♪という歌も記憶にありますが、私はテレビ放送を見たことがありませんし本も読んだ事がありません。縁がなかったのでしょうね。
よくお邪魔しているブログ『探偵小説三昧』のsugata様が読まれているのを知り、私も読んでみたくなりました。

まずはWikipediaでムーミンを調べどうゆう作品があるのかを知りましょう。

『小さなトロールと大きな洪水』 1945
『ムーミン谷の彗星』 1946(1956年改訂・1968年三訂)
『たのしいムーミン一家』 1948
『ムーミンパパの思い出』 1950
『ムーミン谷の夏まつり』 1954
『ムーミン谷の冬』 1957 国際アンデルセン賞作家賞受賞作品。
『ムーミン谷の仲間たち』 1963
『ムーミンパパ海へ行く』 1965
『ムーミン谷の十一月』 1970

小説作品としては以上の9冊があるそうです。第二次世界大戦終了後すぐの発表からゆっくりと書かれているようです。せっかくですから発表順に読んでみましょう。

図書館のサイトを開き蔵書検索でトーベ・ヤンソンと入力するとムーミンだけでも沢山の本が出てきます。小説、絵本、ビデオ(VHSです)、英語の本もあります。『小さなトロールと大きな洪水』を借りましょう。市内の図書館で在庫のあるものは◯、貸出中のものは☓がついていますので◯印を選びます。私の選んだのは市内でも少し離れた所にある図書館で、貸出依頼→予約回送中となり、届くとメールで知らせがきます。届いた本は講談社の青い鳥文庫でした。新書判です。

『小さなトロールと大きな洪水』はムーミンがお父さんを探して旅に出るお話です。登場人物の設定や子供らしい思考の描写など興味をひかれるものがあります。トーベ・ヤンソンさんはムーミンのお話を通じて文明について考えてみたいと言っていますし、ハッピーエンドになるお話をとも言っています。でも、無条件にハッピーエンドになるようではないようです。色んな危険を乗り越えたり喧嘩や我慢をしながらムーミンたちは旅をします。洪水や次作品での彗星など自分たちではどうしようもないものを用意しながら小さな身の回りのことからもっと大きなことまで考える事を提案しているようです。

さて、せっかく図書館で本を借りるのですから、私もちょっとひねって遊んでみましょう。

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文庫判、新書判、A5判のハードカバーと三種類の形にわざと変えて頼んでみました。本の大きさによって読者にはどう感じ方が違ってくるのでしょう。
青い鳥文庫は小学生中学年から中学生を対象にした本が揃っていますが、ムーミンに関しては抄訳というわけではなさそうです。字の大きさ、字間行間、私にはバランスが良いように感じます。
講談社文庫は字も小さいですし青い鳥文庫の16行に対して18行と行数も多く、文字を読むという感じが強くしてやはり大人向け。挿絵が小さいのは仕方ないですね。
では、ムーミン童話全集として作られているA5判ハードカバーはどうでしょう。まだ読んでいませんので感触はわかりませんが、ムーミンファンのための蔵書用という位置でしょうか?

今年の夏の読書「ムーミン」。内容を楽しむと同時に本という形を楽しむ事を提案し、私の課題提出といたしましょう。

そうそう、エリック・カールさんの絵本では折り畳んだ頁があったり、穴のあいた頁があったりしていました。電子書籍では出来ない本という媒体の可能性をまだまだ沢山知りたいですね。

ではまた。

桜木紫乃・・・『ラブレス』

お元気ですか?

