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杣人・somabito

Author:杣人・somabito
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『肉体の悪魔』 レイモン・ラディゲ 中条省平訳

お元気ですか?

少しづつ夏が近づく気配がしています。俳句を読む方なら気の利いた季語など思い浮かぶのでしょうが私はただただ天気予報を見て雨の心配をしたり近くの田んぼに植えられてゆく米の苗の整頓された様子に日本の美しさを感じてるばかりです。

先日村岡花子の評伝を読んだせいもあって、翻訳の楽しさを思い出しています。ちょうど図書館からアメリカ人のご夫婦が日本に来て弓道の修行をした体験を書いた本『Illuminated Spirit』を借りてきましたので読んでいるのですが、英語の本なのでちょっと思いついてGOOGLE翻訳にかけてみたところどうにも感心の出来ない訳が表示されたのでがっかりしています。
私は英語が得意というほどではありませんが、必要があって英語の本を読む時はまず辞書を引くことをしません。小説などはすこし違いますが特定のジャンル例えば弓道に関連した本などの専門書を読む場合、辞書を引かなくてもある程度はわかるものです。これは学生の頃に(当時は弓道の本ではありませんでしたが)覚えたことで、まずは辞書を引かずにさっと読み通してみます。意味がつながらないということはあまり有りませんが、読みながらこんなことだろうなと緩く通り過ぎたところはもう一度読んでやはりいい加減に読んでいるようでしたら辞書を引きながら丁寧に読み直したりもします。私の場合、そうゆう本では大意を理解することが大事ですから微妙なニュアンスや言い回しにあまりこだわったりはしません。それでも自分が頭の中で起こす訳文はコンピューターの翻訳より少しはましなようです。

ところが小説ではそういう訳にはいきません。作家が一文一文丁寧に考えて作った文章です。大意を汲めれば良いといった話ではありません。そんな読み方では作者に対して失礼です。

先日パートナーさんが本を頼むというのに便乗して『肉体の悪魔』を買いました。光文社古典新訳文庫というシリーズの一冊なのですが、訳者は中条省平という私より少し年上の大学の先生なのだそうです。
読みだしてまず平易な言葉づかいで読みやすさを感じます。なるほど新訳というだけあって現代風なのかもしれません。これまでレイモン・ラディゲの本は新潮文庫が新庄嘉章氏、東京創元社のレーモン・ラディゲ全集で江口清氏の訳書がありますが、光文社版中条省平氏訳の文章は読み始めは平易な感じでしたが読み進むうちに新庄嘉章氏の文章が思い出されてきて、私にはそちらの方が良いように思えてきました。一つには私が読み慣れているせいもあるでしょう。これまで何回読み直したかわかりませんし、声に出して読んだりもしていますから文章のリズムが私にしみこんでいるのです。
もう一つは勝手な言い方かもしれませんが、『肉体の悪魔』が第一次世界大戦当時の作品だということで少し訳文が現代風に過ぎている気がするのです。古めかしいのが良いというわけではありませんが、サリンジャーを読んでいるような感じを受けます。ボードレールの『惡の華』やラファイエット夫人の『クレーブの奥方』を愛したラディゲに対してこれでは少しいかがなものなのかと思いたくなるのです。

もっともでは私がフランス語の原文のニュアンスをどれだけ理解しながら読むことが出来るかといったらはなはだ心もとないのですが、それでも学生の時にガリマールの文庫本や全集本を買って原文を読んでいたころを思い出すと、その文章の中に描かれた質感を思い出すことができます。今は納戸の段ボール箱の中にあってすぐには取り出せない本は当時私にパリ近郊の小さな町の風景を思い描かせてくれました。ラルースの辞典を引きながらゆっくりゆっくりかみしめるように読んだ文章は訳文を読むのとは違う読書の楽しみでした。語学は慣れて上達してくると訳さなくてよくなります。フランス語にしても英語にしてもそのままの言葉で分るという感覚が身に付きます。耳に聞こえる音や会話では特にわかりやすく経験することですが、文章を読むことでも同様の事が言え、一人で本を読み楽しむにはこれで十分です。しかし訳文を考えるというのはその次のステップの話でさらに深い原書への理解と日本語への理解が必要になるのです。そしてそれはまた一歩深い楽しみと言えるのではないでしょうか。

レイモン・ラディゲの『肉体の悪魔』は訳書もあり私自身楽しんで読めていればよい本ですから今更翻訳をしようとは思いません。ですが、弓道の事を書いた『Illuminated Spirit』は訳してみようかなと思っています。自分の楽しみのため純粋に翻訳することを楽しむためですが、もしかしたら弓友さんも喜んでくれるかもしれません。
レイモン・ラディゲの新しい訳本を読みながらそんなことを考えてしまいました。

ではまた。

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