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杣人・somabito

Author:杣人・somabito
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『異邦人』

お元気ですか?

いよいよ冬の寒波がやってきました。函館の駅前が強風に揺れる様子がテレビで流れていましたが、先日行ってきたばかりです。優しい陽射しの中お散歩したのとは違う北の町の様子です。

実家に帰省する楽しみの一つに本棚との再会があります。私が家を離れている間に両親は転勤で何回か引越をし私が子供の頃に暮らした家は既に無くなっていたのですが、幸い私の本は幾つかのダンボール箱に納められて一緒に引越、一部は本棚に並べれられていました。初めて両親の住む見慣れない家に行き本棚を見た時にはちょっと感動でした。以来実家に帰ると本棚を眺めては学生時代に読んだ本と昔話をするのです。

今回、函館に帰るときに旅の伴に持って行ったのは高城高さんの文庫本でした。それをホテルで読み終えたので家の本棚から何か持ち出すことにします。星新一のショート・ショートがいいかな?ブルフィンチのアーサー王ものも懐かしいなと手に取りながらカミユの『異邦人』に決めます。10月に記事にしましたが、少し前から頭の中で乾いた風景が繰り返し浮かび上がっていたからです。

その『異邦人』を読み終わりました。130頁ほどの短い話ですが、ゆっくり丁寧に読んでゆきます。主人公ムルソーの日常に彼の虚無的な姿勢が描かれもどかしさのようなものも感じます。しかし彼が殺人を犯し投獄されてからはその視点は活き活きとし、ムルソーを凶悪な犯罪者に仕立てる検事の芝居がかった主張もまるで他人ごとのように俯瞰した先で見るようです。判事がキリスト教を持ち出しそうでないムルソーを非難する姿も滑稽です。犯罪者として投獄され社会との立ち位置が明確になった今、ムルソーはこれまで以上に自分の姿がはっきりとし自由になったようです。キリストが鞭打たれ殉教する姿すら思い起こさせます。

不条理はキリスト教に反する概念として捉える事ができます。神の国を実現するための人形である私達は宗教的に生きることによって浄化し神の国への階段を登ることが出来る。しかし人間と対比される神はその圧倒的力によって不条理を内包しているとも考えられます。実存主義ではその神の問題を飛び越えて人間の美学の領域に不条理を捉えていきます。
カミユは実存主義者ではありません。どうしようもない現実の中で存在しているだけです。そこに意味を見出したり方向性を探ったりということは無く、ただ存在しているだけです。しかしそのことで却って人間は自由になっていると言えます。ムルソーが牢獄の中で自由でいるようにです。


私達はどのような時に不条理を知るでしょうか。
例えば病気で長く入院や通院を余儀なくされる子供たち。彼らは強く不条理を感じるでしょう。そして彼らは大人びた醒めた目を持つことになります。他者との距離を知り無常を知ります。その過程で自由を得るかどうかは本人の問題です。しかしその醒めた目で不条理を理解するのです。
実は私もそうゆう経験をしたことがあります。病院に寄り痛い注射を打ってもらい人気の消えた道を小学校へ向かうときに得た感覚は不条理の空気でした。誰もいない校舎の玄関で一人下駄箱から靴を取り出し次第に人の空気の厚くなるのを感じ教室に入ります。そこは見慣れた友人のいる処ではなく水槽の中で透明な膜に覆われたまま投げ込まれたような側にありながら絶対的距離を感じさせる場所です。
このようにして私達は生活の中に不条理を見つけ掌にすくうようにしてそれを眺めます。

さて、『異邦人』を読み終え、最初に読んだ学生の頃アルジェの乾いた空気と海ではしゃぐムルソーと恋人の姿に虚無的なことを感じていたのを思い出します。しかし今回はムルソーの開放された自由の方により関心が惹かれていました。
そして、新潟の夏の家で庭続きにある浜で太陽に焼かれながら世の中の何かを見つけたくて焦っていた自分を思い出すのです。

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(1963/07/02)
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