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杣人・somabito

Author:杣人・somabito
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福井の旅 4 (永平寺)

お元気ですか?

福井の旅を続けましょう。

一条谷で朝倉家が栄たのは朝倉孝景(初代)が応仁の乱を契機に支配権を獲得してから
義景(5代)が天正元年(1573)に刀根坂の戦いで織田信長に敗れるまでの約100年間でした。

その遺跡が埋もれ発掘されているすぐ近く、山一つ越えたところに永平寺はあります。
朝倉家の時代からさらに、300年ほど遡った寛元2年(1244)に道元禅師によって開かれた
禅宗の総本山。坐禅修行の道場です。

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永平寺。高校生の頃に仏教を勉強していた時期があり、『正法眼蔵』『正法眼蔵随聞記』なども
読んでいましたので一度は訪れたいと思っていた聖地です。

佛の教えが経典としてまとめられ、教理宗派として体系づけられ分派する一方、
言葉では伝えきれないものを坐禅という修行によって教えに近づこうとする禅宗。
もっとも、道元には求めるための方法論としての禅があるのであって、
宗派宗教として唯一無二と言っているのではありません。

言葉で伝えきれない佛の教えを体得する禅を勧めながら、道元は言葉を非常に厳密につかい大切にしています。
そうゆうところも、高校生の私には惹かれるところでありました。

山門を奥に見ながら、祠堂殿に入りお坊さんによる参拝の案内を伺います。
永平寺は修行の道場ですから、豪華な絵画や仏像などはありません。
マナーを守り修行僧を写真に撮ったりしないでね、って。

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頂戴したパンフレットを手に、廊下つたいに進みます。
たいてのお寺がそうですが、永平寺も階段を昇り降りしますから、
お歳をめした方、足の不自由な方には大変です。でも車椅子の方もいらしていました。嬉しいですね。

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一般の方の坐禅研修に使われる傘松閣には天井に220枚の花鳥画が嵌めこまれています。
僧堂は文字通り修行僧が坐禅食事就寝を行う生活の場。
静かに通るだけで覗いたりカメラを中に向けたりはいたしません。

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道元禅師のお墓である承陽殿は石段を登った承陽門の奥にあります。

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法要が営まれる法堂は、七堂伽藍の中でも一番山高いところに位置しています。
毎朝の読経が終わった後に法堂を出た僧侶たちは、自然と永平寺全体を見渡すことになります。
さぞ心気持よく、身の引き締まる思いだろうと、私も法堂の前で見下ろしてみます。

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法堂の下は仏殿。永平寺の御本尊釈迦牟尼仏が祀られています。

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仏殿の隣には、庫院があり食事を作っています。廊下には巨大なすりこぎが飾られています。
私も料理が上手になるようになんて思いながら、触ってみました。

実は、庫院は永平寺にとってもとても大切な場所です。
永平寺全体が修行の場所ですから、そこに軽重上下はありませんが、
私には、やはり庫院が重要に思えます。

道元禅師が著した書物の中に『典座教訓』というのがあります。
典座というのはお寺で食事の係をする人の事です。仏教の修行者が食事の事をわざわざ教えとして
書き記しているのは非常に珍しいのですが、これには道元の強烈な経験がもとになっています。

道元禅師は14才の時に比叡山で出家し、貞応2年(1223)24歳の時に宋に渡ります。4月、慶元(寧波)に着きますが、寧波は現浙江省東部の港町で、遺唐使の上陸港として知られ、宋・元時代は日本の禅僧が多く上陸した地です。道元の感慨いかばかりかと想像が出来ます。逸る心に早く現地の僧侶と話がしたいと思ったことでしょう。

その道元が乗っている船に、歳老いた典座が食材の買い付けにやってきます。
その典座に道元は、「どうして坐禅や経典の勉強をしないで食事係なんてやっているの」と聞きます。
すると、典座は「外国の好人、未だ弁道(仏道)を了得せず、未だ文字を知得せざること在り」 《 典座教訓 》
と答えます。「なんにも分かっちゃないね」と笑ったのです。

