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杣人・somabito

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『夜明け遠き街よ』

お元気ですか?

先日三重県松坂市にある松浦武四郎記館に行った事を書いた。函館出身の作家高城高氏の『函館水上警察』を読んだ事を切っ掛けにしたのだが、東京創元推理文庫から出ている全集4冊も求めゆっくりと読んでいる。文庫本に収められている氏の文章が非常に硬質で読むのに少しばかり緊張を要するのだ。決して判りにくい文章ではない。むしろ無駄のない丁寧な文章は読みやすいと言っていいだろう。だが私にはやはり一歩一歩足元を確認しながら読まなければならないような、姿勢を正さなければならないような、そんな緊張を求められているように感じるのだ。

その高城高氏の『夜明け遠き街よ』を一気に読んだ。そのくらい面白く本を手から離す事ができなかった。

内容は、札幌ススキノを舞台にクラブニュータイガーで働く副支配人黒頭悠介を主人公にした大人の世界。夜の歓楽の世界では男女の欲望と計算が交叉する。時代は昭和57年(1982年)。オイルショックによる不況から脱しバブル景気の入り口に立った時代である。フォークランド戦争の年であり、フィリップスによりCDが初めて作られSONYがCDプレーヤーを発売した年。ホテルニュージャパンが焼失した年でもあった。
そんな時代をススキノに映しストーリーは展開する。地上げにからみ億単位の金を手にするホステス。三人のパトロンそれぞれからマンションの部屋を得て使い分けるホステス。新興フード産業のオーナーがばら撒くアンダーな金。賭博に狂う経営者。欲望の様々な姿を描き出しながら高城氏はススキノの当時を浮き彫りにしている。


私はこの時代の札幌を知らない。既に東京に出ていたからであり北海道に帰省しなかったからである。ただ一度だけ札幌で従兄弟に連れられて遊んだ事はあったがそれ切りであった。それでも、歩道に積み上げられた雪の山やライラックの咲く街の風景には体に染み込んだ懐かしさを持っている。

平成21年『函館水上警察』22年『ウラジオストクから来た女-函館水上警察』と明治の函館を描き作家活動を再会した高城氏、日本のハードボイルドの嚆矢と言われているが昨年出版された『夜明け遠き街よ』にもその骨はしっかり立っている。生来持っている資質と長年新聞社で記者としての仕事をされてきたことによる取材に基づく材料の配置、文章構成技術の確かさが各所に光っている。
昭和10年生まれ、今年78歳になられた高城氏はあとがきで「皆が忘れている、忘れようとしていることは書き留めておく価値があると考えたのだった。」と言っている。これからも私達が気が付かなかった時代の淵を書いてくれることに期待したい。


高城高氏の作品、経歴については出版社荒蝦夷のHPに詳しい。そのなかにインタビューも掲載されていたので、リンクを張っておく。ご興味のある方は是非ご覧いただきたい。

インタビュー「X橋付近」の時代


夜明け遠き街よ夜明け遠き街よ
(2012/08/11)
高城 高

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