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杣人・somabito

Author:杣人・somabito
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『チャイルド44』 トム・ロブ・スミス

お元気ですか?

何か読みたいと喉の下あたりで乾いた欲求を感じて、あれ私はこんな形で体が知らせるのだったかなとちょっと面白く思った。体や心の動きを見るのは好きだが年齢を経て自分の事はわかっているつもりだが時々改めて知ることもある。
この時も何も本を読んでいなかった訳ではなく、その時読み調べをしていた状態から少し離れたくなったからなのだった。そこでいつもお世話になっている「探偵小説三昧」さんにお邪魔し『チャイルド44』を知る。

『チャイルド44』はケンブリッジ大学在学中から放送作家をしてきたイギリスの作家トム・ロブ・スミスのデビュー作で17か国で翻訳されたり映画化もされるなどいきなりヒット作になったという。期待をもって読み始める。

「探偵小説三昧」さんに詳しいが、こんなお話し。
スターリン政権下のソ連、戦争の英雄として国家保安省に務めるレオは部下ワシーリーの奸計によりモスクワから地方都市の人民警察に左遷される。そこでレオはモスクワ時代に係った児童殺害事件と同様の事件が起こっていることを知り捜査を始める。しかし理想の国家であることを標榜するソ連に犯罪は存在しないという建前をとる警察は事件そのものを隠蔽しレオの捜査も妨害する。さらにワシーリーによって執拗に攻撃をしかられレオと妻のライーサは国家に反逆する犯罪者として追跡され命を狙われる。

物語は幾つもの要素をもって展開するが、私が一番に恐ろしく感じるのはスターリン主義のもと恐怖政治の中で生きている人々の姿だ。息のつまるその世界は密告と沈黙で命を守ることを当たり前にしている狂気の世界。読んでいるだけで苦しくなる程だ。読みながら浮かぶのはソルジェニーツィンの『収容所群島』だ。もう一つは連続する児童への猟奇的殺人。犯人像が描かれないまま物語が進むので読者は犯人の心理を知るすべがない。捜査官と犯人の攻防追跡劇を描いているわけではなくそこに作者の計算がある。家族の愛情についても普通ではない。レオと妻ライーサも当初恵まれた夫婦のように描かれるが次第にお互いの心の裡が明らかになり猜疑心を知る。レオと両親の間にもなにやら事情があることが分かるが、そこにも時代の闇がある。

時代、国の政治体制、個人の心情などを深く織り込んだ読み応えのある作品だ。

読み終わって私たちはスターリン主義の時代にあのような国に生まれてなくて良かったと素直に喜べるだろうかと思った。世界中のいたるところで人権を踏みにじる言動が横行している。極端な民族主義者が政党を作り(つまり支持する人々がいて)国が違う民族が違うといって排斥しようとする。国内でもヘイトスピーチが問題になってきた。子供のいじめ問題には憂う人が同じ口で隣国の人を傷つけているかもしれない。
絆とかつながりという言葉が口々に言われるが何をもって絆というのか、つながる主体であるそれぞれの個はどのような姿なのか、内容の無い社会が力を持ったとき個が失われてゆくことを警戒する。


それにしてもいつもいつもブログ「探偵小説三昧」さんにはお世話になっている。実はさっき戸川昌子の『黄色い吸血鬼』も図書館に予約した。戸川昌子は今まで読んだことがない。こうゆうきっかけを与えてくれるブログは長くお付き合いしたいし、大切にしたい。


ではまた。


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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

コメント

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No title

いつも過分なお言葉ありがとうございます。あまり持ち上げられると調子に乗ってしまいますので、どうぞお手柔らかに。

Re: No title

sugata様、失礼しました御免なさい。でも、ネタバレにならず肝をおさえて(この用法新明解には出ていませんので誤用でしょうか)の解説にはいつも脱帽なのです。紹介された本を読み、再度sugata様の記事を読み返してうなっているのです。特にムーミンの時には感心しきりでした。同じようなことを感じていても言葉で表現することの大事と難しさを考えます。
さて今、戸川昌子さんを読みながら、あまりの面白さに一人ほくそえんでいるのです。これはゴシック?耽美?私はこうゆう本好きです。ありがとうございます。

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