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杣人・somabito

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『黄色い吸血鬼』 戸川昌子

お元気ですか?

戸川昌子さんの『黄色い吸血鬼』を読みました。名前も、シャンソン歌手であることも、作家であることも知っていましたが、本は一冊も読んでいません。都内シャンソンバーを何軒か利用していたときに確か戸川昌子さんのお店も行ってみたいと思った事もあったのですが、結局行かないまま。つまり私には縁のない方だったのです。
前回同様「探偵小説三昧」さんのご紹介で読むことにしたのですが、文章とテーマがうまく重なっていていい感じです。短編12編が収められていますが、どれも幻想的エロティックワールドです。エロティックな内容という入り口で好き嫌いがあるかもしれませんが、『猟人日記』がベストセラーになるというのですから、結構皆さん好きなのでしょうね。私の嗜好について明らかにするつもりはありませんが、中学生の時にマルキ・ド・サドを角川文庫で読んだ時から、エロスと想像の美学には理解をもっていると自負しています。

そんな私が12編の中から好みの作品を挙げるとすると、一位は『緋の堕胎』、二位と三位がほぼ同じで『疑惑のしるし』と『ウルフなんか怖くない』、そして『誘惑者』と『黄色い吸血鬼』となります。他の作品も役者志望の青年がマッドサイエンティストにとらわれて人魚とのセックスを強要される『人魚姦図』、犬の毛皮をかぶって女性を襲う『変身』、猫を愛するあまりスープにする女性画家の『猫パーティ』など様々な嗜好が作品に描かれていますが、私は動物が好きではないので物語に動物がからむとそれだけで点数が下がります。

一位に選んだ『緋の堕胎』は中絶を専門にする医者とそれを嫌い新興宗教に走る妻そして医者の助手の話です。おどろおどろしく湿った空気が描かれています。『疑惑のしるし』は秘密クラブと近親相姦をうまく絡めて、落ちが不気味。『ウルフなんか怖くない』は家出した小人症の妻の真意を知りたくて出し物小屋を訪ねる夫の話。『誘惑者』は正統派吸血鬼物語で落ちもわかるが吸血鬼ものをしっかりと描いていて良い。『黄色い吸血鬼』は営利目的の血液バンクをベースにした話。

さて、こうゆうエロティック作品を読むとき道徳とか社会規範を纏っていると作品を味わうことが出来ない。自分の中の社会性を一旦捨てて作品の世界を楽しむか、楽しまないまでもニュートラルな感性で向き合わなければならない。そこが読み手の想像力や芸術的感性が必要とされる所以だ。読みながらこれは反社会的だとか倫理に悖るとか言っても始まらないのである。
マルキ・ド・サドを読む人間がサディスティックな犯罪者ではないし、中学生で読んだ私が愛好者になった訳でもない。フランス文学史の一辺として関心を持ったし、その後様々な本を読むうえで役にたったのは事実だが、なにより言葉で作る文章、物語の世界を想像するという極めて知的で主体的作業により自分の感性を刺激するのだ。取り巻く全ての環境から自身を解き、想像の力を働かせたとき見えてくるのは自分の中にある姿だ。読書を通じて自分の中にある本質の部分を知り育てる事こそが醍醐味と言えるだろう。
私の場合はマルキ・ド・サドを読みながらウィスキーボンボンの味比べに目覚めた程度の話なのだが。



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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

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