FC2ブログ

プロフィール

杣人・somabito

Author:杣人・somabito
Nuages・・・雲のようにふんわりとしています

カレンダー
05 | 2018/06 | 07
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最近の記事
最近のコメント
カテゴリー
リンク
ブログランキング

FC2ブログランキング

人気のあれこれ!
月別アーカイブ
最近のトラックバック

『わが心臓の痛み』 マイクル・コナリー

お元気ですか?

マイクル・コナリーの『わが心臓の痛み』を読みました。ハリー・ボッシュシリーズを読み始めた私に『探偵小説三昧』のsugata様からボッシュシリーズではないけれど作品群全体としてコナリーが作る世界をとらえ、登場人物の関りも出てくることから読むべしとのアドバイスをいただきました。そうとなると作品の発表順に読むのが順当な考え方でしょう。そこで Wikipedia を開いて作品リストをプリントし順番に読んでいるのです。

こんなお話です。
元FBI捜査官のテリー・マッケイレブはグラシエラ・リヴァースという看護婦の訪問をうける。彼女によるとマッケイレブが移植で得た心臓はグラシエラの妹グロリアのものだというのだ。コンビニ強盗に殺されたという妹の事件は未解決で犯人を見つけて欲しいという。療養を必要とし車の運転すら禁じられているマッケレイブであったが、犯罪によって得られた心臓、「邪悪な行為による受益者」という自身を苛む思いと犯罪を憎む気持ちとが混ざり合いながら真相を明らかにしようと捜査を開始する。

臓器移植を物語の題材にした作品はあります。提供する側と移植される側共に重たい事情を抱えているのですから物語の題材としては都合が良いでしょう。さらにマイクル・コナリーは犯罪者を仲介させることによって両者を関係つけています。さながら二本の紐にもう一本加えることによって紐を縒っているかのように登場人物の関係性を強固にしてゆきます。しかもその関係性が別な要因からもさらに強固なものとなってゆくのですから読者は主人公マッケレブと一緒になって締め付けられてゆくのです。
この太い紐の周りにコナリーは様々なお楽しみを用意します。作品の発表された1998年、インターネットは普及しはじめ同時にハッキングなどの問題も世間に知られるようになっていますし、ビデオ編集技術の専門性も読者の興味を引くところです。ギャングと経済犯罪はいつの時代にもある題材ですが深い謎という点では読者を刺激します。催眠術を用いて犯罪状況を明らかにしてゆく方法などはあまり知られていないでしょう。そうゆう小道具が上手にちりばめられているので物語にリアリティがあります。そしてこの作品の最大の道具立てと言えるのが原題である BLOOD WORK なのですが、それは読んでのお楽しみなので私が書くわけにはいきません。

さて、解説を書いている西上心太氏によるとハード・ボイルドも時代により変化していて、体制に組しない主人公が権力や組織に歯向かいながら真相を究明してゆき、その過程で現代社会が抱える病巣が浮かび上がるという大枠があるものの、時代が近づくにつれ事件と主人公との関り方が違ってきているといいます。
ハメットやチャンドラーは牧歌的だったのが60年代後半から70年代は公民権運動やベトナム反戦運動といった政治的なテーマとヒッピーなどの文化が入り混じる時代を経験します。ネオ・ハードボイルドと言われる作家なのだそうです。私はこの世代を少し年上のお兄さん世代として認識共有していますが、ノスタルジックな思いともに私自身今でも影響を受け続けていると言えるでしょう。
そしてポスト・ネオ・ハードボイルドと呼ぶのが次にくる時代で、主人公と事件との距離が密接になっているといいます。社会的問題を背景にした事件という視点から主人公が抱える問題と事件とを関わり合わせることで主人公は事件の影響を深く受けてゆくことになります。
そうゆう解説を読むとなるほど『わが心臓の痛み』の主人公テリー・マッケイレブは事件を解決する主人公というよりも事件の当事者、事件そのものと言っても良いと納得するのです。
ハリー・ボッシュはベトナム戦争を経験した刑事として登場し物語のいくつもの場面で主人公の戦争体験が思い出されます。その点ではネオ・ハードボイルドで私が惹かれた所以でもあります。しかし物語が進むと主人公の親子関係など個人的事情も多く描かれて来ていますからポスト・ネオ・ハードボイルドへの移行も見られるのかもしれません。

さて、『わが心臓の痛み』。私が読んだのは扶桑社ミステリーという文庫本ですが、表紙はクリント・イーストウッドです。2002年にイーストウッド自身による監督・主演で映画化されているのです。そこで私が持っているDVDリストを調べてみると持っている事が分かりました。週末、映画を見てみることにしましょう。

ではまた。

スポンサーサイト



テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

杣人のNuages

ブログ内検索
 RSSフィード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

FC2カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ホテル探しに!
クリックをお願いします!
Google