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杣人・somabito

Author:杣人・somabito
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『風の岬』・・・創元推理文庫高城高全集

お元気ですか?

当地午後から雨が降るようで、薄くかかった雲の間に空の明かりが残っているものの肌寒い風が吹いています。季節はすっかり冬の入り口に来たようです。

高城高さんの『風の岬』を読了しました。創元推理文庫高城高全集4です。ゆっくり時間をかけて読んできた高城高全集ですが、その全4冊を読み終え心が晴れたような清々しさと満足感からくる暖かさに包まれています。
高城高さんはブログ『探偵小説三昧』の管理人さんから『ウラジオストクから来た女 函館水上警察』をご紹介いただいた事から読み始めたのですが、内容とともに文章の力に惹かれました。しかしその稠密な文章のため一文一文丁寧に読み進まなければなりません。なにか読者としての姿勢を問われているような感覚を持たされるのです。
幸いにして函館を舞台にした作品から読み始めたため私には親しみがあります。全集1の『墓標なき墓場』は釧路や根室といった漁港を舞台にした作品でこれも訪れたことのある土地ですから主人公が利用する汽車は無くなりましたが移動する時間感覚を肌身でわかります。風景も当時とそう変わらないでしょう。
全集2『凍った太陽』は戦後の風景を切り取った作品群で記念碑的作品である『X橋付近』が収録されています。舞台となる仙台も私が毎年夏に訪れる土地で馴染み深いのですが、こちらはさすがに当時の雰囲気を知ることはありません。
全集3の『暗い海深い霧』は北海道を舞台にした作品群で戦後の北海道らしくアメリカとソ連との諜報戦の舞台を描いた作品やアイヌ民族問題を背景にした作品が時代を映しています。
そして今回読み終えた全集4『風の岬』はやはり北海道を舞台にした作品群で、オホーツク沿岸や釧路、札幌と全道に範囲が広がっていて、最後の『死ぬ時は硬い笑いを』は函館を舞台にした作品です。

高城高さんの作品を読んで感心するのは新聞記者として鍛えられたであろう文章の力なのですが、単に無駄のない文章というのではなく土台にある品格が作品に光を持たせています。さらにたぶんこれは氏の持つ人間性なのでしょうが軽いユーモアのセンス、それが重いテーマであっても読むものを落とし込まない距離感を与えているように感じます。そして氏が『ある誤報』の解説で「今では昭和三十年代の札幌の警察記者の仕事ぶりの貴重な記録として読める」と言っているように、作品の多くにその時代の記憶としての価値を見るのです。小説を書く時に流行りの風俗や言葉などを用いるとその時は若々しい作品のように思えるのですが、何年かするとすっかり色あせてしまい作品として力の無い下品なものになってしまいます。ところが、高城氏の作品では時事性を持たせながら色褪せない却って時代の記憶としての価値を高める事に成功しているのです。どうして成功しているのか。それは私自身の謎解きの部分として残しておきましょう。
そして、私が最も感心したのが作品のそれぞれがとても実験的に作られていることでした。回想シーンの使い方や謎の解き明かし方、どんでん返しの妙など作品のテーマと一緒に高城氏が試行錯誤しながら工夫している様子が思い浮かぶのです。それが小気味いいというか清々しく、好感を持てるのです。

高城氏は1935年1月生まれですから現在78歳。全集最後の作品は昭和45年に書かれたものでその後1970年代に入って小説を書かなくなったと言います。新聞記者としての仕事やアイヌ民族問題への傾倒、東京の出版事情との距離など幾つかの要因があったようです。しかし、2007年から作家活動を再会し2009年『函館水上警察』を発表します。

私の故郷である函館出身の高城高氏に深い感謝と今後も高い創作意欲をもって私達を楽しませてくださることを願い、創元推理文庫高城高全集を読了したお礼としましょう。


高城高全集(4) 風の岬 (創元推理文庫)高城高全集(4) 風の岬 (創元推理文庫)
(2008/11)
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