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杣人・somabito

Author:杣人・somabito
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『ハンナ・アーレント』

お元気ですか?

悲しい事件が多く、日常の他愛も無いブログに言葉を載せる気力も消沈しています。以前、人間は殺人を好む生き物なのかも知れないということを書きましたが、私たちは歴史を学び人間がどれほど人を殺してきたかを知っているはずです。それでも未だに殺人によって自分たちの思いを遂げようとする人たちがいます。そして、歴史を見たときに死者の数が減っていることから現代は平和な時代だという見方を言う識者もいるのです。死者の数の事だけ見ればそうなのかも知れません。しかし、何千年と生きてきて未だに侵略や殺害を伴う争いを続けている人間は果たして平和を本気で求めているのでしょうか。

wowowで『ハンナ・アーレント』という映画を見ました。ユダヤ人の政治哲学者で、自身収容所から逃げた経験を持つ人です。アメリカに亡命し『全体主義の起原』『人間の条件』などを著しますが、ナチスドイツで多くのユダヤ人を収容所で殺害したアイヒマンがモサドによって逮捕されると、アーレントはニューヨーカー誌の依頼を受け裁判を傍聴し『イェルサレムのアイヒマン』を発表します。映画はこのアイヒマンに関するアーレントの思索をテーマに描かれています。そのことが映画が描こうとしている焦点をより明確にし判りやすくしています。
アーレントは裁判の傍聴を通じてアイヒマンが役人的に命令に従っただけの人間であったと感じ、怪物的悪の存在ではなく人間的思考を停止した凡庸な人物であったと考えます。社会がナチスの犯罪を糾弾するために怒りの矛先を向ける人物を必要としていた時に、「悪の凡庸さ」「悪の陳腐さ」と表現されたこの考えは人々の反感をかいます。
アーレントは決してナチスやアイヒマンの犯罪を矮小化したわけではありませんでした。しかし、悪というのは根源的悪が存在しているのではなく、思考を停止することで悪がはびこり覆いかぶさってゆくものであると考えます。
「悪の表層性」は全体主義のもとではびこり、社会を破壊してしまう悪へと成長してゆくのです。

宗教を標榜しながらテロを行う集団は世界に広がりをみせています。20世紀は国家による戦争の世紀でしたが、21世紀はテロの世紀でしょう。それはまるで悪が覆いかぶさってくるようです。私たちは戦争がどのように起こったのかを知っています。ならば何故テロが起こるのかを考えることも出来るはずです。暴力で攻撃してくる相手に立ち向かうために武力が必要な事は認めます。しかしテロを一瞬に殲滅出来たとしてもまた次のテロは起こります。私たちはよく考え、何がどのようにして起こっているのかを見極めなければなりません。そして、この考え続けることを妨げるのが恐怖なのです。恐怖は私たちを竦ませるだけでなく思考も止めてしまいます。ですからこの恐怖を軽減し孤立させられることを防ぐために一緒に考え協力し続けることが大切なのです。

テロ犯罪に対して「許さない」「罪を償わせる」と大きな憤りとともに言います。しかしテロを生んだのは私たちの社会です。暴力を認めることは出来ませんが、テロリストも私たちと同じ人間であることを思い彼らに社会がどう見えているのか、テロの行き着く先に何を思い描いているのかを考えなければなりません。暴力を前にして恐怖に負け、考える力、想像する力を失うことを私は危惧するのです。

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