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杣人・somabito

Author:杣人・somabito
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読書で繋がる

お元気ですか?

吉村昭氏の『花渡る海』という作品を読みました。
江戸時代末期、広島出身の久蔵は大阪から新酒を江戸に運ぶ船乗りとして千石船に乗りますが荒天のため難破し仲間とともにカムチャッカ半島に漂着します。極寒の中同じ船の仲間は次々に死亡してゆきますが、生き残った数名とともにロシア人に救われます。しかし日本にすぐに帰国出来るのかというとそうゆう時代ではありません。久蔵は禅寺で修行していたことが幸いしロシア語の読み書きを学んでいきますが、日本の事情を知りたいロシアは読み書きが出来る日本人を通訳としてロシアに留める政策をとっていて妻帯させロシア正教に改宗させようとします。海外に渡っただけでも日本に帰れば罰せられるのに異国の宗教に改宗すれば死罪になります。日本に帰る道が閉ざされてしまうのです。一度は帰国のチャンスがめぐってきた久蔵ですが、雪による凍傷がもとで足が怪我をしていて乗船がかないません。久蔵には過酷なオホーツクの生活が続きます。
史実を丁寧に掘り起こしながら書かれる吉村昭氏の作品は歴史のもつ力強さに満ちて読み進むほどに引き込まれていきます。

時々思いがけず貴重な本に出会うことがあります。読みながら、あっこれは節になる本だなって思えます。今までも読んできた本の中で何冊かそうゆう本に出会い、事実本に導かれるように興味の方向が変わったり考えが大きくまとまってきたりしました。そうゆう本との出会いは財産と言えます。そしてそうゆう本は突然1冊だけ現れるのではなく、同じ時期川の水が淵にあつまるようにして私のまえに集まってきます。それは何故なのか。

淵の入り口は、高城高さんの『函館水上警察』でした。ブログ探偵小説三昧を書かれているsugataさんが紹介してくださった本です。この本の中に「坂の上の対話」という小品があり、明治15年に若い森鴎外が軍医として函館を視察に訪れ、函館在住の医者深瀬洋春という人と会話をするシーンがあります。蝦夷地で種痘の集団接種を行った医者として森鴎外に紹介されています。ここで私は好奇心の針がぐんぐん振れてきます。
さっそくネットで深瀬洋春の名を調べてみると、たしかに安政4年(1857)に幕府にアイヌの人達に種痘の接種を願い出て許され、桑田立斉という人とアイヌの人達に強制接種を行った事がわかりました。しかも、そうゆう天然痘の予防接種の動きは蘭学を学ぶ江戸の医者にも刺激をあたえ、除痘館という施設を作らせ東京大学医学部の礎にもなったというのです。函館の医者の働きが日本の医学を推し進めたと知った私の胸のうちはもう誇らしい気持ちで花が咲いたような喜びに満ちています。

出会いは不思議です。深瀬洋春を少しづつ調べていた私はある時 Book Off の本棚に『花渡る海』と言う本を見つけます。なにげ無く手に取り表紙を見ると風雨に荒れる海と怯える男たちの絵。表4の紹介文には「極寒のシベリアに漂着し、死線をさまようこと三年余り。わが国に初めて西洋式種痘法をもたらしながら・・・」と書かれています。なんという偶然でしょう。 深瀬洋春の業績を知って間もなく日本に初めて種痘を伝えた人の話に巡りあうとは、しかも深瀬洋春がアイヌに種痘接種を行った50年も前の話です。これを読まなくてどうしましょう。

私は常々人の運命ということを考えています。どうしてそのことに興味を持ったのか、そして興味を持っているものがあるとまるで予定されていたように次々と関連したものが集まって私の好奇心を高めて行きます。それらはどうして私の周りに集まってきて私を導いてゆくのでしょう。

高城高さんの『函館水上警察』は紹介されて知った本でしたが私に興味の根が張りだすと吉村昭氏の『花渡る海』が現れました。実はこれに留まっていません。どちらの本にも松浦武四郎という人物が出てきます。蝦夷地調査とアイヌの暮らしを幕府に報告し、その中で倭人によるアイヌの人々への迫害を訴えた人物なのですが、なんと1818年に三重県松坂に生まれた人です。ちょっと頑張れば行ける距離に蝦夷地調査をし北海道と名付けた人物がいます。松浦武四郎記念館はいずれ行く事になるのでしょうね。

好奇心は連鎖します。自分が興味を持ったものを深く知ると同時に広がりをみせまた自分に戻ってきます。本と出会うということはその道標を得るようなものです。時にはその道標が積極的に私たちの前に現れてくれたりもします。そうゆう時、私は素直にその本を手にとり、声を聞き私の進むべき道を教えてもらうことにしたいと思います。


花渡る海 (中公文庫)花渡る海 (中公文庫)
(1988/09)
吉村 昭

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ジャンル : 小説・文学

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