停滞している前線のせいで曇り空から時折の雨が降る日が続いています。時間が止まったようにまた週末を迎えています。

桜木紫乃さんの『ラブレス』を読みました。道東の開拓部落で極貧の生活を営む家族。旅回りの一座に魅せられた長女の百合江は逃げるように一座に入り人生を動かし始めます。好きな事をして暮らしてゆく人生。残された妹里実も理容店に弟子入りし親とは決別して生きていきます。
2人の女性の生き方を描いていますからそれなりに話はドラマチックなのですが、どうも私には重苦しくて好きになれません。貧困や暴力、浮気・・・。読み手としては「またですね」という設定が繰り返されるのですが、その中で登場人物達は耐えたり反発したりしながら生きていきます。当たり前ですね。死んでしまったら物語は終わりです。

集中して読んでいる桜木紫乃さんですが、前回の『ガラスの葦』『無垢の領域』では死と生との間を埋めるものという事を思いましたが『ラブレス』では私に何も残るものはありません。

ラブレスラブレス
(2011/08)
桜木 紫乃

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エリック・カール

お元気ですか?

当地、なかなか雨がとれません。晴れていたかと思ってもパラパラと降ってきたりします。今日も朝から湿った曇り空で予報も80%です。

春から働き始めたパートナーさん。新設の部署で自分の部屋で仕事をしています。
ところが新しい部屋は殺風景。
「何か良い絵ない?」とずーっと言っていました。
「家にある絵を持っていってもいいよ。」とは言いますが、事務所には少し大げさな感じです。

「リトグラフかポスターでもいいかな・・・」とパートナーさんが選んだのは

ポスター エリックカール ERIC CARLE はらぺこあおむし Poseポスター エリックカール ERIC CARLE はらぺこあおむし Pose



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エリック・カールの絵本『はらぺこあおむし』のポスターです。

仕事の合間、壁にかける準備をしていると他の部署の女性がやってきて
「エリック・カールお好きなんですか?」
「色があっていいかなと思って」
「私、エリック・カール好きで独身の頃から持っているんですが、今は子どもたちが読んでいるんですよ。」

いきなりヘビーユーザーさんに出会いました。

人の世界は不思議です。こちらが動くと周りが変わります。

私も楽しくなって図書館からエリック・カールの絵本を借りてきました。


パパ、お月さまとって!パパ、お月さまとって!
(1986/12)
エリック カール

商品詳細を見る


こうゆうお話大好きです。

先日のスーパームーンを見逃しました。思い出してベランダに出た時にはすでに高い空にあります。
次回は9月9日に見られるそうですから忘れないようにしなくっちゃ。

糸魚川応援隊

お元気ですか?

テレビでは帰省ラッシュのニュースが伝えられています。故郷への帰省だったり長い休みを利用しての旅行だったり・・・。

人はどうゆう街を故郷と呼ぶのでしょうか?子供の頃育った街でしょうか?両親や親戚が住んでいて行けば受け入れてくれる人が住んでいる街でしょうか?それとももっと違った街、ソウルメイトという言葉があるようにソウルシティー、ソウルタウンという言葉もあるのでしょうか?例へばなんの縁もないけれど行くと心が素直になれる街。

今日、糸魚川から手紙が届きました。糸魚川市では「糸魚川応援隊」というのを募集していて、それに応募していたので隊員証が届いたのです。

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翡翠を中心に奴奈川姫とジオパークのキャラクターが並びます。
 
昨日はメールマガジンで、糸魚川駅前で行われた「おまんた祭り」の様子や北陸新幹線W7系の試験運転の様子が写真付きて送られて来ています。なかなか行くことの少なくなった糸魚川ですが、縁のある処ですので応援したいですね。

「糸魚川応援隊」になると、フォッサマグナミュージアムのご招待券がプレゼントされますし各種施設の割引も受けられますから、糸魚川に遊びに行きたい人にはお得です。

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日本海の美味しい魚を楽しんだり、糸魚川と静岡を結ぶ断層を見学したり、海岸で翡翠探しをしてみたりとちょっと地味だけど心にしみるアクティビィティーがいっぱいです。歴史好きの人には古事記に登場する奴奈川姫やその子供である長野県諏訪神社の建御名方神 (たけみなかたのかみ)に興味を寄せたり、糸魚川から松本に続く塩の道を歩いてみることもお勧めです。

私の心の故郷でもある糸魚川市のHPをご覧いただき、「糸魚川応援隊」になってみませんか?
隊員はちょっと・・・という方も是非一度市のHPを見てください。小さな街の地味だけど真面目なサイトに思わず幸せになること請け合います。






腹筋大作戦!

