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杣人・somabito

Author:杣人・somabito
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桜木紫乃・・・続き2

お元気ですか?

週末、家の前の休耕田では朝から草刈りが行われているのですが、地主さんによる台風が来る前にという急ぎ仕事です。皆さんのところでは台風への備えはいかがでしょうか。

桜木紫乃さんの本2冊を読みました。『ガラスの葦』と『無垢の領域』です。気になる作家は可能な限り集中して読む性格で、今回はBook off から図書館利用に切り替えて読み進んでいます。

『ガラスの葦』は2010年の作品。ラブホテルの経営者の妻である主人公が、夫の死とともに崩壊してゆく様子を描いた作品。登場人物たちの絡みをどう物語に仕立ててゆくのかという面白みはあるが、桜木さんの筆が物語の起伏まで抑えてしまっていて残念。 直木賞受賞作である『ホテルローヤル』と同名のホテルが舞台の一つであるが作者の思い入れもあるのか、これ書きたかったんだろうなと思う。
『無垢の領域』は2013年の作品。釧路を舞台に書道家の夫と養護教諭の妻、民営化を進める図書館館長と障害をもつ妹の関わりを描いた作品。ポール・ボウルズの『シェルタリング・スカイ』に触発されて書かれているのか、旅行者(トラベラー)という言葉がキーになっている。『ガラスの葦』でも葦につまった砂が流れ出ると書かれていたが、『無垢の領域』でも「思い浮かべることがらが、たちまち砂になって、体の外へ流れだしてゆく。」という表現がある。作者はこぼれ落ちるものに意識を持っているのだろうか。自己という器からこぼれだしてゆくもの。残された抜け殻の器にはなにかが新たに詰まるのか、それとも脱皮した殻のように空洞のまま朽ちてゆくのか。こぼれ出たものは何処へいくのか。

『ガラスの葦』『無垢の領域』には老いと死というテーマが作品を構成する要素にある。桜木さんは「新官能派」と呼ばれたり「性愛文学」の作者とも呼ばれるそうであるが、だとすると男女の恋愛・性愛も老いや死も命をテーマにしている点では同次元。『無垢の領域』では書家の家族にはベッドに寝たきりの老いた母親の介護があるし、『ガラスの葦』ではホテル経営者の男は交通事故で死に至る怪我を負うが意識のないまま生き続けその間に物語が展開する。
本来生き物として命をつなぐ性であるが、男女の間で生まれるドラマと平行して描かれる老いや死は何を意図しているのか。『無垢の領域』では主人公の一人である図書館館長の妹の存在は興味深い。障害をもっている無垢な妹は母親の死後祖母によって育てられ、その祖母の死によって年の離れた兄の所で暮らすようになる。2人の女性の死によって庇護されていた彼女に生があたえられた形だ。だが単純に死によって生が生まれるといった図式ではない。物語の後半妹もまた書道教室に通う中学生によって殺される。それによって新たに動き出す物語は果たして生につながるのか・・・。

これまで桜木紫乃さんの作品を8冊読んできました。冷めた表現に魅力のある文章は作品の質感に強く影響していてもう一つ越えられないものをも抱えているように感じます。しかし、彼女が描く世界が一方に死を見据えながら生と死の間を埋め込む作業であるなら今後どう進んでゆくのかを見てみたいと思いながら今回の2冊を読了しました。

硝子の葦硝子の葦
(2010/09)
桜木 紫乃

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無垢の領域無垢の領域
(2013/07/31)
桜木 紫乃

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