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杣人・somabito

Author:杣人・somabito
Nuages・・・雲のようにふんわりとしています

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『夫婦善哉』

お元気ですか?

NHKの土曜ドラマ『夫婦善哉』が始まった。6年前に発見された続編も取り入れながらの初のテレビドラマだそうだ。
『夫婦善哉』といえば昭和初期の作家織田作之助の代表作で年配の方には森繁久彌と淡島千景の映画、私は沢田研二と藤山直美の舞台が記憶にある。ミヤコ蝶々の「夫婦善哉」もあるがこちらはトーク番組。

私が何故『夫婦善哉』を見ているのかというと、これはもう森山未來という俳優に興味をもったからに他ならない。実は先にスティーブン・バーコフが演出をしたカフカの『変身』で主人公グレゴール・ザムザを演じたのを見、佐野洋子原作のミュージカル「100万回生きたねこ」で主人公のトラ猫を演じるのを見た。まるでバレーダンサーのような身体能力の高さにすっかり感心したが、演技力もなかなかのもの。まぁ体から出てくるものを自由に出来るにはもう少し時間がかかるだろうが、それでも方向性は持っているようだから立派なものだ。
そう思っていた矢先、NHKの番組CMで『夫婦善哉』を放送すると知ったのだからこれは見たくなる。もちろん蝶子を演じる尾野真千子も素直な演技がいいし、蝶子の父は火野正平、母親は根岸季衣が演じていてこれも良い。ちなみに蝶子の父種吉は一銭天麩羅という商売をしているがこれは織田作之助の両親の商売でもある。

さて、日頃から食べることが大好きと言っている私だが、『夫婦善哉』を見てさすが大阪の話だと膝を打つシーンが第一話に登場した。化粧品問屋維康商店の若旦那柳吉が芸者の蝶子を見初め連れ回すシーンだ。

原作から少し抜き出してご紹介しよう。


 柳吉はうまい物に掛けると眼がなくて、「うまいもん屋」へしばしば蝶子を連れて行った。彼にいわせると、北にはうまいもんを食わせる店がなく、うまいもんは何といっても南に限るそうで、それも一流の店は駄目や、汚いことを言うようだが銭を捨てるだけの話、本真にうまいもん食いたかったら、「一ぺん俺の後へ随いて……」行くと、無論一流の店へははいらず、よくて高津の湯豆腐屋、下は夜店のドテ焼、粕饅頭から、戎橋筋そごう横「しる市」のどじょう汁と皮鯨汁、道頓堀相合橋東詰「出雲屋」のまむし、日本橋「たこ梅」のたこ、法善寺境内「正弁丹吾亭」の関東煮、千日前常盤座横「寿司捨」の鉄火巻と鯛の皮の酢味噌、その向い「だるまや」のかやく飯と粕じるなどで、いずれも銭のかからぬいわば下手もの料理ばかりであった。芸者を連れて行くべき店の構えでもなかったから、はじめは蝶子も択によってこんな所へと思ったが、「ど、ど、ど、どや、うまいやろが、こ、こ、こ、こんなうまいもんどこイ行ったかて食べられへんぜ」という講釈を聞きながら食うと、なるほどうまかった。
 乱暴に白い足袋を踏つけられて、キャッと声を立てる、それもかえって食慾が出るほどで、そんな下手もの料理の食べ歩きがちょっとした愉しみになった。


どうにもこれには参ってしまう。蝶子でなくたってこれだけ連れ回されたなら参ってしまうのは必至。私だってワンと言ってしっぽを振るかもしれない。

かつて忙しく働いていた頃、毎月のように大阪に出張する事があった。東京での生活が長いから最初はこわごわと行った大阪であったが、次第に楽しみになってしまったのは大阪の「うまいもん屋」に魅了されたからに他ならない。柳吉のようにあちらこちらと行けなかったは残念だが、通天閣で串揚げを食べ、ふぐを食べ、お初天神にお参りをすますと新幹線の時間を気にしながら梅田の路地店に腰掛ける。今思い出しても至福の時間。大阪での会議の席で「こんな美味しいものが食べられるなら何度でも呼んでくれ」と白状したくらいだった。

ところで、女性と食事に行くなら「うまいもん屋」が良いと思っているのは道楽息子の柳吉ばかりではない。かく言う私も似たような事をやってきた。リヤカーを引いたおでん屋だったり、ガード下のホルモンだったり。会社の上司が連れて行きそうにないオジサンの店が面白い。

さて此処で若いころの話を披露するのが本旨ではない。ちなみに上の文章の後には次のように書かれている。

そんな安物ばかり食わせどおしでいるものの、帯、着物、長襦袢から帯じめ、腰下げ、草履までかなり散財してくれていたから、けちくさいといえた義理ではなかった。

柳吉くん、やるべきことはやっているのだ。

朝、経済ニュースを見ていて面白い事があった。先輩格のアナウンサーがゲストのアナリストと一緒に「今の若い人はお金を使わないんですよ」と話す。実際後輩の若いアナウンサーは「使いません」と応じる。「私達の若いころは車を買ったり遊びに行ったりしたんですけどね。」と先輩が言うが後輩はどうしたら良いのといった顔だ。デフレ社会が20年も続いた結果なのだという。
先日レストランでご一緒したご夫婦も「今の若い人はデートで外食をしないですよ。家で会うんです。」と言う。目が点になったパートナーさんは、私の道場で若い人に確かめていた。その彼によると確かにドライブをしたりレストランに行ったりといったことはしないで、家でビデオを見たりお話をするのだそうだ。
東京のように電車で何処へでも行ける街とは違う。どこへ行くにも車が必要だから外食先でお酒を飲むことは出来ない。お酒を飲まないとしてもどちらかの車をどちらかの家に置いておかなければならない。それならいっそのこと何処へも出かけないで家で会おうということなのか???

バブル時代に若い時を過ごしたオジサンは、お金は活かして使うもの、女性に貢ぐのは男にとって誉れ高き事と思っていた。だいたい、家でビデオを見ながらコンビニで買ってきたものを食べていたらハプニングもサプライズも無いじゃないの!


森山未來は、若い人に人気の俳優さんだそうだ。NHKの『夫婦善哉』を現代の若者に見てもらいたい。
せっかくの人生だ、出会った相手になりふり構わず一生懸命になれる自分を若いうちに見つけよう。そのためにお金を使うのならいくら使っても構わない。だいたい構うようなお金の使い方をするような男は大したものにはならない。女性はそこのところを良く知っている。

それにしても大阪でうまいもん食べたいな。



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テーマ : 文学・小説
ジャンル : 小説・文学

コメント

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こんにちは。

いつもコメントをいただくだけで、
申し訳なく思っております。

知的レベル、生活のレベル。
そして杣人さまの人としての格。
いずれを取っても遥かに上のお方に、
軽々しくコメントできるようなわたくしではございません。

国内外の文学に通暁し、
海外での演奏会もいくつか経験なさっているよし。
またワインに親しむ日常や、
弓道を極められておられることなど拝見するたびに、
世の中にはなんと雲の上のような方がおられるものと、
溜息が出る思いであります。

なろうことなら下賤の私どもにも判り易い、
例えばおバカな笑い話でもしていただければ、
真っ先に駆けつけたいと思っております^^。

ほんとうに、いつもすみません。

南亭様、コメント有難うございます。
お立ち寄りいただけるだけで嬉しく存じます。

バカな笑い話・・・ですね。ちょっとひねってみましょうね。

杣人のNuages

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