お元気ですか?

当地にも台風による雨風が来ています。昨夜は停電に備え災害時に使うように用意しているリュックから懐中電灯を出していましたが使うこともなく朝を迎えました。懐中電灯は二つあり、一つはハンドルを回して発電する方式なので電池が要りません。でももう一つのLEDの懐中電灯は電池が必要なのにその電池が見当たりません。電池は液漏れ予防で懐中電灯には入れないでおくのですが、何処にいったのでしょう。迂闊です。
ラジオは最近はiphoneやWalkmanでも聴くことができます。でも避難所など電源の確保が難しいところや停電の事を思うとラジオの方が電池の持ちがいいので安心です。こちらも備えが必要です。

今日は久しぶりにフィットネスのお話。

函館にいる間に体重が4㎏減りました。帰ってきてその体重が戻ってきているのですが、運動が伴っていません。函館にいた時にはジムには通えませんがそこそこ歩いていましたし、庭仕事もありました。当地では車での移動ですからほとんど歩きません。そのため戻った体重のほとんどはお肉。筋肉も落ちている時にお肉が増えても嬉しくないですね。
そこで、筋トレをすることにしました。自宅でも出来る筋トレをそれも手軽に出来る方法です。

筋トレをするのに大掛かりな道具は要りません。自分の体重を利用するならば腕立て伏せやスクワット、仰向けになって起き上がる方法で腹筋を鍛えるなどもあります。でも少しばかりの道具で気軽に出来るのなら魅力的です。
そこでお腹周りを中心に考え、弓道の事も考慮し背筋や腕の筋肉も修復します。そのために用意したのが下の二点。

EGS(イージーエス) バランスディスク ポンプ付き EG-3082EGS(イージーエス) バランスディスク ポンプ付き EG-3082
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EGS(イージーエス)

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これは乗って体幹を鍛えたり、お尻を乗せてV字バランスをしたりと使い道は色々あります。腹筋の場合は腰にあてて仰向けに寝るだけ。背中を床につかないように浮かせるとお腹のところがガンガンに固くなります。起き上がる必要はありません。床に寝て起き上がる方法で腹筋を鍛えると首を痛める事がありますが、起き上がりませんから首への負担もありません。テレビを見ながらでも出来ちゃうお気軽腹筋トレーニングです。

XYSTUS(ジスタス) スリムトレーナーTR H-7218XYSTUS(ジスタス) スリムトレーナーTR H-7218
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TOEI LIGHT(トーエイライト)

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次は腹筋ローラーとも呼ばれる器具で、床で転がしながら利用し上半身全体に効果があります。腹筋にも効果はありますが、背筋、胸筋、肩、腕など超人ハルクになるのではと思うくらいに効いてきます。それだけに無理のないところで自分の状態に合わせながらトレーニングする必要があります。私はクッションの上に膝をつき体を伸ばして利用しています。

どちらの器具も多くの時間やればいいというものではありません。筋トレのコツはトレーニングをした後に休ませ、筋肉の修復力を利用して鍛えてゆくのがセオリーです。
筋トレは運動の基本です。エアロビクスや自転車など有酸素運動をするにしても筋力をしっかりつけておかないと体を支える事ができません。そして鍛えられた筋肉は燃焼を促進しますから脂肪のつきにくい体にします。インナーマッスル、アウターマッスルどちらも偏ることなくバランスよく鍛えてあげてください。マッチョになるかどうかはその人のお好み次第です。私は柔らかい筋力トレーニングを目指しています。

「ねぇ、写真とっておこうか?使用前使用後ってブログに載せたら・・・」とパートナーさん。
「いやだよ。人に僕のおヘソを見せるなんて・・・」と私。
それでも、鍛えられた自分の体を思い描いてはフフフと期待します。
さぁ今日もお気楽に頑張りましょうっと。

桜木紫乃・・・続き2

お元気ですか?

