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杣人・somabito

Author:杣人・somabito
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久助

お元気ですか?

四月半ばというのに当地では冷たい風の吹く日が続いています。国内でも1~2を競う晴れの日の多い当地ですが、遠州のからっ風と言われ風の強いのもまた有名で、青空の下手で顔を覆いながら歩く事も多々あります。桜の便りが東北から届くようになりましたね。


「久助」という言葉をご存知ですか?先日道場でお茶を頂いた時にお仲間が持って来たお煎餅の袋に大きく印刷されていました。商品の名前かな?と思い手に取ると久助の横に“割れたり欠けたりして正規の商品にならなかった物を久助と言います”と説明が書かれています。
周りのお仲間さんに聞くと、ほとんどの方が知っていました。よくお煎餅屋さんでは“割れせん”なんて書いて袋詰めされて売っていますね。こちらの方言なんだろうかと早速家に帰ってからネットで調べます。

へぇ、結構広範囲に使われている言葉なんですね。ものを知らない私です。

Wikipediaからそのまま転載すると
「久助(きゅうすけ)とは、製造工程で割れたり欠けたりした煎餅やあられなどを集めて、正規品よりも安い価格で販売される割れ菓子のことである。味覚的には正規品に遜色なく、たいてい複数の製品が混合されているために、安価にいろいろな味を楽しむことができる。米菓業界でよく使われている。」
とあります。なるほどよく分かります。
十に足りないもので九助(久助)かな?と私が想像した語源も説明されています。江戸時代の奉公人に久助と呼ばれる者が多く、土産に持ち帰ったことから転じてという説明もあります。これも奉公人が一人前ではない(十に足りない)ところから久助と呼ばれていたのに絡む説明でしょう。

分かりに難かったのはWikipediaに書かれている葛との関係の説明でした。ここを読んだだけでは何のことか分かりません。

そこで葛を調べてみましょう。葛はマメ科の植物で根から澱粉を取ります。これが葛粉ですね。そして混ぜ物の無い葛粉を本葛と言います。一方、葛は生産量が少ないので、甘藷や馬鈴薯の澱粉を混ぜて作る葛もあります。その代表的なのが吉野葛で、なかでも品質の良い物を久助葛と言うのだそうです。
言葉の面白いのはここからで、本来混ぜ物のない葛(本葛)に対して混ぜ物のある葛(久助葛)であったであろうものが、品質の良い久助葛が多く出回るようになった事から母屋を取ったとでも言いましょうか、久助葛が有名になっていきます。久助本葛なんていう商品もありますから戸惑ってしまいます。そのくらい久助は出世したという事ですね。
かくして久助が品質の確りしたものという意味を得て呼び名として定着していきます。丁稚さんも頑張ればいずれは番頭さんになれるのです。

ところで、葛は私も好きで最近では小さな包みに入って味がついた葛湯の素を重宝しています。寒い日にマグカップで飲むと温まりますね。子供の頃は体調をくずすと母が厚手の茶碗に葛と砂糖を入れ熱湯を注いでスプーンで手早くかき混ぜ葛練りを作ってくれました。甘くて温かくて嬉しかったものです。
父は食品会社でしたので、家には父の会社の製品が溢れていました。検査用に抜き出した缶詰のマジックで時間など文字が書かれているもの、潰れて商品にならないもの。そんなものを社員で分けて貰うのです。そんな父の会社の商品が我が家のおかずであり食材でした。私は久助で育ったと言っても良いでしょう。そう思うと久助に親しみが湧いてきます。

最近、インターネットでは“訳あり商品”というのが人気です。時期を逃した在庫ものや足が折れた蟹や袋の破れた明太子など様々な商品が安く売られています。野菜などでも規格外で選果場ではねられてしまうようなものでも活躍する場を得て消費者に届けられます。物を大切にする心と流通の智慧が結びついたいい例だと思います。
ところが、先日テレビを見ていたら、あるお煎餅やさんが出来上がった煎餅をわざわざ割って販売しているといいます。それで売り上げが何倍にもなったというのです。おやまぁとちょっとがっかり。販売の智慧なのかも知れませんが、物を作る心からは少し外れているように思います。丁寧に作って割れてしまった物を“勿体ない大切にいただこう”と思う心、“せっかく作ったのに破棄するのは忍びない”という作り手の心が久助を久助たらしめているのに、その方が売れるからとわざわざ出来上がった煎餅を割って“これ久助、訳あり商品だから”と言って売るのはどうも消費者を欺いているような気がします。

久助を食べて育った私は、いつかは本物になるぞと思っています。でも、せっかく出来た煎餅を割られてしまっては目指す本物が分からなくなります。お煎餅屋さん、どうぞ本物のお煎餅を大切にしてくださいね。未だ久助からのお願いです。
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テーマ : ことば
ジャンル : 学問・文化・芸術

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