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杣人・somabito

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『屍鬼』五巻目

お元気ですか?

日本各地で猛暑日の予報。我が家でもこまめに水分を補給しながら過ごしています。


小野不由美さんの『屍鬼』五巻目を読了しました。まぁ早かったと言っていいでしょう。読み終わってみると物語の全体像はごくごく当たり前の吸血鬼ものといえます。外場村に吸血鬼である屍鬼がやってきて村人たちを襲っていきます。“起き上がり”という言い伝えをもち今も土葬の習慣をもつ外場村は次第に吸血鬼が増えていきますが村人たちは訝しく思いながらも行動を起こさないまま、村を死が覆います。

『屍鬼』五巻目はいよいよ村人と屍鬼との戦いになります。医師尾崎は自らを屍鬼に襲わせることで村の人に屍鬼の姿を知らせ人々の恐怖は怒りと復讐へと変わっていきます。一方僧侶の室井も自ら屍鬼に近づき彼らの仲間となります。五巻のポイントはここにあります。室井が屍鬼の仲間となったことで屍鬼が抱えている社会との確執、家族への反発、怒りと苦しみを知るのです。しかし私には作者が屍鬼と人間とをパラレルに置きすぎたように思え興ざめな感じがして残念です。
それは室井の父で僧侶の信明がやはり自ら屍鬼に身を投じた場面にもはっきりしています。村からの信頼と尊敬を集めていた信明ですが、自分が村の期待に合うように演じていた姿だと自分の生き方に不満を持ち屍鬼になることで生まれ変わりたいと願います。しかし実際は屍鬼になっても老いた体の不自由が直るわけでもなく信明は“こんなはずではなかった”と不満を抱え絶望します。これはあまりにもつまらない。確かに小さな社会の中で期待を背負いながら生き自分を失って生きてゆく人はいるでしょう。でも仮にも僧侶です。もう少し勉強していてもいいのではないか、僧侶にこのような愚行をさせるのは無理があるのではと思います。
作者は屍鬼の首謀者たちにも室井を聞き役として自分の過去を語らせ、屍鬼の姿を浮き彫りにします。しかし、その姿は家族を失った悲しみから仲間を求める孤独であったり、権力を持った父親の所業により社会から疎まれたことで父を恨む心であったりとおよそ屍鬼としては覚悟が出来ていない姿。
「日本の吸血鬼ものとしては良く書けていると思うけど、吸血鬼のくせに達観したところがないんだ。だらしがないんだよ。」と私はパートナーさんに言います。

解説を書いている宮部みゆきさんによると、『屍鬼』はスティーブン・キングの『呪われた町』へのオマージュとして書かれた作品だと言います。そうなのでしょう。だとしたら作者は屍鬼にあまり前世の記憶による愚痴や葛藤を語らせないほうが良かったのではないのかと思います。
もっと達観した、人間的感情を排した屍鬼だったら恐ろしさも際立つのではないでしょうか。それに対して山に囲まれた小さな外場村に暮らしその中で作られてゆく砂箱のアリの巣のような社会。その人の社会の営みの恐ろしさをもう少し感じられても良かったように思います。

あまり怖くなかったホラー小説ですが、吸血鬼好きとしてはお薦めの作品です。
久しぶりにパートナーさん紹介の本を楽しんだと言えましょう。


屍鬼〈5〉 (新潮文庫)屍鬼〈5〉 (新潮文庫)
(2002/02/28)
小野 不由美

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追記)

『屍鬼』を読みながら古い写真を思い出していた。それは糸魚川の写真で着物を着た男の人達30人ぐらいが遺体の入った樽を神輿のように担いで墓地に運ぶ写真だった。以前実家の写真を整理していて見つけたものである。
家人に話を聞くと昭和初期の頃の写真だそうで田んぼ道を山に向かって隊列を組んで歩いている。稲は刈られていたからきっと秋の頃なのであろう。土葬がまだ習慣として残っていた頃の話だ。『屍鬼』には寺の檀家で組織された弔い組というのが出てくる。葬儀社のない村では村民自ら葬儀の作業を行わなければならない。糸魚川にも弔い組があったのだろうか。
私は自分の葬儀に全く関心がない。葬儀をするかどうか、するとすればどう行うかは残された者の問題だと思う。私自身のことだけで言えば、献体できるならどうぞ使って欲しいと思うし、最後まで残った骨はさっさと焼却して欲しい。墓などはいらないし出来れば海にでも散骨してほしいと思っているが、日本ではまだ散骨に関する法的整備ができていない。死んでまで人様にご迷惑を掛けたくないから(といってもお世話にはなるのだが)早く法整備が出来る事を期待している。
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