週末、家の前の休耕田では朝から草刈りが行われているのですが、地主さんによる台風が来る前にという急ぎ仕事です。皆さんのところでは台風への備えはいかがでしょうか。

桜木紫乃さんの本2冊を読みました。『ガラスの葦』と『無垢の領域』です。気になる作家は可能な限り集中して読む性格で、今回はBook off から図書館利用に切り替えて読み進んでいます。

『ガラスの葦』は2010年の作品。ラブホテルの経営者の妻である主人公が、夫の死とともに崩壊してゆく様子を描いた作品。登場人物たちの絡みをどう物語に仕立ててゆくのかという面白みはあるが、桜木さんの筆が物語の起伏まで抑えてしまっていて残念。 直木賞受賞作である『ホテルローヤル』と同名のホテルが舞台の一つであるが作者の思い入れもあるのか、これ書きたかったんだろうなと思う。
『無垢の領域』は2013年の作品。釧路を舞台に書道家の夫と養護教諭の妻、民営化を進める図書館館長と障害をもつ妹の関わりを描いた作品。ポール・ボウルズの『シェルタリング・スカイ』に触発されて書かれているのか、旅行者(トラベラー)という言葉がキーになっている。『ガラスの葦』でも葦につまった砂が流れ出ると書かれていたが、『無垢の領域』でも「思い浮かべることがらが、たちまち砂になって、体の外へ流れだしてゆく。」という表現がある。作者はこぼれ落ちるものに意識を持っているのだろうか。自己という器からこぼれだしてゆくもの。残された抜け殻の器にはなにかが新たに詰まるのか、それとも脱皮した殻のように空洞のまま朽ちてゆくのか。こぼれ出たものは何処へいくのか。

『ガラスの葦』『無垢の領域』には老いと死というテーマが作品を構成する要素にある。桜木さんは「新官能派」と呼ばれたり「性愛文学」の作者とも呼ばれるそうであるが、だとすると男女の恋愛・性愛も老いや死も命をテーマにしている点では同次元。『無垢の領域』では書家の家族にはベッドに寝たきりの老いた母親の介護があるし、『ガラスの葦』ではホテル経営者の男は交通事故で死に至る怪我を負うが意識のないまま生き続けその間に物語が展開する。
本来生き物として命をつなぐ性であるが、男女の間で生まれるドラマと平行して描かれる老いや死は何を意図しているのか。『無垢の領域』では主人公の一人である図書館館長の妹の存在は興味深い。障害をもっている無垢な妹は母親の死後祖母によって育てられ、その祖母の死によって年の離れた兄の所で暮らすようになる。2人の女性の死によって庇護されていた彼女に生があたえられた形だ。だが単純に死によって生が生まれるといった図式ではない。物語の後半妹もまた書道教室に通う中学生によって殺される。それによって新たに動き出す物語は果たして生につながるのか・・・。

これまで桜木紫乃さんの作品を8冊読んできました。冷めた表現に魅力のある文章は作品の質感に強く影響していてもう一つ越えられないものをも抱えているように感じます。しかし、彼女が描く世界が一方に死を見据えながら生と死の間を埋め込む作業であるなら今後どう進んでゆくのかを見てみたいと思いながら今回の2冊を読了しました。

硝子の葦硝子の葦
(2010/09)
桜木 紫乃

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無垢の領域無垢の領域
(2013/07/31)
桜木 紫乃

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桜木紫乃・・・続き

お元気ですか?

