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杣人・somabito

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『敵手』

お元気ですか?

2月から苦しんできた花粉症に少し改善の兆し。
先週病院に行ってから症状が出ず、薬を飲むのも忘れるくらい。
今週病院に行った際にお医者さんにそう話したら、
「症状が出ないようなら、今日注射をしてそれでいいよ。」と先生が言う。
「ようやく卒業ですね。」と言いながら腕まくりをすると看護婦さんも
「7回も注射で痛い思いしたんですものね」と笑いながら針を刺す。
また重い症状が出るようだったら病院に行くが、しばらくはお休み。嬉しい。


ディック・フランシスの『敵手』を読了。
彼の作品の中では珍しく4回にわたって登場するシッド・ハレーという探偵が主人公の作品。
原題はCome to Grief でこれは、災難にあうという意味だ。

ストーリーは
競走馬の足が切断されるという事件が起こり、シッド・ハレーが調査の依頼を受けるが
シッドのジョッキー時代の好敵手でもあり友人でもあったエリス・クイントが犯人として浮上する。
しかし、テレビ番組のタレントで人気のあるエリスを馬主や市民は疑おうともせず、
逆に新聞社のシッドに対する誹謗キャンペーンが張られてゆく。

動物への虐待、死傷などは現実にも時々ニュースになり心が重苦しくなる不気味さを感じる。
物言えぬ動物相手という卑劣な行為であり、人間の歪んだ心を想像させるからだろう。
だから、この作品は読み始めたときから重い気持ちで読み続けなければならない。
シッドが事件の依頼を受けた白血病で骨髄移植を待つ少女との人間らしい交流、身をもてあまし
悪ぶることで自分の存在を確認している少年との交流。そんな痛みのともなう人間関係が
せめてもの救いのような作品。

では『敵手』が醜い下品な作品なのかというとそんなことはない。
シッドの活躍というより、苦悩や恐れを一緒に感じる事で優れた作品となっている。

長年の友人が残虐な犯人であると割り出した苦しみ。
自分の残された右手も義手の左手同様敵に痛めつけられて失うのではないかという恐怖。
そういった心の波そのものもシッドにとっては自分を責める材料になる。
頭脳明晰で度胸も行動力もある主人公が自分の弱みを見つめながら苦悩する姿に親近感を持ち、
作品の人気の有り様を知る。

ディック・フランシスの作品では車が登場人物の性格を表してもいるのだが、
今回シッドが乗るのはベンツ。信頼性、安全、スピードそうゆうものを表現しているが、
作中でベンツが盗まれタイヤやバッテリーなどあらゆるものが持ち去られ壊される。
こうゆうのもシッドが犯人と対峙することで心身ともに傷ついているのを伝えている。


さて、ちょっと分かり難いのだが、
犯人が馬の足を切断する際に、馬の好む混合飼料を用いておとなしくさせ、
馬丁が使うエプロンをして馬を安心させたのはわかったが、そんなことで馬は
足を切断された時に騒がないものなのだろうか?
何か読み落としているのかもしれないが、疑問が残った。

もう一つ。
作品のラスト。大詰めのところでノッティング・ヒルという地名が出てくる。
ここでシッドは書店を眺めながら時間をつぶし日本人観光客を相手に写真を撮ったりする。
おや?『ノッティングヒルの恋人』を意識したサービス精神なのかな?と思う。
映画はヒュー・グラントとジュリア・ロバーツが共演したラブ・ストーリーで
私も好きな作品なのだが、実は映画は1999年の作品で『敵手』のほうが1995年でわずかに早い。
早とちりするところだった。

年代にからんでもう一つ。
ディック・フランシスが最初の作品『本命』を発表したのが1962年。
電話ボックスを探して歩いたりしていたのが、『敵手』では携帯電話を使い、
しかもアナログ通信を盗聴されデジタルの携帯電話に買い換えたりする。
パソコンも登場し、モデムで犯人のパソコンのデータを自分のパソコンに送ったりもする。
こうした話題を読み比べて楽しめるのも、長い年月書き続けている作品群だからだろう。

さて、次はシッド・ハレーが登場する最後の作品である『再起』を読むことにしよう。


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(1996/10)
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