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杣人・somabito

Author:杣人・somabito
Nuages・・・雲のようにふんわりとしています

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一年生

お元気ですか?

今日は当地一面の曇り空でこれから雨も降る予報です。自衛隊の練習機がいつものように爆音を響かせていますが、姿を見ることはできません。悩ましい花粉症も今日は穏やかです。

ジェームズ・ヒルトンの『失われた地平線』を読みながら、“あぁ、私の好きなもののほとんどは小学生の頃に用意されていたんだ”とあらためて思います。ジェームズ・ヒルトンと出会ったのは『チップス先生さようなら』の映画が初めてで、ピター・オトゥール主演の1969年のミュージカルです。パブリック・スクールにすっかり憧れたものでした。母に連れられて映画館で観たのですが、『リア王』『エデンの東』『ローマの休日』『チップス先生さようなら』と一生記憶に残る映画を観せてくれた母には感謝しきれないですね。

そんな事を思っていたらある記憶が蘇ってきました。小学1年生の春のことです。入学式からまだ1ヶ月もたっていないある日、母と私は犬の散歩に使うリードを買いに町に出ました。少し前に知内町に暮す親戚から子犬が生まれたからと譲り受けたのです。今は北海道犬と言いますが当時はアイヌ犬と言い、中型で飼い主に従順ですが、勇敢な性質を持ち狩猟犬としても鍛えられる犬です。大工仕事の得意な叔父が庭に犬小屋を作ってくれ、鎖に繋いで飼い始めますが、お散歩用のリードを用意しなければなりません。松風町にあるペットショップに電車に乗って出かけました。今、Googleでみると、家から電車で23分の距離ですが、小学校1年生の私にとって松風町は大繁華街です。お出かけ用に身なりを整え嬉しさに湧き上がる思いを抱えて出かけたのです。

ところが、ペットショップに気に入ったリードがありません。今でもお店のご主人が見せてくれた数本のリードの中に緑色をして鋲を打った革製の素敵な品があったのを憶えています。しかし、その時私はその品の良さを分からず気に入ったリードが無いことにすっかり気分を悪くしてしまったのです。
母は「気に入ったのが無いなら仕方がないね。」と言い店を出ました。一緒に出た私は面白くなく、すっかりむくれてしまい、プンプンしながらずんずん歩いていきます。もうすっかり頭に血がのぼってしまっていました。

ふと気がつくと母がいません。真っ直ぐ歩いていたはずですからたいした距離ではないのですが、立ち止まって見回してみても母の姿は見えません。はぐれてしまったのです。

私は“しまった”と思いました。気に入ったリードが無いことに怒りすっかり我を忘れてしまった事を強く悔いました。情けない話です。
しかし、私は迷子になったとは思いませんでした。道に迷った訳ではないのです。

そうは言うものの小学1年生の私はお財布を持っていません。母をさがしてうろうろするよりも家に帰ろうとすぐ思ったのですが、どうやって帰ったらいいのでしょう。
頭に浮かんで来たのは大森稲荷神社の赤い鳥居でした。松風町には電車線路が分岐する交差点があります。まずそこに出ると赤い鳥居が見えますから、見えるところに出て方向を確認したら電車線路沿いに歩いて帰ろう。そう判断したのです。“しまった”と我に返ってから数秒のことです。

決めたら迷うことはありません。松風町のグリーンベルトのあるところから電車道路に出、交差点まで行くと赤い鳥居が見えました。“私の記憶の通りの風景だ”と思いを強くし電車道路沿いに歩き始めます。

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Google で当時歩いた道をほぼ忠実にトレースしてみました。5㎞、1時間の距離です。松風町の交差点から電車道路沿いに歩いて昭和橋を目指します。一人すたすたと歩いて傍眼を振ることはありません。家に帰り着くこと。これが私の大事なのです。ただ、昭和橋には交番があります。警察に見咎められて声をかけられたらどうしよう。家までパトカーに乗せられて連れ帰られるのは恥ずかしい話です。私は母とはぐれただけ、迷子では無いのです。私は背筋を伸ばして堂々と“なんでもないよ”と心の中で声をかけながら歩きます。不安げだったりキョロキョロして歩いていたら声をかけられるかも知れない。そう思ったからでした。

電車道路沿いに歩いて来ましが、そのまま歩いてゆくと五稜郭公園前まで行くことにになり遠回りです。昭和橋の交番を背にして私は次の記憶にある場所、少年刑務所を目指すことにします。悪戯っ子だった私は「悪いことをするとあそこに入るんだよ」とよく言われていたのです。
少年刑務所のレンガ造りの壁が見えてくるとホットしたのを憶えています。通い始めたばかりの小学校はすぐそばです。

ここまで来るともう大丈夫。通い始めたばかりの通学路を通って家に帰るだけです。でも、私はまた思います。“先生に会ったらいやだな。”家に急ぎましょう。

さすがに家の建つ一角に来た時には着いたという安心感と歩き通したという満足感が湧いていました。いつも入るお勝手のドアの把手に手をかけると鍵があいています。恐る恐るあけると、台所で夕食の用意をしている母の姿が。

「お帰り。」一言だけ言う母に私は「この人、只者じゃないな。」そう思いました。小学校1年生の春。自分の母親に感心した瞬間です。

夕御飯を食べながらどうやって帰ってきたのかその経路を説明し、警察や学校の先生に呼び止められないかと気をもんだけど一人で歩いて帰って来られて満足している気持ちを伝えます。はぐれても慌てること無く頭の中に町の要所を思い浮かべ、コースを選んで家まで帰ってきた私は冒険を成し遂げた思いでいっぱいです。

「どうしたかなとは思ったけど、帰ってくるしかないからね。家に帰って待ってることにしたんだよ。」と母は事も無げに言います。“もう少し心配してもいいんじゃない”と心の中で思いますが、きっと一人でもなんとかすると思っていたのでしょうね。
もっとも、気に入ったリードが無いからと短気を起こして我を忘れた事は諌められましたけど。


ジェームズ・ヒルトンの思い出は母との事を思い出させました。この出来事は私と母の性格や立場をよく分からせてくれます。しかも、その後の私のやんちゃな人生も暗示しているようです。もっとも小学1年生になったばかりの私には知る由もない話なのですが。




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おまけ)

思いの外長く書いてしまったようで、【記事を保存】って押したのに途中から消えてしまった。むむっいかがわしい事かいたわけじゃ無いのに・・・と思ったけど短気は損気とよく見たら【追記の編集】というのに気がついた。もしやと思い少し移して保存。あれ?やっぱり切れている・・・。なんとおっちょこちょいです。追記の方の【記事を保存】を押さなくっちゃね。
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