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杣人・somabito

Author:杣人・somabito
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蕎麦屋の出前

お元気ですか?

助手席に乗っているパートナーさんが「わぁ珍しい」と何時になく大きな声を出した。
混んだ道でスピードも出ていないからちらっとパートナーさんの顔の向いている方を見ると、年配の男性が自転車に乗りながらお盆を肩に乗せている。お盆の上には空いた丼やせいろがぎっしり。五六人分の器が乗っている。
確かに懐かしい光景だ。

最近ではバイクの荷台に取り付けた出前機が一般的だろう。緑のカバーのあるものやカバーが無くブリキの岡持ちをそのままぶら下げる形もある。若い修行中の者でも出前機があれば汁物もこぼすこと少なく運ぶことが出来る。
自転車の男性は白髪交じりである。出前のせいか身軽な服装でこの時季少し寒そうでもある。

パートナーさんは飯田橋で勤め始めた頃目にした出前の風景を思い出したのか少し饒舌である。活気のある時代だったから出前も忙しかったであろう。

私が育った家は出前を取ることがほとんど無かった。家にお客さんがある時にも母が料理を出したし、家族だけの時に出前をとるという事は無かったが、一度だけ私が一人で出前を頼んだことがある。
中学生のある時、学校から帰宅すると母が出かけて居なかった。どのような事情だったのかは憶えていないが、きっと予定されたことだったのだろう。テーブルの上に書き置きとお金が置いてある。一瞬なにか自分で作ろうかと思ったが台所が綺麗に片付いている。母の言葉にしたがって出前をとることにした。
町内に古くからある蕎麦屋。電車道路に面した小さいその店は時々入ったこともある店だから名前を言うだけで私の家の所在も通じる。電話してざるそばを頼んだ。

昼ごはんに出前を頼んだのだからその時に学校の用事はなんだったのだろう。出前の電話をかけソファーに座ってテレビのチャンネルをつけた私はたまたま放送していたロックバンドKISSのステージを見ながら寝てしまった。
く~っと寝入った私は玄関の声に目を覚ました。出前が届いたのだ。

出前を頼んでいなかったらきっとそのまま寝入っていたのだろう。非日常の出前とKISSの演奏が渾然となって記憶の中にとどまることになった。

私が一人で頼んだ唯一の出前。
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テーマ : 日記
ジャンル : 日記

コメント

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こんばんは。

素敵なエッセーです。
こんな美しい文章を書ける方、憧れです。

オペラやクラシックに造詣の深い方が、
KISSを取り上げ、なおかつ出前の蕎麦との遠い思い出。
ほんとうにいい随筆でした。
ありがとうございます。

蕎麦も好き

南亭様、こんばんは。スコアを読みながらブルックナーを楽しむお方にお褒めいただくとは嬉しい限りです。
ロックファンという訳ではないのですが、いい曲にジャンルはないと聴いています。
蕎麦の思い出、もう少し続けたくなってきました。

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