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杣人・somabito

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『ナイトホークス』 マイケル・コナリー

お元気ですか?

先日『転落の街』を読み興味を惹かれたのでマイケル・コナリーの作品を最初から読んでみたいと思い取り寄せたのが『ナイトホークス』。このタイトルは日本語版のもので、原題はTHE BLACK ECHO と言う。1992年の作品だ。原題のもつ意味については置いておくとして日本語版のナイトホークスというタイトルは秀逸だ。そのタイトルの話題に入るまえに、こんなお話し。

かつてロサンジェルス市警本部の強盗殺人課にいたヒエロニムス・ボッシュ通称ハリー・ボッシュはある事件を理由にロス市警の下水と揶揄されるハリウッド署に左遷されている。そんな彼にベトナム時代の戦友メドーズが殺されるという事件が起こる。銀行強盗事件が背景にあることが分かりFBIの捜査に協力することになったボッシュはロス市警副警視正アーヴィングによる執拗な内務監査を受けながら目撃者の少年シャーキーを見つけ出すがその少年も何者かに殺害されてしまう。

マイケル・コナリーのデビュー作ということだが、主人公のボッシュはすでにいくつかの過去を持った存在として登場し、読者の興味を惹きつける。ベトナム戦争の傷を背景にした作品は多く、私の好きなテリー・ホワイトの『真夜中の相棒』などもPTSDに苦しむ青年と彼に寄り添う殺し屋、そして追う刑事と痛々しく息苦しい思いが重なり合っている。ボッシュも同様だ。内務監査を受け左遷されるに至った事件というのもボッシュの性格を表しているし、ボッシュを目の敵のように追うアーヴィングとの関係も作品を追うごとに明らかになってゆくのだろうと思う。こうして第一作であるにもかかわらず、マイケル・コナリーの中には既にシリーズ作品としての構想とそのための伏線があり、それを『ナイトホークス』で読者に見せたという形なのだろう。FBIの捜査官ウィッシュとの恋愛に似た心の通わせ方も苦く痛々しいところを感じる。

原題の THE BLACK ECHO が英語の慣用として何らかの意味を持つのかどうか私は分からない。だから作品からのイメージだけで解釈するのだが、暗闇にこだまする自分の心の声なのだろう。同時に排水管の中に巣食うホームレスや犯罪者、人生に迷い込んだ者たちの声だ。私たちは闇に迷い込んだ時、自分の声と同時に彼らの声を聴き、その声は重なり合って聞こえてくる。私たちはどうして闇に迷い込み闇を心にとどめてしまうのだろう。そして何故私たちは闇から出ることが出来ないのだろう。そう思うと原題も考え深くなる。

邦題のナイトホークスはもう少しわかりやすく感覚的だ。ウィッシュの部屋に行ったボッシュはそこにエドワード・ホッパーの代表作である『ナイトホークス』の絵がかけられているのを見る。シカゴ美術館に所蔵展示されているこの絵は現代アメリカ美術の傑作であるが、夜の闇の中でガラス張りの窓のカウンター食堂にいる客の姿を描いたものだ。客どうしの距離感とともに少し離れたところからそれを見ている視点が都会の孤独と関係性の距離を感じさせている。ボッシュとウィッシュも同じような孤独をそれぞれに持ち孤独が触れ合う距離で心を通わせる。だから読者は二人の行く末も予感してしまう。

さて、エドワード・ポッパーが登場したのだからもう一人の画家を話題にしない訳にはいかない。ヒエロニムス・ボスだ。この画家はボッシュ自身が親にヒエロニムスとなずけられたと言っているのだがらボッシュの意識の中に常に存在する重要な要素と言えるだろう。オランダの初期フランドル派の画家であり宗教画を描いているが、その作風は独特の幻想的で怪異的不気味さを持っている。代々続く画家の家に生まれたボスは兄弟とともに父親の工房で絵の修業をし三十歳前後に独立している。このオランダの画家と同じ名前を持つハリー・ボッシュ。第一作の『ナイトホークス』では明らかにされていないが、今後どう影響されているのか物語の中で語られるのだろうか。

『ナイトホークス』の上巻を読み終え、いよいよ物語は大きく展開をしてゆく。

ではまた。
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テーマ : 推理小説
ジャンル : 小説・文学

『起終点駅 ターミナル』

お元気ですか?

『起終点駅 ターミナル』という映画を見ました。、2015年公開の日本映画で監督は篠原哲雄。

こんなお話し。
学生時代に愛した女性と単身赴任先の旭川で出合い、死に至らしめた判事鷲田完治。彼は自らを責め釧路で一人弁護士をしている。そんな鷲田は裁判の弁護で椎名敦子という女性と知り合う。

タイトルだけで見てしまったが、北海道の風景と人々の関わりが静かに描かれていて良い映画だ。それぞれの役者が気負うところなく演じているのも私には好ましい。鷲田の愛人は尾野真千子が演じていて彼女の演技は私はあまり好きではないのだが今回は許容範囲。対する椎名敦子を本田翼という女優が演じているがどうゆう人なのか知らない。初めて見たが普通感が良かった。
北海道出身者としては、一人暮らしの鷲田がザンギ(鶏のから揚げ)やイクラの醤油づけを作るのを微笑ましく思う。若い判事補が赴任中に北海道旅行をしたいと鷲田に相談するシーンがあるが、これはご当地観光を織り込むエクスキューズのようでストーリーには全く関係ない無駄な部分だ。
最後、鷲田が一人息子の結婚式に向かう車の中、小さかった息子がイクラをつまんで食べる話題が出てくる。私も小さいころからイクラは好物。ご飯もいいが、バターを塗ったトーストにのせて食べるのが今でも好きだ。画面を見ながらほろっとしてしまった。

さて、タイトルだけで見たと書いたが、『起終点駅 ターミナル』というタイトルで真っ先に思い浮かぶのは『終着駅は始発駅』宮脇 俊三著である。鉄道紀行の名著で北海道の駅も出てくる。私も鉄道の風景がいくつも思い出されて懐かしい。ところが、タイトルロールを見ていてこの映画の原作は桜木紫乃の『起終点駅(ターミナル)』だという事に気づいた。桜木紫乃は『ホテルローヤル』で直木賞を受賞した作家で、その時期に私も図書館で数冊を借りて読んだ。ただ、私の好みではなかったのでそれっきり読んでいない。Amazonで本の表紙を見ると確かに読んだと思われるのだが全て忘れている。映画で再開した訳だが私にとっては別のものと出合った感じだ。原作は記憶に残らなかったが映画はどうだろう。

ではまた。

テーマ : 日本映画
ジャンル : 映画

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