プロフィール

杣人・somabito

Author:杣人・somabito
Nuages・・・雲のようにふんわりとしています

カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最近の記事
最近のコメント
カテゴリー
リンク
ブログランキング

FC2ブログランキング

人気のあれこれ!
月別アーカイブ
最近のトラックバック

『杉の柩』

お元気ですか?

アガサ・クリスティの『杉の柩』を読了。『アガサ・クリスティ完全攻略』霜月蒼著に押されての初クリスティだったが、意外にすんなり読み始めることが出来た。

物語はいきなり裁判の場面から始まり読者を緊張に引き込むように見えるが、一転主人公エリノアの回想で動き出す。差出人不明の手紙をもらったエリノアは幼馴染で婚約者でもあるロディーとともに叔母を訪ねる。屋敷には病に臥せっている未亡人ローラを中心に看護婦や召使がいるが、とりわけ門番の娘メアリイ・ゲラードをローラは可愛がり、メアリイも恩義を感じながらローラの世話をしていた。そしてローラが亡くなる。遺産を相続したエリノアは関係者にお礼をしながら屋敷を処分することにするが、そのさなかメアリイがモルヒネで毒殺され、エリノアが殺人犯として逮捕されてしまう。
若い医師ロードの依頼で事件を調べだすポアロであったが、状況はエリノアを殺人犯と示しているように見える・・・。

派手な殺人シーンもアクションもなく、病死した未亡人と殺されたメアリイの二人がまるで物語の道具立てとして用意されている。そして殺人犯として囚われたエリノアですら主人公とは言えない。
霜月氏は心理描写を欠き客観描写に徹し視点人物であるエリノアの内心が書かれていないためすべてが多義的だと分析する。これによって読者は登場人物たちを通して語られる均一にならべられた事実を前に謎解きに参加するが登場人物たちと同列な感覚を得る。ポアロの登場によってもこの形は変わらない。

私は読み進むうちにこれは詰め将棋のようだと思った。動機、実行の可能性、利益の重なったところが犯人につながる王手だ。語られる状況の中にはヒントもあればブラフもある。それらを整理しながら読んでゆけば犯人は分かる。実際私は消去法的に推理し犯人にたどり着いた。これまでテレビでみてきたクリスティのドラマを参考にしクリスティの傾向を考慮した点はあったにしても物語に書かれているものだけで推理は可能だ。その点でクリスティは読者に対して真面目で正直な作家だと思う。

これまで私は推理小説を読むとき、犯人探しやトリックの謎解きというものに積極的に取り組んではきていない。物語の流れを楽しみ、登場人物の性格や活躍を楽しんできた。今回霜月蒼氏の『アガサ・クリスティ完全攻略』を読んだおかげで、最初から物語を楽しむというより『杉の柩』にクリスティが用意したミステリーの仕掛けを意識して読むことが出来た。そしてそれは詰め将棋に似た楽しみだと理解した。これは新しい発見だ。これから読むミステリー全てをこのように読むとは限らない。今回クリスティが読者に対して謎解きの部分で非常に正直、フェアーな作家だったから出来た読み方でもあるからだ。

今は『アガサ・クリスティ完全攻略』を著した霜月蒼氏とこの本を紹介してくださった「探偵小説三昧」のsugata氏に感謝します。新しい楽しみを教えてくださって有難うございました。





スポンサーサイト

コメント

Secret

杣人のNuages

ブログ内検索
 RSSフィード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

FC2カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ホテル探しに!
クリックをお願いします!
Google