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杣人・somabito

Author:杣人・somabito
Nuages・・・雲のようにふんわりとしています

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おやつの話2

お元気ですか?

薄い雨が続き、ようやくの青空。静かな金曜日です。

図書館から借りてきた『アンソロジー おやつ』を読みながら、みなさん子供の頃から思い入れ強くおやつと向き合っていたのだと感心する。ではとパートナーさんに「君の好きだったおやつは何」と尋ねてみると、虎屋の栗むし羊羹と一言答えたあと、少し思案し、栗ボウロと返事があった。なるほどいつか小布施に立ち寄った際に嬉しそうに袋菓子を買っていたことがあった。懐具合からいっても栗むし羊羹よりはるかに都合がいい。パートナーさんと暮らすようになって正月には御節を用意するようになった。大人になった真似事のようなものだが、伊達巻やかまぼこを奮発し栗きんとんを求める。ところが何処の栗きんとんを求めてもパートナーさんは納得しない。デパートの地下に並ぶ有名店や料亭の名前のついた栗きんとんでもだめだ。毎年今年こそはと半分意地になって歩き回るのだが、何年かそれを繰り返しとうとう諦めて自分で作ることにした。パートナーさんは売り物の栗きんとんに入っている水あめがいけないのだった。
かくして私は、泉鏡花の異界の姫に見初められた坊主よろしくパートナーさんのためにせっせと栗きんとんを作る次第となった。

本を読みながら自分の子供時代のおやつを思い出す。私は新幹線が走り出す少し前の生まれだが町にはまだ戦後のにおいが残っていた。なにしろ遊び場所である函館山には高射砲の台座が残っていたしレンガ積みの建物跡や防空壕跡があるくらいだ。だから矢川澄子がビスケットを焼く話には懐かしさを感じ、村上春樹のドーナッツの思い出に油の匂いが蘇る。おやつは買うものではなく、台所で母が作るものだった。矢川澄子と同じように生地を型で抜いたり残った生地をあつめて好きな形に作って並べた。中華なべにたっぷりと入れられた油の中からドーナッツが浮いてくるのを頃合をみて上げるのも楽しかった。母は私がガスコンロの傍で飽きもせずにお菓子作りを眺めるのを許していた。母もお菓子作りの出来る平和を楽しんでいたのだろう。

しかし時代が進むにつれてお菓子も変わってくる。父が出張から帰ると浅草の雷おこしがお土産にあり、東京の知人からは泉屋のクッキーを頂くようになった。台所でお菓子を作ることはなくなった。

東京で仕事をするようになって、日本橋の国分ビルに得意先を訪ねるようになった。道を挟んだ向かいには榮太楼がある。頂き物の飴は此処のだったのかと懐かしくなった。10円玉で開けるとき蓋に傷をつけないよう加減しながらやるのが好きだった。その榮太楼の本店で上司と待ち合わせをしたことがある。店内に並ぶのは見覚えのある三角の飴の他に上生菓子もあり、飴だけでは無いんだと自分の世間知らずを笑っていると、上司が店に入ってきて喫茶室につれてゆかれ、あんみつをご馳走になった。甘いものは大丈夫かなど聞かず当たり前のように注文する彼は鹿児島出身。酒も飲んだはずだが、甘いものも好きだったのだろう。函館出身の私と鹿児島出身の男が日本橋であんみつに向き合っているのはなんとも江戸らしい。

中村汀女の文章に友人の句、秋袷羊羹厚くきりにけり を紹介し、羊羹の切り方のむずかしさよ、心のいることよ。とある。
それを読みながら羊羹をつつむ銀紙にいつの頃からか線がついたのを思い出した。確かに均等に切るには便利かもしれない。しかし盛る皿の具合、見せ方によって切り方を変える自由は主にある。たった一本の線ではあるがそれがあるだけでここを切ってくださいとばかりに指示されるのは不自由を感じて興ざめである。

そんな羊羹も今では遠くなった。そもそも高価な羊羹を自宅用に求めることは少ない。大抵は頂くか、頂いたものをご相伴に預かるかだ。人付き合いの減った今、羊羹を頂く機会はめっきり減った。その代わり家ではパートナーさんが羊羹を作るようになった。袋売りしている既成の小豆餡を買ってきて水羊羹に仕立てるのだが、これだって十分に美味しいし楽しい。家で作るお菓子には作り手の思いがしっかりと映し出される。なによりもパートナーさんの作る羊羹には銀紙に引かれた線が無いから一切れがのびのびとしている。

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