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杣人・somabito

Author:杣人・somabito
Nuages・・・雲のようにふんわりとしています

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チーズの缶詰

お元気ですか?

子供の頃にお散歩をしながらチーズを思い浮かべていました。
そんな食いしん坊ですが、保存食というものに感心があるからでもあります。
今も、チーズはもちろん、なれ鮨や漬物、生ハムやオイル漬けなど
食べ物を保存するために人間がどうゆう加工をしてきたかというのは興味深いですね。
食材の特徴、その土地の気候風土、歴史・・・様々な事が食品から見えてきます。

缶詰はナポレオンがヨーロッパ全土を駆けまわっていた時に兵士の食料を栄養価を損なわないように
持ち運ぶため、報奨金を出して研究させ誕生しました。
アメリカの南北戦争で有用性が着目され開発が進みます。
日本では明治時代に水産物の缶詰が重要な輸出産品になり、日本近代化に貢献します。
そして大正12年の関東大震災で災害時に役立つ保存食として注目されます。

近代の工業化と食品が結びついた素晴らしい結果が保存食としての缶詰の誕生と進化だったのです。

では、その缶詰とチーズの関係はどうなのでしょうか?

通常フレッシュなチーズは紙に包まれたりラップやプラスチックの容器に入れられて売られています。
熱処理をしたプロセスチーズはやはり綺麗なパッケージに入って並んでいます。
日本ではあまり馴染みがありませんが、アメリカではスプレー缶のような容器に入って
スイッチを押すとニュルニュルって出てくるチーズ缶なんかもありますね。

カマンベールチーズやウオッシュタイプのチーズがアルミの缶に入れられているものもあります。
四角い紙のパッケージの中に丸いアルミの缶がありプルトップの蓋を開けると中にチーズが入って
いるのです。もちろん、フレッシュチーズですから缶詰のように熱処理をしている訳ではありません。
缶はあくまでパッケージとしての役目です。
輸送の便や匂いが移らないなどのメリットがあるのでしょうね。

私が子供の頃、頂き物で雪印のギフトセットがありました。
どんなセットだったのか内容は忘れましたが、その中にプロセスチーズの缶詰がありました。
バターの缶詰と同じように丸い缶に入って丁寧に蓋までついています。
蓋を取ってしまえば普通の缶詰。後にプルトップになりましたが、子供の頃は缶切りで切り開けるのです。
外蓋がありますから、缶の上蓋の巻き締めした所はのこしておかなければなりません。
昔ながらの缶切りで上蓋の内側をキコキコ切り開けていきます。

私はこれがどうも苦手でした。悲しくなるのです。
ちょっと説明し難いのですが、缶切りでキコキコやるたびに缶切りの刃にチーズがわずかばかり
ついてきます。それが悲しい。
鮭の缶詰にしろアスパラの缶詰にしろ調理液に浸って缶詰の中に主役が収まっています。
ですから缶切りが内容物に触れるとしてもそれほど気になりません。
でも、プロセスチーズの缶詰は缶の中に隙間なく詰められ、缶切りの刃はチーズに直接当たるのです。
衛生面が気になっているのではありません。
キコキコ動く刃について出たり入ったりするチーズ。すでにそれは消しゴムカスのような姿になっていて
それに哀れを感じてしまうのです。
食べ物として生まれ、皆と一緒に缶に詰められたのに、たまたま端っこに位置したため缶切りの餌食に
なり、口に運ばれること無く生涯を終えなければならない・・・。不憫です。
開けられた上蓋の縁、ギザギザになった所にもチーズのカスがついています。こちらも不憫。

私はなんとも悲しい気持ちで爪楊枝を持ち、缶切りと上蓋についた僅かのチーズを取り口に入れます。
ちょっと金属臭のついたそのチーズ。今でも記憶に残っています。

では、缶に生き残ったチーズは美味しいのかというと、こちらもそうとは言えない代物。
缶入りプロセスチーズの悲哀をいやがうえにも増しています。

まず、チーズを缶から出すことができません。びっしり詰まっているのですから削り出すしか方法が無い
のです。もしかしたら温めるとか何か方法があったのかも知れませんが、当時の私には思いつきません。
小さいナイフやスプーンで削り出すのですからボロボロになってしまうのも哀れです。
見た目がこうですから、お味の方に期待すべくもなく、パンにのせようにもぽろぽろこぼれ落ちますから、
直接食べるのですが口の中でもはもはして石鹸を噛んだらかくやとばかりのお味です。

そんなチーズの缶詰。ギフトセットの頂きものだったから家にありましたが、使われる事はありません。
お中元の時季が来て、お歳暮の時季が来て、またお中元の時季がやってきて・・・。
チーズの缶詰だけが取り残されてたまっていきます。
その取り残された姿も悲しく哀れなのです。

私が就職して一人暮らしをしていた頃、栄養の足しになればと家にあったチーズ缶を母が送ってきたことが
ありました。
懐かしさに缶を開けてスプーンで削り出して食べましたがやはり悲しい味に思わず涙が滲んできました。
子供の頃から食べ慣れた悲しい味。今もあの悲しさは忘れられない。

今、雪印のホームページを見ても当時のプロセスチーズの缶詰は売っていません。
綺麗なパッケージで使いやすくスライスされたり小さくカットされたものばかりです。
プロセスチーズの缶詰はもともとはスイスの兵士が戦場に持っていかれるように開発されたものだったと
記憶しています。まさか悲しい味を食べながら臥薪嘗胆で戦えという事ではないでしょうが、
どうしてあんなに悲しい味だったのか、私には未だに謎です。

多分もう高齢になっているでしょうが、当時の開発や製造責任者の方にお話を伺いたい。
そして、是非もう一度あのプロセスチーズの缶詰を食べたい。できれば、缶切りで開ける形で。
開発者の方に美味しい食べ方を教えて頂きながら食べられる事が出来たら、
それは、私のチーズへのノスタルジーを超えて、感謝の食事へと昇華していきます。

日本の近代化に酪農は欠かせない事業でした。
牛乳はもちろん、乳製品の開発と家庭での利用促進は社会的に重要な事業だったのです。
保存も出来る乳製品としてのチーズ。それが近代化の重要産品である缶詰と合体したのが
プロセスチーズの缶詰でした。
プロセスチーズの缶詰はそんな日本の近代化を夢見る食品だったのです。

プロセスチーズの缶詰を、苦笑いし、泣きながらもう一度食べてみたいと思っています。





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