プロフィール

杣人・somabito

Author:杣人・somabito
Nuages・・・雲のようにふんわりとしています

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最近の記事
最近のコメント
カテゴリー
リンク
ブログランキング

FC2ブログランキング

人気のあれこれ!
月別アーカイブ
最近のトラックバック

『反射』と『墜落』

お元気ですか?

ディック・フランシスの『反射』と東直己の『墜落』を読みました。
どちらもハードボイルド、タイトルは2文字の漢字です。

ディック・フランシスは菊池光氏の邦訳で漢字2文字のタイトルというのが決まり。
硬質でキメの細かな訳を読みながら、イギリスの湿った空気を感じられ
文章のリズムも心地良いもの。

ディック・フランシスがジョッキーから作家になり、その作品に競馬の世界を舞台にしたものが
多いのは以前も書いたが、今回はそれに加えて写真の話も多く出てくる。
印画紙や乳剤、現像の手順なんかも細かく描写されていて写真好きな人が
ふむふむと頷きながら読む姿が浮かんでくる。
まぁ、ちょっと説明が多すぎる感じはあったが、
ディック・フランシス自身は写真は好きだったのだろうか?
それとも、取材で得た知識を盛り込んでいるうちに熱が入ったのだろうか?

どちらにしろ、登場人物がきちんと役割をになっていて、無駄が無く安心して読める。
(意地悪く言えば、手慣れた感じとも言えるのだが)

一方、今年の私の収穫の筆頭に位置するのが東直己との出会い。
その東直己はススキノを舞台にしたエッセーから読み始めたのだが、
「俺」シリーズ、「榊原建造」シリーズ、「畝原浩一」シリーズといくつかの主人公を使い分けながら
東ワールドを展開している。

今回読んだ『墜落』は1999年の『待っていた女』から続く私立探偵「畝原浩一」シリーズの
5作目にあたり、一作目から登場している姉川と結婚しお互いの娘と養子とした女子との
5人家族になったのが面白い。
シリーズ物の面白さには、こうした登場人物が作品の進行とともに変化してゆく点もあり、
私は一作目の『待っていた女・渇き』『流れる砂』と読んだ後、
4作目の『熾火』を読んでしまったので、すでに手元にあった『墜落』は読むのを止め
3作目の『悲鳴』を入手し読んで一旦流れを直してから『墜落』を読んだ。
頭の整理、個人的満足といったレベルのものかもしれないが、良かったと思っている。

東直己の作品は、道議会議員の利権、北海道警察の汚職や組織的隠蔽、
それに絡む暴力団の組織犯罪とまるで悪の巣窟の様子を呈する北海道だが、
それにも増して、社会的問題を織り込んでいて、特にこの「畝原」シリーズではそれが色濃い。

いかがわしいカルト宗教教団だったり、臓器売買に絡む人身売買だったりと
どこかのニュースで記憶にあるような事件がストーリーの中に織り込まれている。

今回の『墜落』では、老人や若者といった年齢層を舞台にしながら無機質な関係を続ける
集団の在り方を浮き彫りにし、それが社会のシステムの中から生まれてきていることを
テーマにしている。

それぞれの集団に生まれてくる「悪」が実は社会システムにも原因の一端があるという。

だからということではないが、東直己の書く主人公「畝原浩一」の人を見る目は優しい。

家族との夕食の席、図らずもタガログ語の話になり、過去にかかわりのあったフィリピン人の
犯罪者を語る時にも、どこか懐かしさが滲んでいる。
犯罪に走る若者グループの暴力に接しても、同様の慈しみがあり、
それが、東作品の救いにもなっいる。

さて、今回の『墜落』は仕掛けにロス・マクドナルド『魔のプール』があり、
作者もそのことを話の中で明かしているのだが、
仕掛けは意外に大胆に施してあり、読み終わると東氏の術中にはまっていたことに気が付き、
苦笑いをしてしまう。

アメリカの正統派ハードボイルドの流れであるロス・マクドナルド。
東氏の作品を読みながら、一緒に読み比べてみるのも面白い。

墜落 (ハルキ文庫)墜落 (ハルキ文庫)
(2009/04)
東 直己

商品詳細を見る






スポンサーサイト

テーマ : 読書メモ
ジャンル : 本・雑誌

コメント

Secret

杣人のNuages

ブログ内検索
 RSSフィード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

FC2カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ホテル探しに!
クリックをお願いします!
Google