毎日豪雨による災害や事故、繰り返される殺人事件ばかりでニュースを見るのが辛くなります。身内に事件事故に遭った者が居ない私でさえ辛く思うのですから、もし同様の事件が身近にあった人でしたらどれほど苦しいことかといたたまれない思いになります。ニュースだけではありません、たまたま見たドラマなどでフラッシュバックするのではと思うとテレビをつけることも不安になるのではないでしょうか。
8月です。テレビでは戦争をテーマにした番組が多く放送されています。若い頃は両親の生きた時代、祖父母の時代を理解したいと思い番組表をチェックしては録画し見ていたものですが、最近はほとんど見ることがありません。後世に伝える意味、新しい事実の発掘という点ではそうした番組を見て記憶し考える事が大切だと思ってはいますが、少し疲れました。戦争の世紀と言われた20世紀、第一次世界大戦から東西冷戦、イデオロギーによる国家の戦争、経済的利権争い、地域紛争・・・。人間は殺し合いの好きな生き物なのでしょうか。
私達は24時間あれば地球を一周出来ます。宇宙ステーションを作り太陽系の外にまで衛星を飛ばせられる技術も得ました。しかし隣の国と資源争いをしたり、言いがかりをつけて他所の国に入り歴史文化や言葉を蹂躙します。飢餓や病気で死んでゆく子どもたち。こんな小さな地球の中でこれは俺のものだ、あいつは憎いとやっているのがどれほどつまらないことか、人間が高等生物だというのは大きな間違いでしょう。

桜木紫乃さんの本を読みました。前回の2冊に続け、『蛇行する月』『氷平線』の短編2冊、長編の『風葬』です。
『蛇行する月』は高校時代に図書部で仲間だった女性達のそれぞれの生き方が描かれています。短編ですから一人一人を深く描いているわけではありませんが、縒られた作品は幸せという糸になります。私は女性の幸せと男性の幸せとに大きな違いがあるとは考えていません。その程度にしか女性を理解していないと言われるかも知れませんが、仕方がありません。それでもこれまで知り合った女性が今どうしているのか彼女たちの幸せはどんな形なんだろうと思ってしまいます。
『氷平線』はオホーツク沿岸の酪農の町を舞台にした男女の性愛を描いた作品。桜木さんの単行本初作品で北海道の土地の臭いを文章の中にしっかりと描きその土の上に抑えた心理描写が活きています。ただ、やはり初期作品ですから文章のこなれ感はありませんし同じような言い回しが気になる処もあります。それでも作者の世界がきちんと出ているのを知るのは嬉しいです。
そして初長編の『風葬』。ともに担任の生徒を亡くした経験をもつ根室の教師親子と自分の出生を知らない釧路の書道家の女性が主人公のミステリー。やはり作者独特の土地の事情を織り込みながらのスケール大きな作品です。話のほとんどが二つの土地だけで展開するのですが、女性を東京に行かせ空間の広がりを持たせる技もちゃんとあります。長編といっても200頁ほどです。登場人物の起伏も抑え気味に進むのは作者の特徴ですから物語の展開もこのぐらいの長さがちょうど良いでしょう。

桜木紫乃の作品を読む時に、土地の臭いをどう感じるかに読み手の事情が関係してしまうように思う。浜の昆布や潮風に乗ってくる魚の臭い、防波堤の上でカモメに食べ散らかされた魚。牧草の臭いや雪の臭いなど想像出来るものと経験として知っているものの違いは大きい。有名作家の作品でも情景は描けていても臭いを感じさせないものが多いのを思い出しながら桜木紫乃の魅力の一つと感心している。

もう一つ、オホーツク沿岸の酪農村や根室のように人口3万人にも満たない街を舞台にしながら物語が生まれる時、そうゆう所に人間が生活をしている事をあらためて思う。そして函館の街が寂れていく現実、今私が住んでいる人口80万の街に見られる空洞化を考えてゆくと街の作り方がこの国では出来ていないのが痛ましい。

蛇行する月蛇行する月
(2013/10/16)
桜木 紫乃

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氷平線氷平線
(2007/11)
桜木 紫乃

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風葬風葬
(2008/10)
桜木 紫乃

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杣人のNuages

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