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杣人・somabito

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『あいまいな渚~忘れられた道化者の物語~』

お元気ですか?

「はままつ演劇人形劇フェスティバル2012」の演劇公演、座☆がくらくによる「あいまいな渚~忘れられた道化者の物語~」を観てきました。
浜松市文化振興財団さんから貴方のブログで公演を紹介してください・・・という企画に応募しパスポートを頂いたからです。財団さんからチケットを頂いた際、公演中の写真撮影は禁止と言われていましたので、文章でお芝居の様子をお伝えすることになるのですが、これがなかなか難しい。例えば歌舞伎や何回も再演されているような有名な芝居はストーリーが分かっていますから役者の芝居や演出、舞台美術などに注目し評していけば、芝居を観ていない人にでも伝える事ができます。でも、新作、初公演などをストーリーと芝居両方を追いながら評しこれをお伝えするというのは、なかなかエネルギーが要りますね。

開演前、私の手元にあったのはパンフレットだけです。

nagisa1_convert_20121028225725.jpg  nagisa2_convert_20121028225829.jpg

近未来SFのような内容なのでしょうか?

舞台は“渚”。4人の女性が無言で遊んでいます。大小の透明なペットボトルを使いまるで水をすくうようにして遊ぶ姿。積み木のように置かれたペットボトルを壊す動き、小さな諍いの後ペットボトルを楽器のように使い音が生まれます。
無言芝居にいきなり引き込まれる観客。積み木を壊し音を使った動きは変化と誕生を意図しているのでしょうか。いきなりテーマを暗示しながら高い緊張感のある空間が続きます。

語り部による背景紹介・・・

島の村では女が女だけで女を産むように進化し種を保存している。満月の近づくある日、女たちは変化を感じ渚に集まり時を待つ。そこへ流れ着く“男”。本来なら生命を紡ぐはずの時に異物としての男が流れ着く事で安定した世界に波がたち動いてゆきます。

非常によく出来た舞台でした。作・演出が佐藤剛史さんというがくらく座の中心となる方の台本ですが、まずテーマが良いですね。生命の進化、誕生と変化といったものを潮の満ち引きになぞらえ“渚”という場で表現する試みは分かりやすく成功しています。女性が女性を生むという安定した世界に“男”という異物が現れた時、その変化をどう理解し扱うのか。

舞台では男の存在理由を探ります。ここは少しコミカルな演出。ボクシング、腕相撲、重量挙げと力としての男や料理、裁縫、子守りといった繊細さとしての男を描き男の意味を問います。密度の濃い舞台の中で息抜きの場面ですが、メリハリがわずかばかり弱かったかもしれません。コミカルな場面を演じるのって難しいですからね。それでも私の後ろの席からは笑い声が聞こえていました。女性が女性を生むことを繰り返して来た結果寿命が短くなっているといった話や、女が男とじゃれ遊ぶシーンなど男の存在意味を描くところはこの芝居の緻密で上質な部分を感じさせます。また、“男”の存在を受け入れるということが女だけでつなげてきた生を殺すことになるというのはドキッとする台本です。(すいません正確なセリフをお伝えできなくて)
時間軸を戻し、いおりという女性が男を生み村の女が親子とも排除した過去、男が見つけたポッドに古い本が入っていて過去の事情が書かれているらしい事。このポッドは明らかにパンドラの匣で男の存在はパンドラを開けることを担っているのでしょう。そのような挿話が無駄なく物語を埋めてゆきます。

舞台終盤、物語は核心に進んでゆきます。

どのような理由により女が女を生むようになったのかは分かりません。問題はそこにあるのではなく、男という異物が在る時、それをどう扱うかです。排除し安定した世界を維持するのか、異物の存在を受け入れるのか・・・。
ラスト、“男”の存在による変化(死の誕生も意味するが)を不安を持ちながらも受け入れる。“男”は「男は昔からいたんだ」と言って存在を認め受け入れることによる未来へのつながりを示し終わります。ラストのシーンはとても重要ですが芝居のリズムとして少し唐突に終わった感じがし、おや?っていう感じが残りましたね。ちょっと残念かな。

芝居の台本としてはよく組み立てられていますし、立体的に作られた舞台は機能的です。透けて見える幕で舞台を仕切り空間を分けた演出も一般的ですが効果を出しています。本、演出ともよく考えられていると思います。
役者さんについてはみなさん上手です。特にナミ役の鈴木綾乃さん(だと思うのですが、白いワンピースの人)は発声がとても良かったですね。低い静かな声も舞台によく通っていました。ナギ役の(柿田美紅さん)、独特のキャラクターを全面に出しているのですが、表情の作り方が激しくアニメのキャラクターを思わせるものがあります。意図的にしているのでしょうがちょっと過剰な感じを受けました。
“男”を演じた堀田美咲さん、初舞台だそうですが頑張っていましたね。演出的にこの“男”の姿は重要でした。女性が演じていたわけですが、子供のような中性的な要素を表現しています。社会的に作れられた男のイメージ(ボクシングや腕相撲、料理や裁縫で男を探ったように)ではなく純粋に生命としての女に対する“男”という部分を表すのに良かったと思います。

1時間15分ほどの芝居。場面転換、音楽の使い方もよく高い質の緊張感が最後まで維持された良い芝居でした。
劇場はほぼ満席。年齢層は20代から30代と少し若めでしょうか。息を凝らして舞台に集中している空気が劇場に満ち、舞台の緊張感と相まって芝居ならではの空気を作っていました。演劇を見に劇場に足を運ぶ醍醐味を久しぶりに感じられた時間でした。

今回の座☆がくらく公演。がくらく座さんのサイトがあります。今回の「あいまいな渚」の稽古風景も【稽古風景】というブログで紹介されていますので、是非御覧ください。


追記)

パートナーさんに「昨日のお芝居どう思った?」と聞きます。
「役者さんの滑舌が良く会話もちゃんと掛け合いになっていたね。」
「舞台はシンプルな造りでごちゃごちゃしてなくてよかったね。」
「他には?」
「音楽の使い方も面白かったね。」

ん?なかなか言いますね。ではまた。
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テーマ : 演劇・劇団
ジャンル : 学問・文化・芸術

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