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杣人・somabito

Author:杣人・somabito
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『水辺にて』

お元気ですか?

梨木香歩さんの『水辺にて on the water/off the water』を読み終わりました。
実は、『沼地のある森を抜けて』を読む前に一度読み始めていたのですが、
すぐに読むのを止めていたのです。

『水辺にて』の第一章、「風の境界」の一行目はこんな書き出しではじまります。

水辺の遊びに、こんなにも心惹かれてしまうのは、これは絶対、アーサー・ランサム
のせいだ―長いこと、そう思い続けてきた。


あぁ、またか。梨木さんはどうしてこう私の記憶を刺激するのだろう。
梨木さんの言葉や文章に刺激をうけて、私の中に怒涛のように溢れる映像の数々。
そのパワーに圧倒されて私は本を読み進めることが出来ないくらいです。

梨木さんは森の空気に過呼吸になりますが、
私は浮かぶ映像の波に息を飲んでしまいます。



少年の頃、北海道の短い夏の時間が止まったような空気の中で、
太陽が照りつけ眩しいほどに輝く港。
北洋船団が大漁旗を掲げて誇らしげに並ぶ漁港の、
その脇に申し訳程度に作られた、海洋少年団のヨットハーバー。
いや、子供たちには十分に誇らしいその港は、昼の本来なら静かな港を
賑やかなものにしている。

整列をつくって、組に別れ手旗信号の練習。
白いセーラー服。
函館山を回りこむようにして入港しようとしているのは、海上自衛隊の船。
潜水艦も見える。

今でもはっきりと、フラッシュバックのように蘇る風景。
私は、函館山の中腹に建つ家の二階から双眼鏡で飽かずに見続けている。
なぜ、私は飽きもせずさっきからこうしているんだろう。


梨木さんの文章は、丁寧な言葉がモザイク画のタイルのように一つ一つ選ばれて配置され、
その一つ一つを指先でなぞるように楽しむ。
でも、指先に伝わるタイルのもつ冷たさを追っていると全体の絵を見失いがちになるので、
時々、読み戻りながら関係性を確認して安心を得る。

アーサー・ランサム、ケネス・グレーアム、ミルンにソロー。
織り糸は美しい。

それにしても、梨木さんは境界が好きだ。
水面は私たちが身近に感じられる境界の一つ。
英国児童文学ならば『水の子』を思い出す。
日本ならば、浦島伝説を見れば、それが生と死との境界でもあることがわかる。


数年前、私たちは釧路湿原にいた。
パートナーさんは長年勤めた会社を辞め時間が自由になっていたので、
私も二週間の休みをとって、北海道を周遊していたのだ。

釧路湿原をカヌーで進みながら、聞こえてく鹿や鳥の鳴き声に
野生の世界を間近に感じながらもカヌーに乗っている私たち
手を伸ばせば届く自然だが、厳然とある境界。

境界は自然だけではない。
私たちの時間も現実のもとのまるっきり違ったかたちでそこに存在した。
これまでの生活や仕事とこれから起こるであろう変化を予感しながら、
私たちは北海道旅行を境界と位置付けていたかもしれない。


境界は物語の始まりである。
異質な物が接し交わるところ。
私たちはどれほどの境界と出会うのであろう。



梨木さんが、湖水地方を車で走りながら聞いたという、
ロッホ・ローモンドを…

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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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