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杣人・somabito

Author:杣人・somabito
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『青い星と私のトイレット』

お元気ですか?

はままつ演劇・人形劇フェスティバル2012参加作品、MUNA-POCKET COFFEEHOUSEの『青い星と、私のトイレット』を観てきました。今日は生憎の雨で冷たく強い風も吹く天気ですが、会場は幅広い年齢層の方々でいっぱいです。劇団員さんのお友達の方も多いのでしょう。始まる前はざわざわ話声も多いようですし、お芝居の最中は笑い声が出ています。芝居を見に来ることを楽しんでいる様子が客席から伝わってきます。舞台と客席が近いという言い方ができるかもしれません。私のように浜松の演劇環境にまだ疎くそれぞれの劇団の特色を知らない人間にとっては観客の様子も興味のあるところです。

以前訪れた徳島には江戸時代初期から村ごとに人形浄瑠璃を演じる小屋があり農民が守り演じて来ていました。浜松でも佐久間に浦河歌舞伎があり、雄踏にも「万人講」という市民歌舞伎を支える団体があります。そうゆう市民がご近所の人が演じる芝居や人形劇を楽しむ土壌風土が浜松にあるとしたら、自ずと観客の姿に映し出されるはずですし、フォークロア的意味合いが強くなるのかも知れません。
東京で歌舞伎や商業演劇、地域の小さな小屋での芝居と観てきた私には今回のフェスティバルの参加作品を観ることにより浜松の演劇環境を知るのはとても楽しい事です。今日のMUNA-POCKET COFFEEHOUSEも学生さんやお勤めをしている人などが集まって活動している団体です。そういった市民が演じる演劇。果たしてどんなお芝居を見せてくれるのでしょう。


舞台はまだ客席の照明が落ちないうちに左右の通路から役者が入ってきます。黒いスラックスに白いブラウス。半円形に並べられた丸いスチールの椅子に座ります。舞台中央には二人の横たわる人・・・。
横たわる人の傍には立っている男女二人。男が“うんこ”という言葉を言い出せないでいると女が「はっきり言いなさいよ」ときつく言います。配られたパンフレットには「トイレ。流れるウン◯のうた」が記載されています。劇の作者永井宏明氏による作詞。芝居の特色の一つに反社会的なこと、非現実的なことも舞台に上げ観客に見せることができるというのがあります。このお芝居の“うんこ”もそうなのでしょうか?ちょっとアングラ的要素のある芝居なのでしょうか?興味をもちながら目を凝らしていきます。

お芝居は鈴木千恵子(名前は私のあて字です)の誕生から亡くなるまでの生涯を描いていますが、それは全編観て分かること。千恵子が入所している施設の副園長、千恵子、千恵子の両親といった登場人物を中心に十数人の役者が時間、状況を変えながら演じていきます。お腹の中にいる千恵子に話しかける両親、青い星を見に海へ行きたいとせがむ千恵子に微笑む両親、海にさらわれながら千恵子の無事を願う両親・・・幾つものシーンが何人もの役者で重層的に演じられ、観客は次第に千恵子の生涯を知ることになります。
とても考えられた演劇的手法を活かした舞台脚本です。

そして、興味深かったのはその場面ごとの節でトイレが流される音が使われるのですが、役者の中で唯一水玉のワンピースを来た女性がスキップのように飛び跳ねながら踊りやはりチノパンのような黒くないズボンを履いた男が合わせて一緒に回り踊るのです。舞台も終わり頃になって男が鈴木さんと女を呼びますし女は副園長と男を呼びますが、それまではこの二人が何なのか分かりません。でも、二人は“うんこ”です。二人は、千恵子と副園長の分身である“うんこ”なのです。
人は食べ生活し記憶を紡ぎながらその折々に吸収出来なかったもの受け入れられなかったもの、もしくは自分の一部にならなかったもののカスを“うんこ”として流しています。それは現実的で悲し存在なのかもしれません。でもその“うんこ”を流す事ができなければ、却って押しつぶされてしまいます。記憶の一部、哀しみの一部を流すことで人は生きて行く事ができるのです。

「幸せは遠くにあるようで近くにあるの。近くにあるようで遠くにあるの。」と千恵子は言います。
「青い星は綺麗だけど、時々人を悲しませる。」と父は言います。

千恵子のポケットには大切に持っていた宮沢賢治のポスターが入っています。
副園長は千恵子を看取る時に号泣しながら賢治の「星めぐりの歌」を歌います。

生命の讃歌、震災で亡くなられた東北地方の方々への哀悼、記憶“うんこ”への慈しみ。色々な事を思わせる素晴らしい芝居です。

残念ながら役者一人一人の演技力は決して高くありません。しかし協調して舞台を作っているのが感じられて感動的でもあります。少しゆるくなったところはありましたが、芝居の構成テンポも良く引き込み飽きさせません。全体を通してみればまずまずです。
舞台での芝居だからできる事を積極的に取り入れたとても意欲的作品でした。MUNA-POCKET COFFEEHOUSEが今後どうゆうお芝居を作ってゆくのか非常に楽しみですね。

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さて、はままつ演劇・人形劇フェスティバル2012。
10月21日のNPO法人シニア劇団浪漫座『ゴッホに恋して』
10月28日の座☆がくらく『あいまいな渚~忘れられた道化の物語~』
11月4日の絡繰機械'sの『エデッパの靴』
そして、今回11月11日のMUNA-POCKET COFFEEHOUSEの『青い星と、私のトイレット』 と四劇団四作品を観てきました。どの劇団も非常に熱のある真面目な芝居を展開しているのはもちろんですが、それぞれがはっきりした方向性を感じられる劇団だということ。浜松の芝居に層の厚さと広がりを感じられます。これはブログの初めに書いたように、地域で市民歌舞伎を育ててきた風土と関係があるのかも知れません。この文化風土は財産ですから大切にしなければなりませんね。

フェスティバルのお芝居はまだまだ続きます。
12月1日、2日には四高校による選抜公演。12月8日には劇団からっかぜの『ら抜きの殺意』、12月9日のM-planetによる『時間魔人』と予定されています。
私も劇団員の皆さんに負けないよう真剣勝負で舞台を観せていただき、感想を紹介したいと思っています。
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テーマ : 演劇・劇団
ジャンル : 学問・文化・芸術

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