はっとした道元は、すぐに非礼を侘び、「修行ってなんですか、文字を知るってなんですか」と訊ね、
「お寺には貴方の代わりの人は沢山いるでしょうから、是非泊まっていってお話を聞かせてください。」と相手の都合も考えずに言います。
まぁ、初めての宋で僧侶に会い、「分かっていないね」と言われたんですから、気持ちはわからないでもないですが、道元も若いですね。
典座は「年老いての再修行です。どうして自分の勤めを他人に代わってもらうことができましょうか」と言って船を降りてゆきます。

日本にあって仏教の中心地比叡山や建仁寺で学び、自信を持っていたでもあろう道元が、
いきなり「分かっていない」と冷水をかけられたのです。

後に上陸し、天童山で修行をしている道元にこの典座が訪ねてきて、
道元は教えを受けることになります。
言葉とはなにか、修行とはなにか… 『弁道話』というお話なのですが、
ここでは深入りしないこととしましょう。

かくして、道元は修行は坐禅をくむことばかりではなく、日常の全て、
食事、洗濯、入浴はもちろん、寝起きも修行であり、自分が行う全てに修行がある以上、
他の者に代わることは出来ない。という事を学んでゆくのです。

道元の教えにはもう一つ『赴粥飯法』というのもあります。こちらは食事の作法を説いたもの。
器は両手で持つとか、食事中はおしゃべりをしないとか、一緒に食べる人とあわせて食べるとか…
とても合理的な教えが書かれています。

いかがです?
禅宗と聞くと、坐禅を組んだり禅問答など難しい話が出てきたりと
とっつき憎い感じが強いかもしれませんが、日々の生活の全てが修行と聞くと
なんだか、親しみやすくありませんか?

しかも、生真面目に根を詰めて修行をしていれば“もっと気楽におやりなさい”と言いますし、
ちょっと気が抜けてくると“もう少し気合を入れてめりはりつけて”と指導します。
なんだか、普段の生活そのままですよね。

そんな教えの出発点が、『典座教訓』であり庫院なのです。

高校生の頃に道元を読み、七百数十年の時を超えて活き活きと伝わる話に
感動を得た私は、今ようやく永平寺の庫院にやってきました。
高校生の頃と同じ静かな感慨と教えが生きていることに感謝しましょう。

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山門は永平寺最古の建物です。両脇には四天王が祀られ、「吉祥の額」が掲げられています。

瑠璃聖宝閣で道元禅師直筆の書を見たり、永平寺の寺領を認めた信長の「天下布武」の印を見て
外に出ます。

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寂光苑をお散歩し、蓮の花が咲いていたので写真に撮り、鐘をついてみました。
何を祈ることもないのですが、今あることを感謝します。

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お土産物を買うこともないので、永平寺の瓦修繕に寄付をして記念品をいただきました。
仏法僧。僧侶の皆さんが修行に専念出来ることを願います。

私の修行はどうなるのでしょうね。

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テーマ : 国内旅行
ジャンル : 旅行

コメント

Secret

杣人さん、こんにちは。

このたび、また改めて、杣人さんが、多方面に深い見識をお持ちのことに驚いています。
永平寺のこと、いわゆる観光案内としてではなく、しみじみとうかがうことが出来ました。
ありがとうございます。
『典座教訓』『弁道話』、今まで存じませんでしたが、読んでみたいなあと思いました。
難しいでしょうか。

ありがとうございます

ここ様、永平寺話へのコメント、心より御礼申し上げます。
『典座教訓』『弁道話』の話は、高校生の頃にNHKの「宗教の時間」で
増谷文雄先生を知ったことに始まります。
『正法眼蔵』に比べると数は少ないかもしれませんが、解説のついた本もあるかと思います。

福井は白川静先生の生誕の地でもあります。
行って初めて気がついたのですが、図書館にコーナーもあるようで、
次回行くことがあったら訪ねてみようかと思っています。

また、お立ち寄りください。

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