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杣人・somabito

Author:杣人・somabito
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『グリーン・ノウの子どもたち』ルーシー・M・ボストン

お元気ですか?

梨木香歩さんの『秘密の花園ノート』を読むために、バーネットの『秘密の花園』を読んだ。児童向けの古典である『秘密の花園』を初めて読んだのだが、想像以上に読み応えのある本であった。
図書館の児童書の書架には懐かしい本やタイトルは知っていても読んでいない本が沢山並んでいた。学校の図書館や本屋さんで探して読んだ本には広告が載っていてこのタイトルと短い紹介文にわくわくしながら次はどれを読もうかと想像し自分なりの優先順位を考えたものだった。しかし本を読むということは出会いだ。読みたいと思っていてもなかなか近づけないこともある。読みたいと思いながら何十年もたってしまった。

『秘密の花園』を返しながら書架を歩いた。何を読もうか。一冊は決まっていた。ルーシー・M・ボストンの『グリーン・ノウの子どもたち』である。この本は小学生の頃に一度読んだことがあり今も実家の書架にある。冬休みをひいお祖母さんの屋敷で過ごすことになった男の子トーリーは屋敷にある古い絵に描かれた子どもたちと不思議な体験をする話。大雨の洪水に見舞われた屋敷にボートに乗って行くという印象的な出だしで始まる話なのだが、私はすっかり物語を忘れている。記憶にあるのは小学生の時にこの本の感想文が上手く書けなくてそれ以降読書感想文というものに苦手意識を持ったこと。そして当時この本はシリーズの一冊目しか翻訳されてなく、しばらくして続編が次々と翻訳された時には読みたいと思いながらも距離が出来ていたことだった。私にとって『グリーン・ノウの子どもたち』は印象的ではあるがあまり嬉しい思い出の本ではなかったのだ。
心にひっかかったものは払い落とさなければならない。図書館の書架にシリーズ六冊が並んでいるのを見つけ借りることを決めた。さて、一冊目を借りることは良いのだが、同時に続く二冊ぐらいも借りたものかどうかを迷った。私の癖として同じ作家のもの、同じシリーズのものはなるべく全部読みたい。一冊では分からない作家の意図やシリーズ全体を読むことで分かってくるものもあると思うからだが、小学生の時と同じように上手く感想を持つことが出来なかったら二冊目が苦痛になるかも知れない。そこでまずはと『グリーン・ノウの子どもたち』一冊を借りてきた。

読んでみて小学生の頃になぜ読書感想文が上手く書けなかったのかが分かったような気がした。ビルマから冬休みを利用してイギリスに来た7歳の少年。継母とそりが合わず寂しい気持ちを抱えている。秘密の花園のメアリのようだ。イギリスでも最古の邸宅というのも似ている。ボストンを非難する気は全くないが、1911年に発表された『秘密の花園』をなぞるような設定はどうなのだろう。もちろん小学生の時に私がそうゆう事に気がついていたわけではないが(『小公子』は読んでいた)、なんとなく二番煎じのつまらなさを感じていたのかも知れない。大雨による洪水や雪の庭といった自然の設定もトーリーの感動はあまり描かれているとは言えない。絵に描かれたトーリーと友達になる子どもたちの設定は面白いしこの作品の柱だが、残念ながらこの作品ではトーリーが子どもたちと友達になるというレベルしか描かれていない。幻の子どもたちはともかくとしてトーリーの変化があまり描かれていないのだ。この点は『秘密の花園』と決定的に違うところだ。『秘密の花園』では梨木さんが指摘するように様々なところに小動物であったり草花の成長であったりとメアリの変化への仕掛けがしてあった。しかし『グリーン・ノウ』ではそれが薄い。
でも、いや待てよと私は自分に言う。トーリーが子どもたちと出会う屋根裏部屋はまるで母の実家の屋根裏部屋とそっくりではないか。階段の突き当たりにあった小さな引き戸を開けて入る屋根裏部屋は私には宝探しの部屋だった。雪の上を足跡で汚さないように慎重に歩くトーリーは家の前の草原に真っ白く積もった雪の中に犬の足跡をみつけて喜んでいた私の子ども時代と同じではないか。

『グリーン・ノウの子どもたち』はルーシー・M・ボストンが1954年62歳になって発表いた作品。このあと五作品が続く。いうなれば前奏曲のような作品なのかも知れない。とりあえず一作目を読んで小学生の時のようにスタート台には立ったのだ。残りの作品も読んでみようと思う。確たる思いではなく少し思う程度だが。

読み終わって思い出したことがあった。そういえばたしか梨木香歩さんとルーシー・M・ボストンとはつながりがあったのではなかったのか。そこでサイト検索をしてみたら、あった。『梨木香歩の世界』という梨木ファンの方が雑誌の特集記事やインターネットにアップされている情報から梨木さんの姿を明らかにしようと試みてるHPがあり、そこに「『グリーン・ノウ』シリーズの作者ルーシー・M・ボストンに手紙を送り、グリーン・ノウのモデルになったルーシーの住む古い館、マナーハウスを訪ねたりしている。」という文章がある。梨木さんはルーシー・M・ボストンの何に興味をもったのだろう。そのことを知るためにも『グリーン・ノウ』シリーズを読まなければと思う。

どうやら私は小学生の時の出会いを梨木香歩さんを触媒として今また続けようとしているのかも知れない。だとすると、この『グリーン・ノウの子どもたち』は何十年もの間、私の中で芽を出すのを待っていた本なのだろう。出会うということの不思議をいつもながら考えさせられる。


さて、今図書館は蔵書点検のためお休みになっている。『グリーン・ノウの子どもたち』と一緒に借りてきたのはマイケル・ボンドの『くまのパディんトン』。きっとA・A・ミルンの『くまのプーさん』と一緒に世界でもっとも有名は熊の一人だろう。バーネット、ボストン、と続いてまたイギリスの作家だが、時代はずっと近づいている。英国流のユーモアを楽しむ事が出来るだろうか。読みたかった本を手にする喜びは子どもの頃と少しも違わない。

では、また。




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テーマ : 児童文学
ジャンル : 本・雑誌

コメント

Secret

No title

林望の「イギリスは愉快だ」はお読みでしょうか。
前著「イギリスはおいしい」で一躍有名になったエッセイストの第二弾ですが、
作者は若き日にかのマナーハウスに下宿していたそうです。
ルーシーおばあ様との暮らしぶりが軽妙な筆に乗せて語られていてお勧めです。
未読であれば是非。

Re: No title

こじろう様、ご連絡有難うございます。
林望氏の本は読んだことがありませんので、読みたいと思っております。
書名を教えていただき助かります。有難うございます。

杣人のNuages

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