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杣人・somabito

Author:杣人・somabito
Nuages・・・雲のようにふんわりとしています

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つながる思い

お元気ですか?

朝、6時半になったのでゴミを出そうと外に出ると、太陽の日差しに頬が痛い。
ちりちりちりと音が聞こえるくらいに日差しが強く感じられます。
私の記憶は一気に中学生・高校生の頃に飛び、糸魚川の実家で過ごした夏の日を思い出します。


今日、思う処があって納戸にしまってあったダンボール箱の中から文庫本を50冊ほど Book Off に売りにいきました。いくつかのダンボール箱を開け処分してもいいのを選ぶのですが、心の中のどこかで懐かしみながらもすでに踏ん切りがついています。
“楽しかったね、有難う”とお礼を言いながら、でもこれからも沢山の本を読まなければならないので、読み返すことのまずない本を選んでいきます。出来ることなら全部とっておきたいのは正直な気持ち。でもそのためには何部屋も用意しなければなりません。“売に出すあなた達に優劣軽重はないんだよ”と言いながら、一冊づつ表紙を確認し手提げ袋に移し替えます。

そんな中、小さな本が目に止まりました。あれ、こんな所に入れてあったっけ?と思いながら、手にとります。

DSCN6096_convert_20130617201741.jpg  DSCN6104_convert_20130617201834.jpg

革表紙、天金装の小さな本。小原國芳先生の『真人のことば』という箴言集で、玉川学園出版部で出された昭和10年初版の本です。この本は子供のころから私の家の本棚にあって、私が自分の本棚を持つようになってから勝手に貰い受けてきたものです。

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実は、この本は小原國芳先生から祖父に贈られたもので、先生の署名の横に◯◯兄へと祖父の名前が記されています。
私は、物心ついた頃からこの本を手にとってきました。それには少しばかり訳があるのです。


祖父は幼くして親を亡くし苦学して高田の高等師範を卒業し教職につきます。
その時代としては先進的ですが、給食を導入したり体育を重視し優秀な先生を招いたりします。生徒たちが家に来るのも自由で家の子供たちと一緒に遊んだり本を読んだりしたといいます。父をはじめ家の子供たちにとってもその環境は自由大らかで素晴らしい情操教育となったことでしょう。その教育方針は小原國芳先生が実践した全人教育につながっていきます。父が語る祖父の思い出には自分の親でありますが、誇らしく尊敬の思いが込めれていたのを私は感じていました。

私の父は、満州で徴兵され一旦糸魚川に戻り家族との別れをした後大陸に渡り、その後ソ連侵攻とともにシベリア抑留を経験します。死亡者・行方不明者が34万人を超える犠牲者が出たと言われる抑留を4年間生き延び、舞鶴に帰還し糸魚川にもどりますが、そこで数ヶ月休養を取ってから北海道に渡り、戦後の人生を歩み出します。
その時に父が実家から持ちだした本の一冊がこの小原先生から祖父に贈られたこの本でした。巻末にある白い頁には父の文字で本書から抜き出した文が書き写されています。
祖父の字ははみ出さんばかりに豪胆な字で、父の字は一文字一文字同じ大きさで几帳面に書かれた文字ですからその違いははっきりしていて父の字と分かります。

父はシベリア抑留から帰還する際、全ての物を捨ててこざるを得なかったと言いますから、この本は戦地には行っていません。父は糸魚川の実家でこの本を読んでいたのでしょう。出征する前、戻った後それぞれの時に読み北海道に渡るに際して実家や祖父を思う縁として持ってきたものと思われます。そして、思うところに記しをつけたり書き写したりしたのでしょう。

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忙しい仕事の中、私達家族を思い、糸魚川の両親や実家を思いながら父はこの本を手に取ったことでしょう。そう思うと、この本は小原先生、祖父、父、私へと受け継がれてきた大切な宝物です。
子供の頃、私は充分に理解をしていませんでしたが、この本を大切なものと感じ自分のものだと感じていました。父にとってそうだったように、私にとっても父と私をつなぐ本だったのです。

あの頃から何年たったでしょう。私の中では昨日のことのようにはっきりと本棚に収められたこの本を手にする自分の姿が見えます。
本は何が書かれているかが大事です。ですが、時には本という存在そのものが価値をもつ時があります。
小原國芳先生から頂いたこの本は祖父から三代を経てそうゆう価値を帯びてきた本といえるでしょう。

私のこれからの生活の中でもう一度この本に思いを寄せ、父や祖父の事を心に置きながら我が身を正すための助けとして側に置いておきましょう。




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コメント

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杣人さん、こんばんは。
お祖父様、教育に関わられた方でいらしたのですね。お祖父様が、当時の教育に尽力なさった方であること、小原国芳氏とご関係の方でいらしたとのこと、関係ないはずの私ですのに、なぜかとても感激しました。
御本、宝物ですね。
それにしても、当時の師範学校は、たくさんの優秀な方々を教育や学問の世界に招き入れるよい仕組みであったのだとつくづく思いました。

有難うございます。

ここ様、祖父の話にコメントをいただき嬉しく思います。
小さな本から見える家族史をイメージしたのですが、祖父の周りには教え子の方たちの思い出が溢れています。
以前、祖父を知る人達が集まって祖父との思い出を本にしたことがあり、私も少しお手伝いをしたのですが、
教育がどれほど人の心の中に根をはるのかと驚いたものでした。
ここ様のブログを拝見し、人をあたたかく見る目と距離を感じますが、ここ様も良い先生に恵まれたのでしょうね。


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